週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 赤坂アカ先生特別インタビュー

複数の大ヒット作品を手掛ける天才漫画家 赤坂アカ先生による新人作家 質問回答コーナー!!
赤坂アカ先生に新人作家か抱える悩みや疑問を解決していただく企画!!

漫画を描くモチベーションを維持する方法を伺ってみた!

Q:前回より面白い作品を作れる自信がなく なかなかモチベーションが上がりません。創作意欲を掻き立てる方法を教えてください!

赤坂先生:短いスパンで締切りを設けていくことが大切だと思います。”描かなければならない”という不思議な使命感が湧いてきますよ。特に読切の場合は、1週間後・1か月後という長いスパンではなく、2日後・3日後とかなり短く感じるくらいの間隔で締切りを設けることをオススメします。次の打ち合わせまでの期間が空いてしまうと、何もしない時間や、1人で闇雲に悩んでしまう時間が発生してくるでしょう。そこからモチベーションがどんどんと下がっていく恐れがあると思います。1人で抱え込んでも新しいアイデアは出てこないと思うので、人(編集者)と話す機会を増やすという意味でも締切りを細やかに設けましょう。

Q:担当編集者からのコメントを踏まえてネームを修正することが出来ず、自信をなくしています。打ち合わせへの臨み方を教えてください!

赤坂先生:1度の打ち合わせで編集者からの指摘を全て改善しようと無理しないことが大事だと思います。幾つもの課題を同時に解決しようとすると、考えなければならないことが多くなり疲れてしまう。場合によってはかえって問題が悪化してしまうこともあります。1回の打ち合わせで1個の課題を克服するという風に地道に解決していく方が近道になることもあると思います。

Q:ネームのボツが続き、自分が何を描きたいのか分からなくなってきています。自分にとって得意なジャンルを見つけるためのコツを教えてください!

赤坂先生:「自分には、このジャンルしかないんだ!」と最初から固執し過ぎずに、ラブコメ・バトル・グルメなど色々なジャンルの物語を描いてみることだと思います。ネームのボツが続くと、「このネームは面白くないかも」と自分の作品に違和感を持ちながら描き進めることになり、ネーム作業に対して苦手意識を持ってしまう人が多くなると思います。しかし、そこで描くことを止めずに色々なジャンルのネームをチャレンジしてみてください。ネームの数をこなしていくうちに、自分に向いているジャンルを発見できる瞬間が来ると思います。自分が本当に描いていて楽しいと思える領域を発見してほしいです。

作品の面白さを高める技巧について伺ってみた!

Q:作品がヒットするために一番重要だと考える作業を教えてください!

赤坂先生:企画の数を出すことだと思います。決め打ちで1個の企画に拘るよりも、百個の企画を考えて、一番面白かったものを選ぶ方が面白い漫画の出来上がる確率が高くなると考えています。まずは簡単にプロットを書いてみる。「面白くないかも」と直感的に感じたら、すぐにその企画はボツにして新しい企画を考えるという風に回転数を上げる方が精神的なダメージも少なく、効率も良くなると思います。一つの題材に固執して修正を繰り返し続けた結果、何かまとまりのない作品になることはよくあることだと思うので注意してほしいです。

Q:映画や漫画などの作品を鑑賞する際、先生はどのような点を意識していますか?

赤坂先生:作品を鑑賞する際、どうして面白いと感じたのかを分析することは勿論大切ですが、どうして面白くないのかを分析する癖をつけることの方が重要だと思います。特に漫画の第1巻やアニメ・ドラマの1話を見て、どこが悪かったのかを検証する作業はオススメです。失敗は再現性が高いです。盛り上がらない演出や展開、冗長に感じる尺の取り方などをストックしていき、類似した失敗を自身の作品内でしないように心がけてください。

Q:起承転結の「転」を盛り上げるコツ教えてください!

