第33回 週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞 結果発表

準大賞+月間ベスト+初受賞ボーナス 「ヤンジャン漫画TV」にてボイスコミック化決定! 本誌読切掲載権&研究生契約権獲得! 人畜生道ひとちくしょうどう-禍言まがごと-

47P

えいわい 神奈川県

賞金63万円

準大賞50万円+月間ベスト賞10万円+初受賞ボーナス3万円

森本大輔先生講評

画力がとても高く、また演出やセリフが工夫されていて終始楽しく読めました。言葉遊びのセンスもとても面白いです。大恩城讃禍御殿が特に好きです。何より果敢に表現や造語で遊ぼうとする姿勢に感心しました。ただ、物語において重要な、2人が関係を築いていく場面がたった3Pのダイジェストなのは気になりました。全体的にバトル描写に力を入れるあまり他の描写が軽くなっていると感じます。キャラの過去や関係の変化にもちゃんとページを使って丁寧に描けば、ただのバトルではなく2人の生き方の物語にできると思います。

編集部講評:

★キャラクターの性格が伝わる初登場場面
キャラクターの初登場場面で、各キャラクターの価値観が分かるようエピソードを交えて描写していた点が良かったです。特に、P11の荷物を奪い取った男に対して、ヒロインがバズーカを撃つ描写で、ヒロインの無鉄砲な性格が伝わってきました(直前のコマで対照的に笑顔をにこやかに見せていたことで、バズーカを撃つ危うさがさらに強調されて伝わりました)。
★魅力が映えるキャラクター描写
面白い物語に魅力的な敵キャラクターは欠かせません。本作の敵も“ギャップ”と“明確な価値観”があり、魅力的でした。まず、P17初登場場面のようにニコニコした笑顔で優しそうに見えるも、P30のように一転すれば急に表情を変えて怖いことを呟く怖さ。そして、P35の「歯向かってくる主人公」を前にして喜びを感じるというキャラクター独自の“価値観”が見えてさらに魅力を感じました。
★キレのある台詞
P22の2コマ目「この世界って死んだ後でも誰かに利用されるんだね」やP43の1コマ目「そりゃ脳天ブチ抜けば死ぬと思うよね」のような、小さいコマの中にもドキッとするキレのある台詞が散りばめられていました。また、主人公を「便所生まれ」のように短い言葉でキャッチ―に見せる言葉回しも巧みだと思いました。
★背景描写の精緻さ
大広間のように描くことが大変な場所でも、ヒキの絵を使って人物がどこにいるかなど情報を分かりやすく処理していて良かったです。逆に、P24に出てくる壁のようなシンプルな背景でも、細かく陰影をつけることで奥行きを感じました。また、背景にキャラクターの絵が沈まないように人物の輪郭線をしっかり太く濃く描いており、細かい部分も工夫されていて良かったです。 P23の脱走直前の手の動きなども、輪郭線がとても明確で意志を感じる手になっていました。
★読者を楽しませる絵作りの数々
まず、立体感溢れる絵柄に独自性があり面白かったです。特に、P43の3コマ目でヒロインが復活する場面のような明暗に富んだシーンだとより立体感が印象的に感じました。また、構図面でも、P33に代表されるように斜め下からのアオリ構図でインパクトある見せ場を沢山作っており、絵作りのカッコよさのために全力を注いでいるのが伝わってきました。「STRIKE!!!」といった擬音語の描き文字も、丁寧に描かれており、画面を盛り上げるのに一躍買っていたと思います。

準大賞+初受賞ボーナス 本誌読切掲載権&研究生契約権獲得! 占召シ屋ギサコ

50P

うらかい(25) 京都府

賞金53万円

準大賞50万円+初受賞ボーナス3万円

森本大輔先生講評

抜群に読みやすかったです。絵やコマ割りが綺麗でセリフのテンポもよく、楽しく読めました。主人公のキャラはよくあるものでしたが、周囲に対する心の声は芯を食っていましたし、細かく挟まる台詞一つ一つが秀逸で面白かったです。気になったのは、話のまとめ方です。「何を言うかではなく誰が言うか」が主題なのであれば田谷波さんの死は別の話ですし、死という大味な展開を使わず日常の中で葛藤を与えてほしかったです。そもそも設定やキャラにあまり独自性がないからこそ、後半の展開に作家性を期待してしまいました。

