第2回 週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞 結果発表

佳作+月間ベスト+審査員特別賞+初受賞ボーナス 「ヤンジャン漫画TV」にてボイスコミック化決定! シェイプオブユー

37P

越乃スミ(20)東京都

賞金53万円

佳作30万円+月間ペスト10万円+審査員特別賞10万円+初受賞ボーナス3万円

赤坂アカ先生講評

2P目からインパクトのあるヒロインを登場させていて、テンポ○。表情が見えないという設定も、逆にヒロインの表情が見たいという欲望を駆り立てる上手い設定だと思います。連載もいける設定。ただ、「見えないから見たい」という読者の感情に中盤から照れの記号を入れたり、内心を語らせたりと、半端に応えてしまってる為もったいなく感じました。もっと溜めて一点突破で勝負した方が良いと思います。「ヒロインの表情が見えた気がしたシーン」も描けているのですから。

編集部講評

感情の起伏により体が透けてしまう、という嘘一つで世界観にぐいぐい引き込まれました。 また、顔が見えない(表情を描けない)という縛りがありながらも、ちょっとした仕草や言動で十二分にヒロインの感情を伝える秘術も素晴らしいですね。敢えて最後まで表情を描かないからこその魅力をよく描けていたと思います。

あらすじ

クラスにやってきた転校生は、5年ぶりに再会した幼馴染。やっぱりまだ顔は見えない。文字通り。

期待賞+初受賞ボーナス アイ・マイ・ミー・マイン

14P

独心ボッチ(26)千葉県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

赤坂アカ先生講評

不健全な関係というのは好みのテーマ。怒りを不健全な関係で救い、少しそれを肯定するという形をとるのなら、「怒り」か「救い」か「不健全」か、どれかの要素を強めに描けばこのP数でも刺さるものになると思います。もう少し読者の心をかき乱して、無理やり作った隙を刺して欲しいですね。

編集部講評

ヒモの男性と仕事に疲れた女性のつかず離れずの日常が描かれており、きれいな絵と淡々と進む物語のリズムに惹かれましたが、全体的にエンタメ色は薄く感じます。次回作は、作家やキャラクターがどんな人間なのかもう少し興味が持てるところまで踏み込めるとより良い作品になるのではないでしょうか。

あらすじ

行き場のなさそうな世の中へのフラストレーション。その行き場はなんとなく家に住み着いている年下のワンコ君になってたりする。

期待賞+初受賞ボーナス 国民名誉賞

16P

吉良梅(20)奈良県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

赤坂アカ先生講評

画も味があって、小物を上手く使おうとしたり、名誉賞の男と貧乏な青年という対比など、構造づくりは大分正解に近いと思います。ただ、個人的には主人公が青年を評価するポイントに若干の浅さを感じました。「名誉を貰うべき尊いもの」というテーマを描くなら、立聞きした不幸話より、あと一歩踏み込んだ工夫が見たいところです。

編集部講評

1ページ目でグッと興味を抱かせる画面作り・画風は大きな魅力だと思います。青年誌然としたテーマ選びも好感触です。ただ、些細な日常への賛美的なコンセプト自体はある種普遍的な要素なので、テーマそのものではなく、テーマをどう調理するかを読者は読みたいのだという視点を持てるとまた一つフェーズが変わるのではないでしょうか。

あらすじ

国民栄誉賞を受賞した哲学者。だが彼が見つめる日常の中にこそ、それに値する人々の生活があった。

期待賞+初受賞ボーナス 女児おにいさん

26P

柊馬(33)神奈川県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

赤坂アカ先生講評

伝えたいメッセージに真っすぐなのは好感が持てますね。しかし、イベントが会話だけで成立してる様にも思えました。伝えたいことを正面からだけではなく、読者の意表を突く意味でも少し別の角度から突く工夫をすると良くなるのではないでしょうか。

編集部講評

「食玩が好きなイケメン」という切り口が興味をそそりますし、「らしさ」にコンプレックスを抱えた主人公が最後には克服する、という構造は美しく好感が持てました。ただ、会話相手の推察能力に物語の進行を委ねすぎていて、読後の満足感に欠けているような感じも。もう少しキャラの感情が動くドラマが欲しいところです。

あらすじ

エリート社会人で社内のアイドル枠の先輩は、可愛い食玩を買えずに懊悩する女児枠でした…?

受賞まであと一歩!! 最終候補 持続可能のそのあとに

39P

白書オオキ(19)東京都

審査員総評

[かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~][【推しの子】(原作)]の赤坂アカ先生

現代的な価値観で、多様性に寄り添った話が多い回だった今回の賞。全体的に作画のレベルが高く、誌面に載っていても問題ないなと思います。
多様性を扱える作家が増えるのは喜ばしい一方、オールドスタイルの人々の感心を獲ろうという気概はあまり感じることができなかったようにも。
古いものがあって初めて、新しいものが新しいと気づく事が出来るでしょう。
男と女、子供と大人、老人と若者、怪異と人間、異常と日常、真逆の物を対比させる事で本質の表現に繋がる事もあると思います。ぜひともテーマを最大限に見せる方法というのを沢山学び考え活用してください。

YJ編集部

個性の光る、興味深い回でリニューアルの成果を実感しています。
今回の受賞作品そのものに関しては若く観念的な作品も多かったので、「描いていて楽しいこと」「読んでもらいたいこと」とは別の軸に「読んでもらうために必要なこと」という意識を持った作品を見てみたいと思います。
次回も意欲的な作品をお待ちしております!

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