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障害者スポーツの真実

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2020東京、主役は…俺だ! シンペーJAPAN焼津合宿&U23世界選手権AOZ予選レポート!

及川晋平HCが留任、2020年に向けて再スタートを切ったシンペーJAPAN。リオ後最初の合宿では、代表入りをねらう若い世代のガツガツしたプレイが目に付いた。ドイツリーグで活躍する選手たちも、実績のあるベテランもうかうかできない。12名の日本代表の座をかけた熾烈なサバイバルが始まった!

構成・文/市川光治(光スタジオ) 取材・文/名古桂士(X-1)

ハードな極限合宿、生き残るのは誰だ!?

2020年東京に向けて新生・シンペーJAPANは、これまで積み上げたバスケを踏襲しつつ、新たなステージでチーム強化を進めることとなった。
「リオに向けてのテーマだったインテリジェンス・戦略・ベーシックスはチームに浸透しました。次はフィジカルとメンタルの強化。フィジカルを追い込むとメンタルが見えてくる。極限に追い込まれたときの選択肢は “闘争”と“逃走”のふたつ。逃げずに闘える選手たちでチームを作りたい。やっぱり最後は闘いなんです。『リアル×リオパラリンピック』の企画で、井上雄彦先生といろいろ話をして、自分の考えも整理できました。しっかり前に進みますよ!(及川HC)」
引き続き及川HCの相棒を務めることになった京谷和幸ACもリオでは同じ課題をチームに感じていた。
「選手はいいプレイをした。でも結果は9位。モヤモヤしたものが残る大会でした。上位のヨーロッパ勢に接戦はしたけど、そこで勝ちきれないのは何かが足りないから。フィジカルとメンタルにタフさが欲しい(京谷AC)」
シンペーJAPANの再始動となった焼津合宿では、日本代表歴の一番長い藤井新悟をして、「こんなに厳しい合宿は初めて。見たことのない色のウンコが出て、病気じゃないかとスマホで調べましたよ。身体が疲れきったことが原因でした」と言わせるまでフィジカルをいじめ抜いた。
その後に何試合も繰り返されていったテストゲームは勝敗も重要視され、一瞬も気の抜けない緊迫した内容となった。
ハードに追い込まれて心身が消耗する中で、ひときわ元気のいい動きを見せていたのは、2020年の代表入りをねらう若手たちだった。

奪え、倒せ、勝ち抜け!闘志なきものは去れ!

ボールキープ力とゲームメイクに優れ、シューターとしての得点力にも大きな期待がかかる古澤拓也(3.0/パラ神奈川SC/20歳)は、U23代表のキャプテン。「代表入りはもちろん、スタメンを目指してやっていきたい」と高い目標を掲げる。
この世代の大きな刺激となっているのは、わずか1年で代表に定着し、リオ出場を果たした17歳の鳥海連志(2.0/佐世保WBC)の存在だ。「2020年は連志と一緒にコートに出て活躍したい」というのは、高校まで長崎で過ごし、連志と一緒に練習することも多かった川原凛(1.5/千葉ホークス/19歳)。クロスピック、バックピックを武器に、ベテランが揃うロークラスで存在感を増している。
中でも丸山弘毅(2.5/長野WBC/20歳)は連志を認めながらも、ライバル意識をのぞかせる。
「同じような障害で年下…コンビニでヤンジャンに載っているのを見つけて、正直、悔しかったです。連志に追いつくには、代表に入るにはどうすればいいのか、ずっと考えながら練習しています」
若者らしい真っ直ぐなジェラシーは、さらなる成長への糧となる。U23代表ではHCを務める京谷ACは、「自国開催の東京パラに出ることは、人生が変わるかも知れないほどの財産。チャンスは目の前にある。必死に練習してそれをつかみ取れ!」と発破をかけ、その気持ちを熱く高ぶらせる。

U23世代の突き上げが、上の世代の選手たちの危機感をあおり、チーム内の競争がさらに活性化していく。
「リオに出場できなかった悔しさをバネにしている選手、東京パラをモチベーションにしている選手、みんな闘う気持ちが前に出てきてこれまでと顔つきが違う。こういう合宿をやりたかったんです。ドイツリーグ組も含めみんな横一線、ポジションが約束されているわけじゃない。現状維持では代表に残れない。厳しい合宿を繰り返す中でどんなチームが出来上がるのか、僕も楽しみです(及川HC)」
シンペーJAPANの次なる目標は、2018年にドイツ・ハンブルクで開催される世界選手権での上位進出。今年はその出場権をかけたAOZ予選の開催も予定されている(日程・場所は未定)。今年もシンペーJAPANから目が離せない!

U23世界選手権AOZ予選 ヤングJ(ジャパン)準V! 本選決定!

今年6月にカナダ・トロントで開催されるU23世界選手権。その出場権をかけたアジアオセアニアゾーン(AOZ)予選が、1月23日~28日にかけて、タイ・バンコクで開催された。
この予選はオーストラリア、インド、中国、イラン、タイ、日本の出場6か国のうち、上位3か国に出場権が与えられる。
オーストラリアとは昨年の北九州チャンピオンズカップでも対戦し、接戦の末勝利しているが、チーム力は互角。チームの情報がまったく不明のイランと中国次第では、厳しい戦いになることも予想されていた。
今回のU23日本代表は、高さがないという弱点を、最大の武器であるスピードとクイックネスで補うチーム。オールコートのプレスで相手の高さを封じて、オフェンスでもそのスピードを活かして、ファーストブレーク、アーリーと速いテンポの得点をねらう。このチームの1試合の切り替えの数は160回を超える。スピード勝負に相手を巻き込み、体力と気力を削って主導権を握るのが戦略だった。
U23日本代表は予選リーグ初戦の中国戦をチーム全員得点の78-16で快勝すると、タイ(56-48)、オーストラリア(60-41)、インド(101-6)に連勝。イラン戦ではキャプテン古澤拓也が第1Qに4連続3Pを決め、シューターとしての本領を発揮。67-56の勝利で予選リーグを全勝突破した。準決勝では開催国タイを相手に、ファウルトラブルに苦しむ場面がありながらも61-37で勝利し、無敗のまま世界への切符を手に入れた。
決勝ではイランに51-67で敗れ準優勝となったが、高さを武器にする世界との戦いの前に、収穫のある試合を経験した。

  • 日本から鳥海(左)川原凛が大会ベスト5に選出。
  • 次は世界。どんな闘いを見せてくれるのか?

U23日本代表京谷HC

高さがなく、インサイドの力もそれほど強くないチームが、限られた選択肢の中で、自分たちの武器を最大限に活用して出場権を獲得しました。選手たちは本当によくやったし、何もいうことがありません。この短い大会期間で劇的な変化、成長を遂げてくれました。優勝することが目標でしたが、それはHCの力不足です。
6月の世界選手権は、スピードとクイッネスで押し込む今までのバスケだけで通用するとは思っていません。もちろんその対策もすでに立てていますが、この大会で得た収穫で、大きな希望が見えたように思います。
目標は過去2大会よりも上の6位以上。そこから2005年大会で藤本怜央、宮島徹也、香西宏昭を中心に獲得した銀メダルに迫りたいと思います。

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