次々と物語を生み出し続ける赤坂先生から企画を作る秘訣を伺いました!
第一幕:企画の一歩目はどこから?
――企画を一から立ち上げる際の一歩目はどこから始めるのかお伺いしたいです。
――物語の中でご自身の実際の経験を入れ込むことはありますか。
登場するエピソードの細かい部分に関しては僕の経験を踏まえているものが多いです。自分が全くわからないものは描かないようにしたいので、自分がディテールを知っていることしか描きません。おそらく僕の身の回りの人が一番僕の漫画を面白く読めると思います。ここの要素ってこの間のあの出来事じゃないかみたいな感じに(笑)。
『【推しの子】』は自分から情報を取りに行って、得たものを漫画にしました。きちんと芸能界に関して調べたからこそ、読者がもう少し芸能界について正しい認識を持って、理解してもらえたらいいなと思っていました。そうすれば芸能界の人もファンである僕らもお互いちょうどいいポジションで関わり合えるんじゃないか、読者自身も芸能界の一員みたいに思えれば、もうちょっと住みよい世界になるのではないかという願いもありました。
――芸能界を題材に選んだ際の狙いをもう少し教えてください。
令和になって、SNSの力が大きくなり、誰しもがインフルエンサー的な要素を持てる時代になったと思います。だからこそ今の読者は、何か一つきっかけがあれば、すぐ簡単にバズって、自分がある日突然スターになれるかもしれないという当事者意識があるのではないかと思いました。芸能界という題材を扱うことで、YouTuberになりたいと言う若者たちがたくさんいる今の社会が持つ一つの願望に向かってボールを投げられるのではないか、その願望に対して自分が調べた生の情報を与えるというのは、読者にとって楽しくて、わくわくする要素になるのではないかという狙いがありました。
次回は…一話や序盤で大切なこととは?
企画の一歩目は読者の願望を叶えようとするところからです。読者の願望に向けて企画のボールを投げるというイメージを持っています。例えばラブコメは「かわいい子と付き合いたい」という強い願望に応えてるジャンルだと思います。読者が持っている願望を強く呼び起こして、それを叶えるためにどうすればいいのか考えたり、達成までに何か大きな障害を与えたりすることで物語が生まれれば、良い設定ができたと言えます。
『【推しの子】』はアシスタントさんが言っていた、アイドルの子供に生まれ変わりたいという願望がきっかけです。さらに僕自身も、芸能界にぼんやりと憧れていて、テレビで出ていた憧れの人に会ってみたいと思う気持ちがあったので、その願望に応える設定になったと思います。