第29回 週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞 結果発表

佳作+月間ベスト 「ヤンジャン漫画TV」にてボイスコミック化決定! 春鳥

50P

しゃくどうきん(29)東京都

賞金40万円

佳作30万円+月間ベスト10万円

原泰久先生講評

50ページもの大作を描ききったエネルギーに拍手! 会話劇も上手く、主人公とクビライのキャラもすごくいい。内容も面白い! 最後の種明かしには驚き、「おお!」と声が出た。よって、評価を一段階さらに上げさせてもらいました。笑

編集部講評

プロの原稿と言われても通じる画力でした。企画はそこまで入口の広い内容ではありませんでしたが、内容は丁寧でハイレベルでした。漫画力は申し分ないので、大衆読者を掴める企画を見つけられるかが鍵になってくると思います。

あらすじ

13世紀の南宋、とある都に未知の品を求めて世界を旅する冒険商人が訪れる。異国の道具を駆使して街の揉め事を解決していく商人の前に、謎の役人が現れて…?

佳作+初受賞ボーナス 或る暗光

44P

しまあき(22)神奈川県

賞金33万円

佳作30万円+初受賞ボーナス3万円

原泰久先生講評

キャラの絵が良く、コミカルな会話劇も面白い。雰囲気を伝える描写も上手なので、そこにコマを使っていましたが、二人が道を違えたところのドラマこそもっと読みたかったです。それがあれば、読後の印象はもっと強くなっていたと思います。

編集部講評

やりとり、語彙、キャラクター性、非常にセンスがある非凡な才能がわかる描写力の高い作品でした。説明し過ぎていない、サラッと進めることができる情報省略能力も素晴らしいです。ただストーリーに関するヒントが少なく読みづらさも否めなかったので、リーダビリティを意識した次回作に期待しています。

あらすじ

暴力団員・絃は突然自分の死期を悟り、最後の晩餐に喫茶店へ足を運ぶ。そこに警察官となった旧友・町田が現れて…。

佳作 換気要望

50p

しおかず(21)東京都

賞金30万円

佳作30万円

原泰久先生講評

絵が上手い! そして毒親気質の母親のキャラにすごくリアリティがあり、これを21歳の方が描いていることに驚かされました。最後はエンタメ方向にまとめられている良作ですが、後味がちょっと薄い印象もありました。

編集部講評

家族のすれ違いというテーマを解像度高く描き通せていて素敵な作品でした。一方で母親を中心にキャラクターが全員幼く見えてしまいました。今後は好かれるキャラ・嫌われるキャラとは何かを意識して研究していただきたいです。

あらすじ

消防士・颯太は母との折り合いが悪く、地元から離れた東京で働いていた。ある日、母から「換気扇を直して」と言われて実家に帰ることになり…?

佳作+初受賞ボーナス Like a Pair of Scissors

37P

いままい 愛知県

賞金33万円

佳作30万円+初受賞ボーナス3万円

原泰久先生講評

「双子」という情報をまず最初に欲しかったですね。弟が抱く兄好きの感情は、むしろ年の差があった方がより活きた気がしました。母親のキャラも良かったのですが、内容がちょっと先の読める展開なので、その分ドラマをもっと深める必要があったように思います。

編集部講評

動きのある絵柄に雰囲気があり素晴らしかったです。一方で双子のキャラの描き分けが曖昧でキャラクターの判別が難しかったのが勿体なかったです。言動にもリアリティが欠ける点があり、素直に乗れないのも残念でした。たくさん描いて伸びてほしいです!

あらすじ

スポーツ万能な中学生・ソラは、自分と比較される弟・ヒロトが不憫でどんな競技も長続きしなかった。しかしある時始めた高跳びで、ヒロトに記録を越されてしまい…?

佳作+初受賞ボーナス きみは曙光に解ける

54P

奈々なな(23)兵庫県

賞金33万円

佳作30万円+初受賞ボーナス3万円

原泰久先生講評

まず、ファンタジー作品を54ページ描き上げたエネルギーに拍手!! ヒロインの絵が可愛かった一方、上民と下民のビジュアルを区別して分かりやすく描いて欲しかったです。設定ももう少し分かりやすく設計できたら、より間口が広がったと思います。

編集部講評

長いページをしっかり描き切れていて好印象です。一方で、読者にとって馴染みのないオリジナル設定がキャラやドラマの前提になっているので、読み進めるのが難しかったです。今後は理解せずとも共感できるように工夫すると良いのではないでしょうか。

あらすじ

体温が上がると体が溶ける雪の民の長・ミーナは自らの力を使い雪を降らすことで民を守っていた。しかし力が弱く周囲の人間からは情けないと罵られる。見かねた下民の少年・サンがミーナに手を差し伸べ…?

佳作+初受賞ボーナス 真写

16P

はらしょう(19)兵庫県

賞金33万円

佳作30万円+初受賞ボーナス3万円

原泰久先生講評

優しさを感じる絵柄が好印象な作品でした。できれば最後、娘にも父が横にいたことを知る瞬間があり、そこを感動と切なさのピークにもっていければ、ドラマがより深くなったように思います。

編集部講評

短いページにもかかわらず、キレイにまとめられていました。アイディアも狙いもあってよいですが、現状はそれをまとめただけに見えてしまうので、「真写」に納得のできる+αのドラマ・感情が描けているとよりよかったと思います。

あらすじ

娘の高校入学を祝い記念写真を撮ろうとするある家族。訪れたのは榊原「真写」館という不思議な写真館で…?

期待賞+審査員特別賞+初受賞ボーナス 冷凍食品

16P

やまおかたつろう(23)東京都

賞金23万円

期待賞10万円+審査員特別賞10万円+初受賞ボーナス3万円

原泰久先生講評

まず扉絵でノックアウトされました! その後もずっと面白く、力業で最後までもっていかれ、すっかりファンになりました。笑 異質な才能。こんなに躍動するマンガはなかなか見ない気がします。是非今後に期待したいです!!

編集部講評

まだ習作という印象ですが、溢れんばかりの勢いは感じました。キャラ、ストーリー、テーマ、読者を面白がらせる自分の武器を見つけることを目標に次回作へ進むと良いと思います。

あらすじ

彼女の作るご飯が冷凍食品ばかりで不満が爆発した主人公。結局冷凍食品しか作ってくれないので何も口にできず、限界が来たので石焼き芋を買いに行った。

審査員総評

[キングダム]の 原泰久先生

今回は読みごたえのある力作が多く、レベルの高い回でした。その中で、ページ数は少ないですが『冷凍食品』は一際異彩を放っていました。漫画は自由ということを改めて気づかせてもらいました。『春鳥』も歴史大作ですが読みやすく、主人公の好キャラが印象的でした。コミカルな会話の上手い作品が多かったので、あとはドラマをどう深く見せていくのか、その創意工夫にかかっていると思います。皆さん、今後の活躍を期待しています!

YJ編集部

皆さんの個性が強く反映された作品が多く読み応えがある回でした。それぞれ光るところがありとても素晴らしかったです。
ただし全体的に設定のわかりにくさやキャラクター・展開の説明不足感も否めませんでした。もう少し読者を意識した作品作りに取り組むと良いのではないでしょうか。

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