編集部講評

★主人公の日常描写の丁寧さ
鬱屈した主人公という設定のお話ですが、主人公の様々な側面が描かれていたため不思議と主人公を嫌いになれず、共感を覚えました。冒頭P3から、主人公の家での日常が丁寧に描かれています。家の中では、だらしなく構えて笑いも表に出し、母親にも強い口調で話すさまがしっかり描かれています。しかし、ページをめくった後では一転して自信の無さを露わにした表情が描かれ、家と学校での主人公の振る舞いの落差が丁寧に描写されていてとても共感できました。学校に登校してからのP6~P7の心の声も的を得ていると同時に、盛り上がる周囲とそれに馴染めない主人公が説得力もって描写されていました。一つ一つの描写がとても丁寧で良かったです。
★シリアスな物語を際立たせるデフォルメしたコミカルな場面の挿入
P19の「モブキャラの大袈裟なリアクション」のように、時折デフォルメを巧みに使ったコミカルなコマが挟まれるのが、深刻な物語をコントラストでより際立たせており良かったです。内容はシリアスでも全体として軽い読み心地で、作家の力量を感じました。
★展開に合わせた効果的な演出
見せ場の一つであるP48~P49のクライマックスで主人公の欲望が食いつくされるところは、主人公の表情・構図・白黒の使い方が効果的で説得力あるものでした。しっかり“見せ場”であることが分かるように工夫がなされていました。座っているだけなのに、アオリの構図や描き込みの妙によってこんなに印象的になるのかと感じました。また、細かい部分でも展開に合わせて演出に工夫が見られました。例えば、P32のように主人公が有頂天な時には占召シ屋が主人公より下の目線にいるのに対して、特殊能力の功罪で主人公を取り巻く状況が絶望へと転換するP41の1コマ目では占召シ屋が主人公より高い目線の位置に配置されているなど、主人公の置かれた状況のコントラストを高低差によって上手く演出し、場面の魅力を最大化する演出がされていました。
★フリ・オチのテンポの良さ
ページの最後に引きを作り、ページをめくった先でオチを付けるということをしていたページが多く、テンポが良かったです。特に、主人公が入れ替わり後クラスでギャグをかますP27最後のフリのコマ、そして大爆笑をさらったと分かるP28の1コマ目のオチはとても印象的でした。隅々までフリ・オチ(そしてページの引き)が決まっており、最後まで楽しく読むことができました。

佳作+審査員特別賞+初受賞ボーナス Doll

41P

がいこゐ(27)千葉県

賞金43万円

佳作30万円+審査員特別賞10万円+初受賞ボーナス3万円

森本大輔先生講評

とてもいいホラーでした。怖かったです。気味の悪い空気感を絵で表現出来ていたのが好印象です。特に、人形から血が垂れるシーンはゾッとしました。人間関係にも嫌な生々しさがあって良かったです。だからこそ、後半若干キャラが展開に動かされていたのが残念でした。自分と同じ顔の人形を平然と友人に贈る行為には違和感がありましたし、それに対し主人公は何か感じなかったでしょうか?何より、結末を大味なホラーにしてしまったのはもったいないと感じました。無理にオチをつけず最後まで人間を大事にしてほしかったです。

編集部講評

★人間洞察の深さ
P12~P13。主人公が人形の不気味さに気付いてから、それに怖気づくだけでなく、思わず人形を触ってしまい柔らかさを感じてしまうという描写に「危険なものに対してより好奇心を抱いてしまう」という人間描写の上手さを感じました。また、触れた指が人形の体に入っていく描写も、細かい描き込みによって柔らかい質感が伝わってきて説得力がありました。
★日常会話の中ですれ違いを描く
P19の、主人公と友人との間に潜む僅かだが決定的なズレを些細な会話で描写していることが印象的でした。友人の「その思い込む癖治したら…」からの一連の台詞が、善意からの言葉で正論に見えるが、主人公にはまったく響いていないということが4コマ目の引きの絵で良く伝わってきました(この時の主人公の無感情の表情もすごく良かったです)。この決定的なズレが描写されていたからこそ、主人公が一線を越えてしまうという直後の展開にも説得力がありました。
★読者を楽しませる意匠の数々
最初の扉絵から惹きこまれました。画面越しの読者を見ているかのような視線とこちらを指さすような仕草、強烈な白黒のコントラスト、ざらついた質感の指、淵にまで広がるヒビ、スマホ画面にも映る主人公自身の顔など、細部まで読者を怖がらせるために創意工夫がなされていました。
★“見せ場”を印象的にする演出力
全体的に寄り・引きの構図を使って読みやすく見せられています。例えば、P23で主人公が友人への憎悪を募らせて人形を傷つけようとする重要な場面では、1コマ目に引きの構図で人形を前にカッターを持つという危うい状況を伝え、その後のコマでカッターを使う主人公の狂気的表情を寄りの構図でしっかり見せています。また、終盤のP39での“見せ場”の箇所については、斜め下から切り取ったアオリ気味の変則的な構図にしており、“見せ場”ということを読者に印象づけるように演出されていました。

