週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 久住太陽先生特別インタビュー

11月期の審査員を務める久住先生に特別インタビュー!!
クールかつキュートな作品を生み出す秘訣に迫る!

1枠1番『迫力の出し方に迫る!』

――レース中のような手に汗握る「疾走感」を出す方法を教えてください。

基本的には「大げさに表現する」ことだと思います。漫画というのは基本的に動きのない媒体なので、少し大げさに描くようにしてあのスピード感を出すようにしています。実際に走っている人間よりも前傾姿勢に描いたり、「そんな体制で走れるわけないだろ」というくらいの表現をすることもあります。「実際に速いかどうか」よりも、「速そうに見えるどうか」を大事にしていますね。ウマ娘には尻尾があるので、人間よりも低い姿勢で走ってもバランスが取れるというのは、僕が思うに一応理にかなっているんですが(笑)。

――作中の特徴的な「描き文字」も迫力の一要素になっていると思います。何か工夫されている点はございますか?
※描き文字=漫画内で手書きで描かれる擬音等の文字

描き文字は文字としてではなく、エフェクトのようなものとして考えています。漫画表現の一部として捉えて、絵に組み込むようにして描くように意識しています。レース開始時の「ガシャコン」というゲート音などを地面に貼り付けて描いていたように、空間に貼り付けたり画面のパースに合わせて表現すると、その空間に合った音が出ているように見えると思います。

――レース中、多彩な勝負服の動きで迫力を出すためにされている工夫などはございますか?

大前提として服の構造などをよく考えて人体に沿って描くようにしています。縫い目がどこにあるのか、ここの布はこのくらいの硬さなのかといったことを考えながら、描こうとしている体の動きと連動させたときにどこにしわができるのかを頭の中でイメージしている感じです。そのためにファッション誌などを読むことも当然ありますが、本物の衣服を手に取るのが一番参考になります。目で見て手で触って服の構造を観察することで、「ここの構造はこうなっているからこういったシーンに使用できる」という引き出しを増やしています。

――レース中、領域ゾーンをはじめとした必殺技のような表現をよく見ます。こういった演出はどのようにしてうまれたのでしょうか?

ある意味「スポーツ漫画」という枠にとらわれすぎないようにしています。僕はもともとバトル漫画ばかり描いていた人間なので、バトル漫画的な演出というか、少し大げさな表現を積極的に取り入れるようにしています。「ウマ娘」のスピンオフのお話をいただいた際は、なにせ「プリティーダービー」なので、出来る限り原作に寄せて可愛く描かなければならないと考えていました。そんな時『ガールズ&パンツァー リボンの武者』の熱い戦いを読んで、スピンオフだからと女の子を可愛く描くだけが正解ではないと思えました。今では肩の力を抜いて、型にはまらない自分の好きな描き方で進めることができています。

次週は…『原作との向き合い方に迫る!』

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