佳作+審査員特別賞+月間ベスト賞 「ヤンジャン漫画TV」にてボイスコミック化決定! そんな君でも愛してる
50P
賞金45万円
佳作30万円+審査員特別賞5万円+月間ベスト賞10万円
松原先生講評
冒頭のインパクトが凄くて引き込まれました。中盤から展開が切なく切り替わっていくのも読ませる力を感じました。
冒頭の掴みに対して終わり方はどうしても平凡に思えてしまったので、もっと振り切るか裏切るか、どちらかで駆け抜けて欲しかったと思いました。
編集部講評
ギャグかと思ったら“どんな形になっても愛は不滅”というようなテーマがある素晴らしい物語でした。
心情が丁寧に積まれていてよかったです。色々と拙いところもありますが、細かいことを気にしないで良い、雰囲気とパワーがありますね。
一方で、独りぼっちになった時間の描写、家の外での日常描写など、主人公のディテールの解像度を上げることで、より感情移入させる余地はあるように思いました。
あらすじ
大好きな修哉が亡くなり、喪失感に溺れる佳奈。
修哉の死から49日、ガイコツとなって彼は戻ってきた…。
佳作+審査員特別賞+初投稿賞 夏の支配
39P
賞金38万円
佳作30万円+審査員特別賞5万円+初投稿賞3万円
青崎先生講評
彼女が死んでいることはすぐにわかるが、後半にもエモーショナルかつ無理のない展開が用意されていて、面白く読めた。
「未練がある限り来るんだろ?」とか、なかなか出せない発想だなあと思います。拙い線でも夏の空気がよく伝わるし、女の子も可愛い。タイトルも大好き。
松原先生講評
物語の完成度の高さに度肝抜かれました。会話のやり取りも面白く、あえて抱かされてるであろう違和感の回収のタイミングも完璧で、作風として既に完成されてると思いました。これからも描き続けて原稿慣れしていってください。
編集部講評
フックとなるアイディアはそこまで目新しくはないですが、描写力があるのでベタではなく王道の作品として読めました。
「大好きって言ってもらいたい これが未練だったんだと思う」が良かったです。こういう一点を大切に漫画を描着続けてほしいです。沢山描いて絵を上達させ、同時に、インプットを充実させてください。これからが非常に楽しみです。
あらすじ
とある夏の日常――。
りょーちゃんの家に1人の少女が訪れる。
佳作+初投稿賞 マジカタルシス
33P
賞金33万円
佳作30万円+初投稿賞3万円
青崎先生講評
画風のスイッチに入れ子構造のストーリー。挑戦心が伝わり、応援したくなる作品でした。漫画世界内ではトリッキーな行動が無限に取れそうだが、小スケールでまとまってしまったのが残念。画風スイッチも漫画世界側のデフォルメを強めるなどし、差異を際立たせた方がより面白くなったと思う。
松原先生講評
設定にすごく冒険心があり、セリフにもインパクトがあってとても楽しく読めました。漫画の世界に入るという設定を活かすためのメタ発言をもっと楽しみたかったので欲を言えばもっと設定で遊んで欲しかったです。でもどんでん返しもあったので満足度の高い作品だと思いました。
編集部講評
メタ視点を使った物語の構造が見事でした。また異世界に飛び込むP10-11の演出や死に神を倒すP24-25など、重要なポイントでの見開きでの演出が素晴らしい。
構成も分かり辛くなってしまいそうなところを、テンポよく読ませられていてよかったです。次回作からはストーリーの構造だけでなく、キャラから物語を紡げるようになってほしいと感じました。
あらすじ
亡き彼女を思いながら漫画を描く橘かたる。
ひょんなことから漫画の世界に入り込んでしまい!?
佳作+初投稿賞 Bye Bye Sunshine!
24P
賞金33万円
佳作30万円+初投稿賞3万円
青崎先生講評
画力高し。人物も小物もうまい! 同性愛を扱った作品としてはオーソドックスなストーリーだけど、心情がよく描けているし、語りすぎない塩梅も好み。
今どきこの理由でいじめられるかな? というのが少し違和感で、ディテールがあるとなお良かった。
松原先生講評
繊細な絵と内容がシンクロしていて丁寧な画面作りに光るものを感じました。
ただ展開に波があまり無かったので似たようなページが続いてしまっていて勿体無く思いました。
編集部講評
マイノリティを題材に物語を描いた心意気は買いたいです。一方で、このキャラクターゆえの、さらに言えばこの作者ゆえの新しい視点は感じられませんでした。ただストーリーテリングや絵柄の雰囲気は評価したいです。
あらすじ
学校に馴染めない池田は退学を決意する。
唯一、サボり魔でアホの中川だけが心残りに…。
期待賞+初投稿賞 たぬき、学校へ行く
24P
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
青崎先生講評
みんないいキャラしていて続きも読みたくなる。ただギャグはどれも平均点な印象で、もっと尖った部分がないと作品としては弱いのかも。たぬきのキャラデザ、目の描き方が既存作品の影響を強く感じてしまい勿体なく感じました。
松原先生講評
ずっと読んでいられる心地のいい漫画でした。読者を飽きさせないツッコミやギャグをぶち込んでくるタイミングも上手くて最後まで楽しく読めました。
編集部講評
キャラに可愛げがあってよいと思います。たぬきが存在のインパクトとギャップのみに見えました。数多いる動物の中からたぬきを描いた理由がキャラ性や能力と繋がっていたらより印象に残るアイコンになると思います。
あらすじ
暗黒の中学時代を過ごしたひまり。
高校の入学式で出会ったのはたぬき…?
