新人賞

[ショート部門]

期待賞+月間ベスト+初投稿賞

居候吸血鬼
16P
オトノカ(19) 宮城県
賞金23万円
期待賞10万円+月間ベスト10万円+初投稿賞3万円
迫稔雄先生
ノリが大事な内容ですので、作者も読者もノリノリになるように、もっとハジけていきましょう!!
編集I
結構好きですけどね。キャラを作ろうとしているので。吸血鬼なのに奥手で鼻血を出すところとか面白かったです。すごくWEBっぽい雰囲気です。
編集K
テンポよく読めはしたのですが、ザクロのキャラがいまいちつかめず、どこか楽しめない読み味になってしまいました。とりとめのない不思議ちゃんはなんでもできるかわりにどこをたのしめばよいのかわからなくなってしまうので、キャラをしっかりつくったほうがよいかと。
編集K
バンパイアのキャラ、特に変身した蝙蝠のキャラはかわいさがよく描けていると思う。キャラの掛け合いは突っ込みのリズムがよくない気がするので、今後ブラッシュアップして欲しい。若い作家さんなので、打合せでフックのある企画を練り込んであげて欲しいです。
編集Y
荒い箇所が散見されるものの、テンポの良さで読み進めさせる。絵柄もいい意味で定まってなく、成長が期待できる。パッケージの甘さは目を瞑るとしても、18歳でこれだけ描ければ十分なのでは?
編集H
設定に頼りすぎないで、キャラを描けているのは好印象。話自体はなんでもないものでありますが、キャラの掛け合いはうまく描けているかと思います。画力も年齢を考えればどんどんうまくなりそう。意味のない斜め枠線が多いので、そこは直した方がいいと強く思います。
編集F
キャラを前面に押し出す、ショートらしいショートで意欲作だと思います。ギャップを意識している点は良いと思うので、吸血鬼というモチーフからもう一歩アイディアが欲しいところですが。
編集K
テンポも、掛け合い、構成はいずれも年齢を鑑みるに及第点。しかし、キャラクターと画力はまだ磨けるはずです。そもそも、この“チェリパイア”の何がバカらしくて面白いのでしょうか? 血を吸ったらどうなるのか、吸うタイミングは?などなど、もう少し設定に寄せて勝負して欲しかった。
編集N
吸血鬼のイメージをひとつずつ裏切っていくというのは面白いと感じました。女の子のリアクションがもう少しインパクトがあるとより面白くなると思います。

期待賞

いでよ!闇の中学校
16P
田子創太(24) 神奈川県
賞金10万円
期待賞10万円
迫稔雄先生
良い感じで読めました。ハジけっぷりをもっと出すことができれば、すごく面白くなると思います。
編集I
着眼点も悪くないし笑えるギャグもありました。見づらい絵柄なのでわかりやすさを意識したほうがいいです(背景の効果線がありすぎて見づらいとか)。あとはキャラの特性をもっと煮詰めてほしい。全体にブラッシュアップ希望です。
編集K
いろんな登場人物がいるものの、それぞれのキャラが弱く、せっかく肩書き付きで登場している割にそのキャラ付けが活かされてないのはもったいない。とはいえ軽快なテンポと笑いの入れ方は上手さを感じます。
編集K
掛け合いとリズム感はよいと思う。今の絵柄の方向性だと読者年齢を下げ過ぎている気がするので、もう少し、上めの設定でキャラデザインをしてみてもいいのでは?
編集Y
ネタの精度の落差が激しい印象です。前回からの積み上げはあったのでしょうか?いい方向に向かっていて欲しいです。
編集K
ギャグにムラがある印象。一点あるとすれば、借り物をそのまま作品に放り込むのではなくて、1アイデア加えてから登場させると印象がガラリと変わるのではないでしょうか。サキュバスなのに、OOなのに…をもう少し思案すると、完成度が高くなるように思います。
編集L
ギャグを楽しむための視点が不安定なので楽しみ切れず、結局「作者は何を面白いと思っていたのでしょうか…」という感想になってしまいます。ちゃんと処理をすれば16ページで楽しませるものは描ける企画だと思います。勇者が出てくるあたりからをもっと先生と魔族のドタバタで畳みかけた方がよかったのではないでしょうか。
編集N
魔斬波動弾に気をつけてほしかったです。また、主人公のももこ先生と読者の目線が時々ズレてしまうのが残念でした。

