新人賞

#058 シンマン賞結果発表

[ストーリー部門]

佳作+月間ベスト+審査員特別賞

スマイルドール
45P
石黒テル密(23) 神奈川県
佳作30万円+月間ベスト10万円+審査員特別賞10万円
賞金50万円
原泰久先生
読ませる力がありますが、漫画としての統一感が弱い。ドラマ部分とホラー部分、両方面白いのですが、少し展開が急でした。
編集S
起承転結でいうと、実質「起」が30Pまで冗長と続き、 残り10Pあまりで「承転結」を畳んだ印象です。人形を得て本来自身で得るべき力を、 ルールを超えてまで求めて破滅する話のはず。雰囲気づくりだけではなく、物語の本質も見極めてください。
編集I
人形が軸になって話が動くのが(ページ数的に)遅すぎる。「どんな方法で笑顔にするか」という振りがある以上、 そのアイデアに期待するのに、首を挿げ替えるワンアイデアのみは辛い。ホラーとしてもこの内容で45pは長すぎると思う。
編集K
博美のヤル気のなさなどが何に由来するのかがわからなかった。生来の怠け者なのかコネだからと思われていることへの反発なのか、 でも笑顔にする人形を買って自分を変えようとする気はあるのかとか、 主人公の心情が終始不明でした。とはいえ丁寧な描き込みや構成自体はシンプルなところなどは力量を感じます。
編集K
表情がうまくヴァリエーションに富んでおり、絵作りにもアイデアがあり、 展開も「シーン」でしっかり進めていっている。「自分だけが好きな世界観を描く」という印象だった以前から、かなり前進したと思います。まだまだ、コマの見せ方や詰め込みすぎて読みづらいと感じるところはありますが、かなり力のある人だと思います。もし、このままホラーテイストの方向でやるなら、何か「現代性」に通ずる軸・テーマを見つけ、連載につながる企画を考えて欲しいです。
編集Y
独特な人間描写、世界観で唸らせる箇所があるものの、このセンスをいかに商業誌のベクトルへ乗せられるか。次作はそこを課題としてチャレンジしてほしいです。
編集O
事象に対して、主人公が最初は警戒しながらも、どんどん深みにハマっていって最後は…という内容を誰もが求めているような。演出・アイディアに工夫と才能をとても感じられました。

佳作

操水師ミナト
48P
橋本涼平(20) 京都府
佳作30万円
賞金30万円
原泰久先生
作画は非常に頑張っていると思いますが、既視感が強いのが気になります。ラストの見開きは今回の作品中1番の見開き絵でした。
編集S
題材・アイデアに際立ったものはありませんが、材料を過不足なく丁寧に構成する力は認められます。作品に対する客観視点もあるので、次のステージに進んでよいかと。
編集I
絵は頑張っているんだけど、肝心の水を使った技の描写に、作画と構図の技術が追いついておらず、どれも同じ効果で何をやっているのかよくわからないのがもったいなかった。読切では設定の後出しをするよりは、その分キャラクター描写に割いた方がよかった。
編集K
あまり驚きがないというか…敵を雑魚すぎるやつにしてしまったがために、バトルでの緊張感もなくなってしまっているし、嘘をつくときに耳を出す癖の話も意味がなくなってしまう。あと主人公が殺すぞっていって敵に情報をしゃべらせてから、用なしになったってことで殺しちゃうと悪人がやるような所業のような気がしてひっかかってしまいます。
編集K
キャラは弱めだと思いますが、表情には気を遣えているし、世界観と絵作り、ネームのリズム、魔法を水に絞り込むアイデアなど、非常に高いレベルにあると思います。ただ一点、作者の描くモチベーションが「絵を描きたい」というので止まってしまっている気がします。というのも読んだ後に心に「何も残らない」。 せっかく水にアイデアを絞り込んで、それを操る人と世界、というのを作れているので、そのギミックをより生かすために、例えば水から派生して、「乾いた心」などをテーマに据えるなど、作家としての軸を模索して欲しい。
編集Y
テンプレートな物語の中で勝負するのであれば、「操水師」にまだまだアイデアを搭載してほしかったです。ただ画もまだまだ上手くなりそうな雰囲気がありますし、個人的に期待したいです。
編集O
既視感が強く、途中までは何となく「分かった」感じで進むが、後半の絵と演出には才気を感じました。水のアイディアをもっと深堀りして欲しい。