期待賞+初投稿賞 リバイバル
59P
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
青崎先生講評
画風と世界観が合致していて好印象。見せ場も全てかっこよく、描きたいビジョンがちゃんとある人だと感じた。
ネクロマンサーの登場はかなり唐突で、それ以降の展開に乗りきれない部分もあった。せっかくの熱量が惜しい。神話として前半で触れておくなど、死者が甦る伏線があった方が良いと思う。
松原先生講評
見せ場であるアクションと決め台詞が共に爽快で熱を感じました。蘇生したデメリットとして痛覚がより増すという設定も凄く面白かったです。痛みを読者に伝える表現の工夫があればもっと重厚さが増すと思いました。
編集部講評
色々なエンタメ要素を詰め込みつつ最後まで描いたのは好印象です。肉体的強さ以外の強さが描けるように経験を積んでいってください。
あらすじ
奴隷身分であるリュシオス。
自身と顔がそっくりな国王と入れ替わることになり…?
期待賞+初投稿賞 ウェスト・ストレイキャット
31P
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
青崎先生講評
メイクやナンパ術の流れは面白いが、ストーリーのメリハリが弱く、単調な作品に感じてしまった。
大麻の正体も見え見えでサプライズとして機能していない。夜景を入れるなど、大阪の繁華街の雰囲気ももっと出してほしかった。
松原先生講評
会話のキャッチボールが独特で、各キャラのそれぞれの価値観を示す台詞がちゃんと書けていました。
ただ台詞と絵の情報量が多く、読みづらさを感じました。全てのページでぱっと見でもシーンが伝わる画面構成を意識して下さい。
編集部講評
伏線や予想を外され続ける展開でした。「期待を裏切らずに予想を裏切る」は言い尽くされたエンタメの基本ですが、そのためにも何を期待する話なのかは分かりやすくしてほしいです。
あらすじ
バラ色の大学生活を夢見て大阪に降り立つ東野。
実は“生川飢餓”というPNで活動をしており…。
期待賞+初投稿賞 夜の日記
26P
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
青崎先生講評
端正な絵でストレスなく読める。輝夜が可愛い。ストーリーは尻切れトンボなので評価不能。
主人公のモノローグが多いのがやや気になった。森の中のシーンなどは絵だけで焦燥や困惑を伝えたほうが、ホラーテイストが強まったと思う。
松原先生講評
画力が高く、目を引く画面構成にも光るものを感じました。ただ人物のビフォーアフターがどこで切り替わったのかが分かりづらかったです。
この物語の見せ場はここ!というページ配分などを意識するともっと没入感が増すと思いました。
編集部講評
続きが気になるヒキを作れていますが、読切として見たら消化不良感があります。読後感、読者の満足度に影響するので、一定のオチをつけるように意識してほしいです。
あらすじ
姉の忘れ形見“輝夜”と出会った陽司。
少女は夜の森を進んでいく…。
期待賞 種
56P
賞金10万円
期待賞10万円
青崎先生講評
クリーチャーのデザインがとても良く、破壊シーンも大迫力。一方で壮大な導入からミクロな人間関係へシフトするのが、若干拍子抜けに感じた。説明は冒頭でなくてもよかったかも。また、少年よりも主人公・栗田の生態にページを裂いてほしかった。明らかに変な男である。魅力を出せそうなのにもったいないと感じた。
松原先生講評
壮大な設定なのに説明臭さがなく、読ませる力のある作品だと思いました。構図や決めゴマの見せ方もとても気持ちが良かったです。巨大な敵が人と比べて如何にデカいのかが序盤でわからなかったのが勿体無いと思いました。
編集部講評
主人公が虐待されていた少年を救出するという構造は良いのですが、その主人公が何者なのかが描かれておらず勿体なく感じました。
あらすじ
隕石『バベル』から発生した“種”に脅かされる日々。
栗田は1人の少年と出会う――。
審査員総評
[ガス灯野良犬探偵団]の 青崎有吾先生
ストーリー面では取っ散らかった作品が多かったという印象。たぶん詰め込み過ぎなせいかと。必然的にオチも弱くなってしまっている。もっとシンプルな設定と筋書きにし、その枠の中であなたの個性を暴れさせたほうが、短編として完成度の高いものになると思う。
[ガス灯野良犬探偵団]の 松原利光先生
自分の新人の頃と比べて明らかに今のレベルが上がっていてビックリしました。作画のレベルだけでなく設定の面白さも高かったと思いました。
起承転結のカロリーバランスがチグハグな気がしました。この作品を読んだ読者の読後感はどんな感じになってるかな?と意識してみてもらえたらもっと凄いレベルになると思いました…!
YJ編集部
設定や世界観に振り回されている作品が多い印象でした。
キャラクターの魅力・キャラクター同士の関係性の伸び縮みを意識してこれからの制作活動に励んでいただきたいです。
青崎先生講評
候補作の中で最も総合点が高いと感じた。ストーリーもひねりつつ綺麗にまとまっている。ガイコツの衝撃、動じない彼女の二段ブーストが面白い。
彼氏の死因が明かされないのはワザと?読者は「実は彼女が殺したのでは?」など色々考えながら読むので、意識しつつ手玉に取っていただければとも思う。