連載するために、自分には何が足りないのか?!
答えを探すために、新人漫画家2名が田中一行先生に「連載を勝ち取る方法」を直撃取材!!
第1部では田中先生が全・新人漫画家に伝えたいことをお届けします!!
- 田中一行
- 2011年に『イコン』を月刊アフタヌーンで連載開始(初連載)。『エンバンメイズ』『概念ドロボウ』を連載したのち、週刊ヤングジャンプで『ジャンケットバンク』を連載中。
- 下元 朗
- 『モーニング・キルズ・ミー』が第83回シンマン賞で佳作を受賞。今回、田中先生に講評いただく『酸性の斑体』は荒木飛呂彦漫画賞で準大賞を受賞した力作。
- 前田マックス
- 『件の眼』が第90回シンマン賞で佳作を受賞。今回、田中先生に講評いただく『戦国の奇術王』など、歴史を題材にした読切作品が「となりのヤングジャンプ」「ヤンジャン!」で多数掲載。
レッスン1:漫画の本質を疑え――。
「Q.1 漫画に必要なものって、何ですか?」
下元&前田 よろしくお願いします!
田中 早速なんですけど、「漫画にとって最も大事なこと」って何でしょうか。「漫画を描くにあたって大事な事」って何がありますか?
下元 キャラクターでしょうか。
前田 ページめくったときの驚き...ですかね。
田中 どちらも非常に大事ですね。お2人を含めて新人漫画家さんって皆さん、ある程度の漫画を描く経験を積んで、技術や知識、漫画を描く上で気をつけたほうが良いことをたくさん吸収していると思います。でも結局、漫画にとって1番重要なのって、面白いことなんですよ。キャラクターとか、ページをめくったときの驚きというのは、面白くするために用意することの1つで、1番上に置かなければいけないことは単純に面白いことそのものなんです。
田中 なんでこんな当たり前の事を言うかというと、優先順位の1番上が面白くすることじゃなくなってしまうときがあるからです。例えば、打ち合わせで編集さんに問題点を指摘されて、「ここを直してください」って言われた経験があると思います。なぜ修正するかというと、面白くするためですよね。でも誤解してはいけないのは、問題点を修正したからといって面白くなるとは限らないということです。
よく漫画を恋愛に例えるんですが、好きな子に告白するときに「悪いところ全部直すから、僕のこと好きになってよ!」と伝えて付き合ってくれる人は多くないと思います。それより多少悪いところがあったとしても、とびきり良いところがあったほうが付き合ってくれる可能性は高いんですよ。
漫画も同じようなもので、だからこそ、良いところを潰す修正っていうのは、絶対にやってはいけないんです。編集さんから修正点を伝えられると、「直さなきゃ」と思うかもしれませんが、修正する前に、まずは一旦この修正がその漫画の面白さに繋がっているかどうか考えてから修正する癖をつけたほうがいいです。
これが1個目なんですけど、1番大事です。正直、これが実行できていれば、連載を勝ち取る日も近いと思います。他の話は全部忘れてしまってもいいので「漫画を描くときに最も重要なことは、いろんなことを含めて面白くすることです」っていう話だけ、覚えておいてください。
次回のテーマは「漫画家の条件」を疑え――。
田中先生が考える「漫画家にしかできない仕事」とは?!
田中 うちの仕事場にもアシスタントとして研究生が2人来てくれています。その子たちはいつも「連載を取りたい」と言っています。今日来てくれたお2人も、僕の漫画の事より、自分の漫画をどうしたら連載が取れる位面白くできるのか気になっていると思うんです。なのでまずは漫画を描く上で重要でシンプルな事から話していければと思います。