[ストーリー部門]

期待賞+初投稿賞

鉄ともふもふ
38P
千川真央(27) 東京都
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
迫稔雄先生
突拍子もない展開を最後まで読ませる世界観がありました。各シーンの絵を十分に練りこんで、雰囲気を出せばもっと良くなると思います。
編集I
“男嫌い”とニコラ君の話が噛み合っていない。中盤はどんどん設定が追加されて方向がずれていって最後に思い出したように“男嫌い”に戻して入口と出口をつなげた印象です。描きたいテーマを表現するのに最適なエピソード・設定・キャラの選択を心がけたいです。
編集K
説明過多な気もするが、鉄子を通しての他人への判断というテーマはちゃんと描けている。仔犬とぼっちゃんというところに萌えがあるのかわからないが、入れ替わりの仕方がギャグっぽく安易な感じが逆によいのでは。描きこみも丁寧で好感が持てると思います。
編集K
人物の捉え方として表に見える部分と内面の部分とをしっかりと見極め、描こうとする人間観には好感。ただ、その真面目さゆえかストーリーをまとめにかかってしまっている。また、鉄の女⇔かわいいもの好き、などのギャップを説明的にではなく「読者にとって魅力的なもの」に見えるよう、絵やエピソードでしっかりと工夫して欲しい。特に主人公キャラと子供キャラの絡みをもっときわどい線まで膨らませて、楽しませて欲しかった。
編集Y
ドラマ不在でありながらも、キャラクターとその関係性だけで読ませてしまうのは新人作家としては稀有なタイプかなと感じました。初めからドラマを捨てる選択をするのであれば、設定を整理し、もう少し短いページ数におさめた方が読み味は良かったのかもしれないと思います。
編集H
かわいらしい絵柄なり、今後伸びそうな画風ではあるかなと(年齢考えると微妙なラインですが)。ただ、本題に入るのが遅く、なおかつ本題が何なのか…というところなど構成が整理しきれていない感想。主人公の「鉄の女」という要素が解消されていく話なのであれば、イケメンヒーローだけでいいはず。ショタっ子が変身するなどの要素が特に主人公に影響を与えていないので、もう少し設定を取捨選択してもらえるといいのかなと。
編集F
主人公のビフォーアフターは描けていると思います。ただ、出会いが重複しているのでシンプルな話のはずなのに遠回りしてしまっている印象です。特に幼児との出会いに必然性がないのは気になります。ラストの持っていきかた的にも色恋はテーマじゃないはずですが、やたら結婚を持ち出すので、主人公の憂さやコンプレックスの受け皿になっていないように感じました。フランス人との対立を通しての鉄女のデレがもっと見たかったです。
編集N
絵は上手だと思います。表情も豊かですし読みやすいです。三人のキャラや関係性は割とわかりやすいとは思うのですが、結局何がしたいのかが分からなかったです。主人公の性格が二コラによって変化していくのという終着点にしてあげるだけでもよくなるのかなと思います。

