新人漫画大賞で準大賞以上を受賞し、ヤングジャンプの研究生になった3名の受賞作を5週にわたって紹介! 受賞作制作時の狙いについてインタビュー! 「受賞者はどこにこだわり、何を意識して描いていたのか」「過去の受賞作はどんな部分が評価されたのか」など、今から応募するあなたにとってヒントになること間違いなし!
受賞のためのキーポイント①
冒頭から読者の目を引く!
- 担当Check!
- 読者が驚いたり、喜んだりする情報・要素を分析し、意図して演出されていました。情報・要素を提示するタイミングにも工夫があり、効果を高めています。自分の作品を客観的に見られたからこそ出来たことだと思います。


1~3ページ目、顔を見せずに右ページのインパクトのある人魚の顔のアップを引き立てている。
受賞のためのキーポイント②
フリとオチを意識する!
左ページ最後のコマで次のページが気になるように、フリを作ることを大切にしています。例えば13ページでは、最後のコマで男性キャラの「君の名前は…」というセリフで終わっています。そのコマでどんな名前をつけるのか読者に想像させる“フリ”を作り、ページをめくった14ページの冒頭で「スミレだ…」という“オチ”を用意しています。
他にも11ページでは次ページに何をするのか、23ページだとどんな図書館が広がっているのか、31ページは人魚姫の絵本を手に取るカットで真実を知ってしまうのか否か。など、些細なことでもいいのでフリを入れることを意識していました。
- 担当Check!
- ページ単位のフリオチだけではなく、物語全体でも「人魚の名前の由来」というメインのフリオチが用意されています。大きなフリオチを際立たせるために、キャラの表情やセリフ、仕草などの小さなフリオチを積み重ねていくことが最後まで物語に興味を持ってもらうポイントです。


次回も引き続き『にんぎょの交わり』を取り上げます!
漫画賞では応募された多くの作品の中から審査員の方々に選んで貰わないといけないので、導入のインパクトをとても重視しました。
そのために、この作品の肝でもある「人魚の顔まで魚」というコンセプトを1番振りかぶって見せられる形を模索し、実行しています。具体的な方法は、1~3ページ目で読者が見たいであろうヒロインの顔をあえて隠し、4ページ目で魚の恐い顔を大きく見せることでインパクトを強めました。
しかし、ずっとヒロインの顔が恐いと、読者が読み進めていくことに気力が必要になってしまうと思ったので、ページが進むにつれてキュートな表情にしていくことも意識しました。