期待賞+初投稿賞

ドミノの怪物
56P
ななななな(25) 東京都
期待賞10万円+初投稿賞3万円
賞金13万円
原泰久先生
ラストまで読ませる力がありました。ただ、終わり方が少し残念でした。何でも読者の裏をかけばいいというものではありません。
編集S
フィクション内でのリアルは十分追求できているけど、娯楽(マンガ)ならではの表現は描き切れなかった印象。次回作は「怪物」そのものを描く方向で。
編集I
妹が気づかなすぎ、とかいろいろと不自然で疑問符が付く箇所がありますが、それは別にして、ページ数もアイデアも、ヒネリなく素直に、思うままに描きすぎた印象です。
編集K
父はまだしも、母も蝶子も、みんなわかってて繭子にそれぞれひどいことしてて、これだと救われない。せめて母は、あんな父親だから繭子に頼るにしても、病状などは伝えてくれててもよかったのに。これではみんな繭子を利用してただけになってしまう。どこかに救いはほしい。
編集K
抒情的な台詞にこだわりは見えるものの、ストーリー、観念、エピソードや絵、それぞれの効果がバラけてしまっており、何を描きたいのか、伝えたいのか、分からない作品になってしまった感。人物像もセリフで立てることができてなかった印象。怪物が心理描写でしかないなら、現実世界の方でも「ドミノ」があった方が漫画的にはまとまったかもしれない。エピソードも在り来たりと言えば在り来たりなので、次作ではもっとこだわって欲しいです。
編集Y
情感のあるシーン、丁寧な姉妹関係など上手に描けていると思います。ただ、このリアリティベースでここまで酷い実の父親を存在させるのであれば、それなりの描き方が必要だったのでは?ラストも含めてディティールの部分が若干雑だったかな、という印象です。
編集O
作家の嘘がないネームで好感が持てるが、ツッコミどころは多い。特に主人公周りの人間性に。作品に対する客観性が欠けているので、次回作はそこを期待したいと思います。

期待賞+初投稿賞

リプレ
49P
モス(20) 京都府
期待賞10万円+初投稿賞3万円
賞金13万円
原泰久先生
妹のキャラクターが良かったです。キャラ造形の設定もキャッチ―で良い。ただ、展開含め、他がかなり分かりづらかったです。
編集S
構成と演出の妙味に見どころはあるけど、そこは本編の筋が整っているからこそです。最低限の設定は提示しましょう。
編集I
読者に説明されない壮大な設定が裏にある、独りよがりな印象の作品。一つ一つの設定について、読む人が理解できるレベルに落とし込めているか、丁寧な確認作業が必要だと思います。
編集K
いろいろ説明不足で、こちらが脳内補完しようにも情報がなさ過ぎる。また、このページ数であの尻切れトンボな終わり方もいただけない。
編集K
自分の好きな絵を描くために作った作品という印象。ただ、その絵を自分というフィルターで濾過・加工せずに出してしまっている為、オリジナリティが弱くなってしまっていると思います。その絵のひと手間、キャラへの更なるこだわり、セリフの飽くなき吟味が自分らしさを磨けるところ。次回作、担当と打合せしてその辺りを頑張って欲しいです。
編集Y
描きたいシーンは力が入っていて見ごたえがありました。ただ必要な情報の出し入れが上手くいっていないようなので、物語から取り残されてしまいます。
編集O
あまりにも物語に導入する気がない。やりたいことは分かるし描きたい(であろう)シーンは迫力あるが、そこまでに脱落する。舞台がファンタジーだけに、導入はある程度コメディタッチでキャラをたてて欲しいタイプの作品でした。その方が展開とのコントラストがでるし、キャラに感情移入できると思います。

[ショート部門]

受賞作なし。審査員をアッと唸らせる短編漫画をお待ちしています!!

#058 審査員キングダム原泰久先生

今回は既視感の強い作品や、読んで後味の悪い作品が多かったです。しかしどれも最後まで読ませる力があったのもまた事実です。自身の個性的な部分や表現に、より一層磨きをかけた次回作を期待したいと思います。

編集部総評

最終選考に残った4作品は、それぞれの個性の『強み』が光っていた。それでも、大ヒットを飛ばす作品とあえて比較すると、よりその個性は磨かなければならないし、特に今回、粗が目立った「客観性」=「読者に理解される描き方をしているかどうか」の部分は、より強く意識していって欲しい。

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