期待賞+初投稿賞

心中屋
42P
石黒テル密(23) 東京都
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
迫稔雄先生
内容は全体的に読者側から読み解いてもらわないとわからない部分が多いです。もう少し、漫画内で理解しやすいように配慮が必要。
編集I
女性の絶望的な過去が描かれていないので心中屋に堕とされる説得力が薄い。心中屋の自己満足のためのみが原動力なので、相手は救われない。
編集K
完璧な世界観。この人だけの表現も作り上げられている。ただ、心中屋としてのクダクが香りをもとに対象を選ぶ様子や彼の目的などのアウトプットがやや独りよがりで、読者が置いてきぼりになってしまっているのは残念。
編集K
シーン作りを明確に意図していて、独特な世界観を作れている。ただ、感性と観念でストーリーを進ませるので、読者目線を築けていないのが残念。読後感に何を残したいのか?今のままではマイナス思考過ぎると思う。逆に、メランコリックさの裏側として人間賛歌を表現するなら、ゲストキャラが死を望む心境をしっかり作る必要があると思う。ここまで行くと死にたい気持ちにはなるよね、でも、死の瞬間に後悔に気付く、本当は欲望が暴走して死の幻影を見せていただけ。自分の悩みは死ぬほどのことじゃない…。心中屋自身のスタンスは今のままとしても、例えば、そんな風に感じられるようなドラマを目指して、作り込んで欲しい。
編集Y
やりたいことは明白ですが、冗長かつ独善的な作りが目に余りました。せめて「しょうしょく心中」のくだりは、伏線なりキャラ設定なりを用意して、説得力のあるシーンにしてほしかったです。救いのない終わり方も、一体誰が得をするんだろう…という印象です。「自分のやりたいこと」=「読んだ人が楽しめること」を前提に次作に取り組んでいただきたいと思います。
編集H
独特のセンスは感じます。うまくやればネウロにはなれる…か。なんとなく作者が描きたいものは描けているような気はしますが、「心中屋は結局どういう存在なのか」というところが説明不足なので(人魚食ったなど不死の理由がわかりやくあればいいのだが、見世物小屋の芸人とは…?)、そこをもっと過去のエピソードとともに描けると、わかりやすくなり、またキャラに魅力が出るかと。
編集F
描きたい絵と雰囲気のイメージがある方だと思います。趣味がハッキリしてて良いですね。ただ「心中屋」の定義はもう少し分かりやすく描いてほしかったです。結局のところ何屋だったんでしょうか。解決して生かしたいのか、死にたがりなのか、主人公の行動原理がぼんやりしています。作風が変化球な分、楽しみ方はストレートにしないと混濁した読み味になってしまうのでは。
編集K
読み味が不明瞭。奇才型の場合、論理的・感情的に共感できないため、その分凡人型以上に、彼の成すことがたとえ偶然であろうが[納得=カタルシス]を求めるものです。この場合は「死ぬ」に値する人間をターゲットにするなり、主人公にそれなりの仕返しをするなり、天秤を意識すべきでした。残念ながら現状、演出では押し切れていません。……作者の持つ世界観は微量なりとも感じられましたが。
編集N
心中屋さんという設定と絵がマッチしていて、良かったです。心中する相手の心の中をもっと深く掘り下げることができたらよかったと思います。死ぬって結構なことです。主人公の過去と主人公の「逝く」条件がもう少しわかりやすいといいとも思いました。相手に「生きたい」という感情があると死ねないのはなぜなのか、そこが彼の過去とリンクしているとすっきりしたのではないかと思います。

