『リアル』Vol.14 特設サイト

障害者スポーツの真実

2015 IWBF アジアオセアニアチャンピオンシップ千葉

日本代表応援企画![REAL×TALK] 及川晋平×井上雄彦×東野智弥

構成・文/市川光治(光スタジオ)
文/名古桂士(X-1)
撮影/細野晋司

「バスケットはお好きですか?」「大好きです、スポーツマンですから!」そんな声が聞こえてきそうな、バスケバカたちの3ショット! 井上雄彦が、日本代表及川HCと東野Cと繰り広げたリアルトーク! 史上最大の決戦・AOZ直前に、大会の見所や秘策、そして戸川の日本代表入り(?)まで…すべてを語り尽くした!

編集者
――いよいよ史上最大の決戦、AOZが直前に迫りました。
井上
4年前の韓国・高陽(コヤン)市でのAOZ、日韓戦の死闘を思い出しますね。試合時間残り30秒で、京谷和幸選手(現・AC)がオフェンスリバウンドを獲ってパスを出す、それを宮島徹也選手が決めて逆転というシーン。鳥肌が立ちました。その後がまた……
及川
残り0.3秒で、韓国のエースのキム選手に、フリースローが与えられてしまうということになって。
井上
ホームの大観衆の中、1本で同点、2本で逆転の2スローをキム選手が外して、日本のロンドンパラ出場が決まったという、マンガで描いても出来過ぎだろう、そんな展開あるのかというようなことが現実に起きた。勝負のいろんなものが詰まった瞬間を見せてもらいました。
今回も韓国は最大のライバル?
及川
そうです。4年前の敗戦をきっかけに韓国はさらに強くなりました。敗因を分析して、そこをしっかり強化してきたんです。日韓戦はいつもシーソーゲームになるんですが、昨年はもつれて最後に逆転される展開で、僕らがアウェイで3連敗しています。
東野
韓国は、日本への苦手意識を克服して、もう自信を持っているでしょうね。
及川
今度は僕らが学ばなければならない。3連敗を分析して、準備をして、ホームでその成果を示すのみ。強敵ですから、油断はありません。
東野
今回は敗戦の反省ができていることが、韓国への強みになっています。準備はしてきているから、あとはピークのひとつを日韓戦に持っていくだけです。連敗中ですが、選手たちは自信を持って戦ってくれると思います。
及川
予選リーグ、決勝トーナメントと様々なケースを想定して、オーストラリアやイランに対する戦略も立てています。これまで作ってきたチームのベースに基づいて、柔軟に戦っていきたいですね。
編集者
――AOZの先にあるパラリンピックとはどんな場所なんでしょうか?
及川
僕は選手としてシドニーパラに出場したんですが、パラリンピックって夢のような場所なんです。僕がはっきり覚えているのは、「骨肉腫になって良かったな」と思えたこと。自分の障害とか病気を受け入れることができたんですね。それが自信にもなったし、次のステップへ向かうための自分の確固たる基礎になっているんです。だから、多くの選手にパラリンピックを経験させてあげたいと思います。
井上
僕も何度か取材していますが、パラリンピックは特別な雰囲気がありますね。3年前のロンドンパラは観客のスポーツの楽しみ方が強く印象に残っています。NBAでもサッカーでもプロスポーツには、アウェイチームにブーイングが浴びせられるような一種の殺伐とした部分がありますが、ロンドンの観客はその殺伐としたところがなくて、ほのぼのというか、温かいというか…家族で観戦を楽しんで、満足して家路につくような。大会のボランティアも、一人ひとりがイキイキとしていましたね。東京パラリンピックもこんな雰囲気の大会にできれば素晴らしいなと思います。
東野
パラリンピックでの車イスバスケは、花形なんです。他の国でもモチベーションは高いですね。観客も楽しんでいて会場の熱気もすごい。リオの会場でも満員の観客にJAPANのプレイを見せたいですね。
編集者
――そういえば、健常者のバスケで女子がリオ五輪出場を決めました。
東野
「おめでとうございます!」そのひとことに尽きます。僕たちにも大きな励みになりますよ。
井上
しばらく国際試合に出られなかったし、いろんな逆風があった中でのリオ出場権獲得は、これ以上ないニュースでした。車イスバスケもその流れに乗っていってもらいたいですね。
編集者
――井上さんは、及川HC、東野Cと長く交流されていますが、お二人にはどのような印象を持っていますか?
井上