赤坂先生:作品内で取り扱うテーマからは想像のつかないキャラクターを用意することは、クライマックスの盛り上がりに繋がると思います。スイカに塩をかけると甘みが増しますよね、漫画においても同じことは言えると思います。例えば、『命の尊さ』をテーマに描くとなると、医者という設定も思いつくと思いますが、それでは「転」の盛り上がりが作り辛いと思います。『命の尊さ』をテーマに取り上げたいならば、キャラクターは殺し屋にするということです。殺し屋が人の命を救ったという話のオチの方が読者はびっくりすると思います。

Q:物語の舞台をSFやファンタジーなど現実とはかけ離れた世界を描きたいです。その際に気をつけるべきポイントを教えてください!

赤坂先生:単行本の帯に一言で書けるような、分かりやすい世界を作ることだと思います。設定を複雑にし過ぎないように意識してください。できるだけ最小限の設定と、その設定がもたらす波及作用によって全てを説明できる方が、読者への説明も少なくなり物語自体が濃くなると思います。世界観の設定を2つ・3つと増やしていくことは読者の負担になるということを忘れないでください。

Q:キャラクター配置の際に意識していることを教えてください!

赤坂先生:コメディリリーフのキャラクターを多く出してあげることです。具体的には、笑いを取れるお調子者というイメージです。場面転換の際に状況説明を違和感なく行ってくれたり、シリアスな場面で緊張感を和らげてくれたりするので重宝できます。私の場合は漫画に出てくるキャラクターの半分程度は、場面によって笑い取れる役を担えるようにしています。さらにそのうちの半分は、いかなる時でも笑いを取れる明確なボケキャラにしています。藤原書記が分かりやすいと思います。『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』に関しては全員がコメディリリーフを担えるようにしています。

Q:キャラクターを作る時に意識していることを教えてください!

赤坂先生:キャラクターを流れや雰囲気で作らないことです。例えば旅館の娘と聞くと、健気に親の仕事を手伝う素直なキャラクターは想像しやすいと思います。このように流れに沿ってキャラクターを作ろうとすると、パンチは弱くなり個性が感じ辛いものになると思います。解決策としては、イメージとは真逆のことをするキャラクターに仕立て上げることです。旅館の娘がチャラくて、浅いことばかり言っていたらちょっと面白くないですか?
加えて、売れないキャラクターは作らないようにしています。当初、『推しの子』の主人公は医者ではなくヤクザでした。でもメディア化が波及し辛いという話を聞いて、今の形に修正しました。

画力を上げる練習方法について伺ってみた!

Q:先生は新人の頃、人物の絵についてどのような練習をしていたのか教えてください!

赤坂先生:フィギュアを少しずつ回転させて、見える角度ごとに人体を描く練習をしていました。同じ素体、同じ素材を回転させることで、見え方が異なると絵がどのように変化するのか理解できるので僕はお勧めです。漠然と模写やデッサンをするだけでは、自分の好きな構図ばかりを描いてしまう恐れがあるので気をつけてほしいです。

Q:キャラクターの構図を学ぶおすすめの方法を教えてください!

赤坂先生:ペン入れまでせずに鉛筆のみで雑な漫画を速く描くことをオススメします。例えば、漫画を描いているうちにキャラクターが物を持つ場面が出てくるとします。そうすると物をつかむ手を描く必要に迫られる。他にもキャラクターが走る場面が出てくると、振り上げる足を描く必要性が出てくる。漠然と描くより迫られた環境で描いたほうが一つ一つのポーズから逃げずに絵を描くことができると思います。また、速度を上げることで色々な構図に出会う機会が増えるでしょう。

最後に

――ヤングジャンプ新人漫画大賞に投稿する新人の方に向けてエールをお願いします!

赤坂先生:今は本当に恵まれた時代です。デジタルで様々な線種を簡単に使い分けられたり、3Dポージングソフトがあったりと絵を上手く見せるツールが豊富にあります。自分の絵が少しでも上手くなる可能性を感じたら、固定概念にとらわれず、果敢にそれらのツールを使って自由に漫画を描いてみてください!楽しみにお待ちしております!

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