期待賞+初投稿賞

Garden
42P
石崎千尋(24) 滋賀県
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
迫稔雄先生
全体的に不親切な展開で、置いて行かれそうだったので、詰め込まず、内容を感情移入できる作りにできればいいと思います。
編集I
オリジナリティあふれる世界観を楽しめました。悲哀と救いがこのページ数でうまく表現できてました。枠線や主線の太さやコマ割り、背景をきちんと丁寧に描いた次回作に期待です。
編集K
魔法を使った派手な戦いとかも見たい気はするが、そこに行かないで心理の庭で読ませるのは作者の力量かも。ただ、読者の想像力に助けられている部分が多大なので、読み手次第では消化不良な感じを受けてしまうかも。
編集K
魔法使いという設定と「心の庭」=「人の夢」を行き来できるという設定の融合は面白いアイデアだと思う。キャラは独自性の乏しさがあるけれど、全体はよくまとめられている。現実社会で暴走する使い魔を倒すのと夢の中に行くことの違いなどアイデアのブラッシュアップは欲しい所。また、「夢の中」が現実と違うことを表現する為にも、現実世界の背景などロングを含めしっかり描出して欲しいし、もちろんメイン舞台となる夢の世界も。また、今話で言えば、主人公が使う魔法のシーンは見てみたかった。セリフでまとめるのではなく、絵で楽しませるエンタメへの意識を高めて欲しい。たくさん描いて是非、ペンのレベルアップを。
編集H
キャラデザや会話には何かしら希望は見えるかなと。しかし、いかんせん使い魔の存在理由や夢の世界が何なのかなどが説明不足だったので、世界観にうまく入りきれませんでした。登場人物もこの3人である必然性(主人公いるか?)も薄く感じたので、もう少し設定を絞りつつ、ドラマ描写を深くしてほしかったです。
編集F
いろいろ設定は込み入ってますが、この作家さんがやりたいのはシンプルなドラマなのかなと思いました。魔法が絡んだ事件なのに魔法で解決されなかったりと現状納得いきづらい点が散見されます。登場人物の取捨と役割はもっと意識してみた方がいいと思います。
編集L
モチーフとストーリーが噛み合わず空中分解を起こしてしまっている印象です。「心の庭」を軸とするならば使い魔や魔法の要素は削ぎ落していいし、「魔法によって不幸になる人への救済」が描きたいなら余計なモチーフで読み手を混乱させるのは不親切。少なくとも「使い魔」と「庭」はどちらかを捨てるべきだったのでは。絵のムラッ気の激しさを整えていけば画面としては美しくなると思います。
編集N
絵がもう少し上達すると、描きたい世界観は描けるようになるのかなと思いました。セリフを誰が言っているのかわかりにくいところが多く若干の読みづらさを感じました。ストーリーも、もう少し詰めるべきだと思います。

期待賞+初投稿賞

籠鳥 空に笑う
20P
久胡竣輝(20) 京都府
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
迫稔雄先生
お金を稼ぐために連続殺人を犯し女の子と涙し合うこの内容だと、「空」というキャラクターにそうせざるを得ない設定がなければ、ただの愚か者でしかありません。感動を誘うように工夫しましょう。
編集K
最後は殺してといわれて殺してしまうのではなく、この漫画、この主人公なりの解決策を見いだして欲しかった。
編集K
ラストの掛け合いと終局のシーンのセリフは「ハッ」とさせられた。が、難病の治療費の為ということでいえば、もっとできることがあったのではないか?選択肢が極端すぎる気がする。また同時に主人公を犯人と疑う論拠も乏し過ぎて、唐突感が否めない。ストーリー進行の雑さ・強引さが結果として主人公たちの行動の独善性を強め過ぎていて感情移入しづらい。行く先無き人間の感傷を読者と共有できるよう、行間の「行」の部分をもっと丁寧に作って欲しい。爆発力のある描き手だと思うので、次作におおいに期待しています。
編集Y
個人的に評価が難しい作品でした。かなり粗削りですが①20Pでそれなりにまとめている②18歳で良い表情が描けている、など評価したい点がある一方、このタイプの作品をデビュー作に持ってくる作家が、きちんと商業誌で活躍しているのをいままであまり見たことがないので。。。ただ期待したい気持ちももちろんあります。
編集H
この短いページで起承転結でうまくまとめているのは好印象でした。多少荒はありつつも「病気の恋人?のために殺人を犯す」というのは、非情ながらもわかりやすい行動原理かなと。ただ、ふたりの過去や関係性があまり描かれていなかったので、なぜそこまでしないといけないかは不明瞭でした。もう少しキャラに共感できる過去のエピソードがほしかったです。
編集F
描き始めに近い状況だと思うので画面的な影響はさておき。読者の予想を裏切ったうえで期待に応えようとする姿勢は持っていてほしいです。犯人が誰かではなく、彼女の要求に主人公がどう応えるかがこの作品の肝だったはず。そこを流すのは厳しいかと。どうにも雰囲気で置きにいった感じがしてしまいました。
編集K
喰種の食欲=生存欲求が根拠になっている殺人と、単純に金銭を目的とした殺人とでは、納得の段階が異なるため、展開上強引に感じられる部分が少なくありません。良いテーマだとは思いますが、金銭を目的とした「嘱託殺人」は動機に対する説得力があってこそ活きるテーマだと思います。ここで理由として挙げられている「幼馴染」&「恋心」&「病弱」(しかも全てエピソードなし)で納得するでしょうか?ただ、コンパクトにまとめようとする意識が論理を飛躍させたともとれるので、次回作では是非説得力ある作品で挽回してもらえることに期待します。
編集L
殺人鬼の設定はどうしても不要に思えます。14~15の「悲しさ」の伝え方は非常に心に響くものがあるので、「あなたに殺してほしい」というその理由を「恋人が殺人鬼だから」ではなくもっとリアリティベースで納得のできるところから構築しなおすとよいのではないかと。いい表情を描く人だと思いました。
編集N
20ページで描くとなると難しいのかもわかりませんが、二人の関係性をより丁寧に描くことが必要な作品なのかなと思います。空が連続殺人犯と気が付くシーンも唐突に感じます。まだ18歳ということですし、描きたい事は明確にあってそれも伝わってくるので期待できるのではないかと思います。