及川HCは、熱い理論派。そして除雪車のような男(笑)。 いろんな難しい問題があってもそれを受け止めて、悩み苦しみながらも、かき分けて前に進んでいく。前進する力がすごい。あと、ブログの文章が上手くなってきた(笑)。
及川
最近更新していないのは、相手チームを刺激しないように、情報を与えないようにするためですからね(笑)。
井上
東野Cも、熱い。目標を立ててそれに向かっていくという前進力のすごさも及川HCと同じように……
東野
とにかく及川と東野が揃ったら暑苦しいことこの上ないと(笑)。
編集者
――今回、及川HCの緊急招集によって、戸川清春が初めてシンペーJAPANに呼ばれました。
及川
身体の小さい日本人が世界とどう戦うかと考えると、スピードとクイックネス、そしてパッション……これってまさに戸川でしょう!? 戸川はJAPANの理想的なスタイルなんですよ。それに試合で確実にファイトしてくれる選手でもある。今回は負けられない戦いであるからこそ、何らかの形で戸川をチームに加えたかったんです。こんな選手は絶対に必要ですよね、東野さん?
東野
うん、フェニックスにも欲しい(笑)。こちらの思いもよらぬ絵を描いてくれそうな、戸川みたいな選手を使いこなすのはコーチ冥利につきますよ。
及川
[リアル]って、僕らから見てもリアルで、すごく共感するんです。「ああ、僕たちもそうだよな、素晴らしいマンガだ」と胸が熱くなる一方で、「僕らのリアルはどうなんだ!?」と自分に問いかけてしまう。「現実の車イスバスケは、[リアル]よりリアルでありたい!」っていうライバル意識みたいなものがあって…(苦笑)。[リアル]に置いていかれないように、現実の僕たちも走り続けなきゃいけないって思うんです。
東野
[リアル]って偽りがないというか、直球というか…井上先生が正面から車イスバスケと向き合っていると感じます。健常者のバスケしか知らなかった僕が、すんなりと車イスバスケに入り込めたのは、[リアル]が僕の中の壁を取り除いてくれたからだと感謝してるんです。
井上
最近の[リアル]はプロレスに行っちゃったりもしたけど(笑)、次は車イスバスケ側をもうちょっと進化させて描写していきたいと思っているんです。もちろんその舞台も、もうちょっと大きいところで。だから、AOZはしっかりと取材させていただくつもりです。
東野
今回のチームは合計持ち点14の組み方の中で、中心選手だけに頼らない戦いができるようになったことが大きな進化ですね。日本だからできるバスケはこれだという手応えもあって、世界に通じるバスケの形ができてきたと可能性を感じています。
井上
合宿を見ていても、チームのベースとなる理論があって、共通理解が浸透しているなと感じました。日本らしい緻密なバスケの土台があって、その上で連携してみんなで戦っていく…それがシンペーJAPANのバスケなんですね。
及川
これまで僕が関わってきた中で、最高のチームになっていると思います。勝ってリオの出場権をつかむことが求められているAOZでは、大事にいかなければならない部分と、チームがさらに成長していくためにチャレンジが必要な部分の両方があると思います。結果も手に入れて、チームもさらにレベルアップする、そんな戦いをみなさんにお見せしたいと思います。
井上
及川HCが理想とするバスケをどれだけ積み上げてきたのか、そしてそれが形になって結果につながるところを見たいですね。千葉ポートアリーナがたくさんのお客さんで埋まって、JAPANのホームコートになる。そんな選手たちが思い切りプレイできる環境を、[リアル]と戸川が少しでもサポートできればいいなと思います。
リオを決めよう。期待しています!

生か死か、リオへの総力戦。そのすべてを見逃すな!!

全員で戦う新しい日本の形 世界への扉が、いま開く!

東野智弥

日本代表やレラカムイ北海道でAC、HCを歴任。2013年にbjリーグ浜松・東三河フェニックスのHC就任。2014-15シーズンは悲願のリーグ優勝を飾った。シンペーJAPANでは戦略コーチを務める。

AOZを突破してリオへ! 僕らのリアルを見せる!!

及川晋平

高校時代に骨肉腫で右脚を切断。アメリカ留学を経て、シドニーパラに出場。2002年にNO EXCUSEを立ち上げ、国内トップレベルに育て上げた。ロンドンパラでACを務め、その後HCに就任した。

及川HCが追求してきた理想のバスケが見たい!

井上雄彦

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