『リアル』Vol.14 特設サイト

障害者スポーツの真実

車イスバスケ YJ3人娘スペシャルインタビュー 3

私はミッチーになりたい!

網本麻里 AMIMOTO MARI

1988年11月15日生まれ。大阪府大阪市出身。クラス4.5/カクテル所属/パワーフォワード。先天的な右足首内反足の障害で高校から車イスバスケに転向。高い得点力で一気に世界のトッププレイヤーの仲間入り。障害者アスリートを支援するPwC KKに所属。

■オリンピックを夢見るスポーツ少女

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――麻里は車イスバスケでは、いちばん障害のレベルが軽い4.5クラスだね。
麻里
先天性の右足内反足という障害なんですけど、1歳半で最初の手術をして、歩けるようになったんです。だから子どものころは普通にスポーツしていました。オリンピック選手も育てた器械体操のクラブに入ってて、体操でオリンピックに行くんだと思ってたんです。
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――小学生のときはミニバスもやってたんだよね?
麻里
友達のユミちゃんから誘われて始めたんですよ。男子が強いクラブなんですけど、女子は2人だけ。ユミちゃんとお互いに裏切れないから、休めないし、ヤメられない(笑)。だから同級生を誘って仲間を増やして、最終的には10人くらいになって。毎日バスケ、バスケでした。週末は12時間くらい体育館にいることもあったな~。バスケでオリンピックに行くんだって。
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――競技は変わっても、目標はオリンピック(笑)。
麻里
そうなんですよ。実際は地区でそこそこくらいのチームだったのに(笑)。
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――足の状態は大丈夫だったの?
麻里
ずっと診てくれていたお医者さんからは「痛かったら、もうヤメとき!」って言われてました。走ったり、ジャンプしたり、バスケは足にかかる負荷が大きいから。でも、バスケが好きだったし、痛いことを理由にヤメるのが悔しかったので、ガマンしてやってたんです。
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――ホントは痛かったんだ…。
麻里
め~っちゃ、痛かった! 練習から帰ってくると、痛みですぐに倒れ込んでしまうくらい。でも、いずれは立ってバスケができなくなると分かっていることの方が辛かったですね。それは友達にも言えなかったし…。
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――再手術はいつやったの?
麻里
中学2年です。チームのキャプテンで、地区選抜にも選ばれて…って時期でした。どこかでリハビリをがんばったら、まだできるんじゃないかという気持ちもあったんですけど、右足に体重をかけるのが怖くなって…ダメでした。3年生のときにみんなの引退試合に、最後に1分くらい出してもらって、私の立ってやるバスケは終わりました。
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――車イスバスケはそのあと?
麻里
再手術すると立ってバスケができなくなることがわかっていたので、その前にお母さんが車イスバスケを探してきてくれたんですよ。「へぇ~、こんなバスケもあるんだ!?」って軽い気持ちで練習に参加させてもらったりして、一時期は両方やってました。バスケができなくなることは何度も泣いたりするくらい悲しいことだったけど、バスケができなくなったわけじゃない。車イスバスケが私にとって、新しいバスケなんだって。

■1試合51得点! ゾーンを持つエース

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――車イスバスケを始めてすぐ、高校生から代表に選ばれてるよね。
麻里
ジュニアの女子選手が少なかったというのもあると思うんですけど、高校1年の春に、男女混成のジュニア代表に選んでいただいて、オーストラリア遠征に行ったのが最初ですね。まだ所属チームもなかったのに(笑)。そして2005年のジュニア世界選手権に出て準優勝でした。
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――男子代表のレオ(藤本怜央)、ヒロ(香西宏昭)、テツ(宮島徹也)をはじめ、日本に初めて世界大会での銀メダルをもたらしたゴールデンジュニア!
麻里
チーム最年少の16歳でした。そのあと、うわ~ってよくわからないまま、日本代表に入って2008年の北京パラリンピックにも出場できて…。オリンピックの夢は叶わなかったけど、北京パラに出たとき、お母さんがすごく喜んでくれたのはうれしかったですね。
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――その北京では大会得点王。2011年のU25世界選手権では、メキシコ戦で1試合51点の世界記録。麻里は当たり出すと止まらないって言われてるね。
麻里
う~ん、自分ではよくわからないんですけど、調子のいいときは、構えた瞬間にシュートが入るのがわかることがあるんです。
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――野球で言うと「ボールが止まって見える」というような、トップアスリートのゾーンみたいなことかな?
麻里
そうかもしれんし、違うかもしれんし…まったくその感覚がないこともあるし、ちょっとの時間だけのこともあるし…もう自分ではホントにわからないんです。メキシコ戦は1試合ずっとその感覚がありました。でも、もう一回って思っても無理なんですよ(笑)。自分の中では、ゾーンというより“ミッチー”かな。
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――ミッチー!?
麻里
そう、『スラムダンク』の三井寿! ミッチーが当たってるときもこんな感じでシュート打ってたんかなと、勝手に思ってるんです。気持ちよくシュートが入ると「私、ミッチーみたいや」って(笑)。当時のバスケ少年・少女がみんなそうだったように、私も『スラムダンク』がめっちゃ好きで、中でもミッチーが大好きなんですよ! 小学6年生のときに『スラムダンク』持って美容院に行って、ミッチーの髪型にしてくださいってベリーショートにしたくらい好き!
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――じゃあ、麻里のキャッチフレーズは“炎の女”、いや“炎のナニワ女”で(笑)。
麻里
それ、めっちゃうれしい! 前は点を取ることだけだったけど、いまは周りを見ながらのプレーを心がけているんです。常に世界を意識していけば、もっと成長できるはず。ミッチーにも近づけるはず(笑)。
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――最後に女の子っぽいところもアピールしとく?
麻里
するっ! まずはネイルでしょ。試合の後でちょっと剥がれちゃってるけど、今日は大会バージョンにしてきたんですよ! いつも自分でキレイにやってるんです。それと編み物が得意ですね。
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――手先の細かいことが得意なんだね~。
麻里
網本だけに、あ・み・も・の(笑)。
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――………。さ、さすがエース、しゃべりの方も自分のゾーンを持っていると……。狙いすましたオチも決まったので、今日はこのへんで…。
麻里
やっぱり、ほかの話で締め直さへん? こんな寒い終わり方イヤや~。
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――おつかれさまでした……。
麻里
ヤメてぇ~~! 待って~~!

世界の強豪vs 女子日本代表 大阪カップが2月に開催!!

この大会は2月に、私のホームタウン大阪で開催されます。家族や友達もたくさん観戦に来てくれるので、個人的にめっちゃ燃える大会です。今回は、オーストラリア、カナダ、イギリスという世界の強豪が対戦相手。さらに燃えそうです(笑)。
いま、女子日本代表はチームの変革期。若手が経験を積んで、チームが成長してきているという手応えがあります。私たちの試合をぜひ観に来てください! 待ってるで~!!

  • 世界の強豪を相手にエース爆発なるか!?
  • 大会のメイン会場は大阪市中央体育館
構成/市川光治(光スタジオ) 撮影・文/名古桂士(X-1) 撮影/浅原満明(X-1)

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“バナJAPAN”橘ヘッドが紹介! 網本麻里はこんな選手だ!

天真爛漫、でも実はナイーブなところも…。大型選手が多いクラス4.5の中で、小さくてもスピードとしなやかさで勝負できる数少ない選手。試合では徹底的にマークされてしまいますが、この状況を打開して点を取れるようになれば、さらにワンランク上の選手になれると思います。もっと、3Pも打っていっていいよ!

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