期待賞+初投稿賞

水子裁判
32P
サヤマユカ(22) 大阪府
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
迫稔雄先生
不気味な内容をもっと楽しませることができるはずです。“見せる絵”“コマ割り”など、もっと意識しましょう。
編集K
裁判が大人の側のやりとりだけで行われていて、肝心の子供(水子)の主張があまり描かれないのは不満が残る描き方だと思う。それから受けた“罰”が本当にこの女性にとっての罰なのか、未来が書き換えられただけなのかがわからないのも漫画の主題から外れているのではないかと思う。(水子の望みがかなっているという点はわかるが)
編集K
面白い感性だと思う。何故、水子で裁判にしようと思ったのか。裁判もあのようなシーンで描いたのか?水子の願い、という読後感も不思議な着地点を目指しているように感じた。興味深い作家。表情描写はまだ固さがあるが、しっかりと演技させようとしている。引き出しがどれくらいあるのか見てみたいし、たくさん描いて、画力や構成力をもっと高めて欲しいという意味で次作が楽しみです。
編集Y
アイデアも悪くないし、非常にコンパクトにまとまっていて好印象です。ただ、扱うテーマが重いので「堕胎」についてはもう少し深く掘り下げてほしかったです。いわゆる「人間を描くため」の裁判の演出等が弱かったのかな…と。
編集H
「水子裁判」というアイデアは調理のしがいがありそうでした。しかし、今回の被告のドラマが、ありきたりだったのが残念。もう少し共感もしくは、嫌悪するようなドラマ性がほしかったです。
編集K
デリケートですが、面白い企画だとは思います。しかし、作者が思いついたアイデア(水子・裁判の双方)を扱いきれていない印象。テーマが根源的な悲しみ(命の喪失)に関するものである以上、「ベッドで涙」「夫に隠し事風」「そのことから~逃げることができません~」程度では、中絶と報いの天秤が釣り合っていないように感じられます。中絶は殺人だと考え得るからこそデリケート。たとえば「夫に捨てられた後訪れるだろう悲劇の妄想」「連夜続く殺した子供の悪夢」「堕胎時の契約書の捺印シーン」などなど、「選択」「後悔」を現実世界以上に深堀して、2倍3倍で描いてはじめて納得(殺人と報いのバランスが釣り合う)できるものになるのではないでしょうか。
編集L
情報の取捨選択が行き届いて読みやすかったです。ただ、それ故に本来はもっとねっとりと描かなくてはいけなかった、主人公の女性が自らの罪に目を背けようとしつつも実体として現れた「水子」を触媒にその罪に呑まれて行く様、が極めてサバサバと処理されてしまっています。これは本来「判決の理不尽さ」と対になる読みどころなので、このコンパクトさは持ち味として生かしつつ筆の粘り気を増す方向で伸びてほしいなと思いました。
編集N
裁判とわざわざ言うのであればきちんと裁判をしてほしかったです。結局最後に主人公が何を思っていたのかというところが、中絶していた子のことをどのように感じて生きてきていたのかあまり描いていないことで見えにくくなっている印象でした。

期待賞

顔に塗るのは好きじゃない
36P
江野継夢(20) 大阪府
賞金10万円
期待賞10万円
迫稔雄先生
化粧トラウマの原因とそれを乗り越える方法が、このお話のキモです。読者を惹き付けるキモを作りこんでください。
編集S
主人公が為したのは実質助言。主人公が為すべき奇跡に正面から取り組んでください。
編集I
好き=原石はちょっと違う気が…。「こんな生活していると必ず恨みを買う~」もそうですが、ご都合のためなのか疑問に思うポイントがあるので、醒めてしまうのが残念。価値観の押し売りに見えないスムーズさが欲しかったです。
編集K
えっ、好きだったの!?という謎展開でした。そういう恋愛感情抜きで描いたほうがよいテーマだったのではないかと思いますが…化粧のビフォーアフターは描き分けれていると思いますが、ビフォーがそんなにもきれいだとは…ここは画力というか表現力でしょうか。
編集K
題材的にはいい作品だと思う。が、すっぴんよりも化粧が素晴らしいポイント、ヒロインを好きになったポイント、変わりたいといったポイント。そういった一つ一つの重要なポイントが軽く、雰囲気で流してしまっていて、全体的に煙に巻かれた印象が否めない。テーマを伝えることを重視しすぎていて、組み立てが疎かになっているように思う。ともすると主張の押し付けになってしまいかねないので、人の気持ちのプロセスの部分を丁寧に作って、面白く読ませて欲しい。
編集Y
シンプルな作り、設定で読みやすさはあるが、ネームのテンポを最後までつかみきれず、読み流されてしまう結果になっているのでは?ただ、まだ年齢も若いのでそこさえいまから叩き込めば、可能性は全然あるのではと思います。線も綺麗で、個人的には画もまだまだうまくなるのでは、と思います。期待したいです。
編集F
所々見られる艶っぽい表情は磨けば武器になると思います。美をテーマに取り上げていることに新鮮味を感じつつ、でもこの主題ならヒロイン視点の物語の方が飲み込みやすかったのかなとも感じました。また『君に届け』のようにブス扱いされてる隠れ美人ならともかく、公に美人な人が化粧を恐れていてもやや同情しづらい気も。ラストの見開きを際立たせる意味でも、前半は野暮ったく描くべきだったのでは。
編集K
そもそも論ですが、化粧はやはり「個人の自由」なので、よくわからない話になってしまっている気がします。たとえば、これが「万引き」や「ドラッグ」等であればギリギリそこに強制的な矯正力が働いてもおかしくないんでしょうが、現状ではご都合物語にしかなっていません。最後の見開きの絵は素敵でした。
編集L
主人公もヒロインも「常識的視点」ではないのできちんと人間を掘り下げてあげないと共感は得られないのに、掘り下げが甘い印象でした。2ページの顔が可愛くないのはさすがに修正すべきだったのではないでしょうか。あと、普通美容院ではメイクはしないのでは…(間違ってたらすみません)。「すっぴん絶対許さないマン」VS「化粧絶対受け入れないウーマン」の掛け合いにきちんとドライブをかけていけば面白くなると思いました。
編集N
全体的に話が唐突で、二人の想いに介入できないまま物語が進んで行ってしまい苦しかったです。最後の見開きはすごくきれいでよかったと思います。

#052 審査員嘘喰い迫稔雄先生

読者が読もうと頑張らないと読めない漫画にならないことを、まず第一に心がけてください。

編集部総評

「これを描きたい!」という気持ちのこもった作品が多かったのはいい点でした。次はその「感情」をなるべく多くの読者と分かち合えるように、設定やエピソード、構成などをしっかり組み立てて欲しい。プロセスのシーンこそ楽しませないと、読者がページをめくらなくなってしまうことを意識して次作に臨んでもらえたらなと思います。