佳作+初投稿 名前のない鳥

23P

かみしろカヤ 東京都

賞金33万円

佳作30万円+初受賞ボーナス3万円

森本大輔先生講評

情景が綺麗な作品でした。特に、空と海の描写がとても綺麗で印象的でした。一方でストーリーとしては、機械人形の物語も、技術士としてのユージンの物語も、手紙を届けた相手との関係もすべてがぼんやりとしか描かれておらず、何を表現したい作品なのかあまりわかりませんでした。あえてすべてを描かないという表現はわかるのですが、手紙を届ける相手との関係や物語は描くべきだと思います。読者にどのキャラクターに感情移入して何を感じてほしいのか、もう少し明確にして描けばより伝わる作品になると思います。

編集部講評

★感情を揺さぶる要素の多さ
迫りくるタイムリミット、離れた二人を繋ぐ唯一の手紙、ボロボロの機械人形、など断片的でありながらも、どこか感情を揺さぶられる要素が散りばめられていました。生き生きと動いている機械人形を事前に描いていて、ボロボロになった後の姿との変化を描いていることも、儚さを感じる一因かもしれません。短いページ数で儚い世界観や切ない物語を喚起できるのは強みだと思います。
★“見せ場”を印象的にする演出力
物語の転換点となるP14の別れの場面といった“見せ場”でコマを大きくし、それまで使われていなかった正面カットの切り返しで主要人物二人の顔がしっかり見せられていた点が良かったです。(主人公は覆面を被っていてあえて表情を見せていないですが、それも表情を想像させる余地があり良い方の効果があったと思います)機械人形の方に仕草を加えて、動きを出している点もこの場面が印象的なのに一役買っていると思います。
★キャラクターの親しみがわく“ギャップ”
P8の最後のコマ~P9の1コマ目にかけて、それまで無表情に見えた機械人間の可愛いらしいギャップが見えて、親しみがわきました。頬を赤らめていたり、もじもじする仕草を加えたり、可愛くデフォルメした絵を使ってみたりなど、細やかな工夫によって機械人形の新たな一面を見ることができて良かったです。また、このような一面を見せることによって、その後のボロボロになる姿の哀しさがより伝わってきました。

佳作+初投稿 TIKUDEN

49P

なかこと(25)大阪府 

賞金33万円

佳作30万円+初受賞ボーナス3万円

森本大輔先生講評

世界観がとても面白かったです。船上の学校にはワクワクしました。とはいえ詰め込みすぎの感は否めないかなと思います。読切にするには設定が複雑すぎますし、それをわかりやすく伝える工夫を感じませんでした。何より、それらの設定が上手く主人公の物語に繋がっておらず、要素の詰め込みになっているのが気になります。肩書きに縛られたエリートが感動を取り戻す話なのであれば、これだけの船の設定とその真実を明らかにする謎解きの物語は必要ありません。むしろ必要なのは妹との関係の物語の方だと思います。

編集部講評

★二軸で進む物語構成の大胆さ
船全体に対して抱く不穏な謎が、過去の記憶を失っている(吸収されている)主人公と、彼の実妹とのミクロなドラマを通じて解明されていくという構造が大胆でした。また、サスペンスフルで大きな題材を取り上げつつも、最終的にはP46~P47のような自身の生き方を決断しようとする人間の心を描こうとする気概が良かったです。
★主人公の掘り下げ
P22の一コマ目で、絵を描いてくれた見知らぬ女性に対して「自分より心が豊かだ」と感じる主人公のリアクションがあることで、単なるエリート主義ではない主人公の多面性が垣間見られ、主人公への興味がわきました。他人とのちょっとした出来事で、(相手は特に意図していなくても)自分の小ささを感じてしまって情けなくなる瞬間あるよな…と感じ、共感できました。このように、細かい感情の機微まで描かれているページが印象的でした。
★不穏さを描くための的確な構図
随所でアオリの構図を多く使っており、作品全体の不穏な空気を醸し出すのに一躍買っていたと思います。特に、P6の1コマ目やP30の1コマ目ではその不気味さやキャラクターの謎めいた感じがカメラアングルによって表現されていたと思います。また、P20の4コマ目のような大事な場面で現れる寄りの目の描写は、どこかザラついた質感のタッチで、印象に残る絵でした。

佳作 はぐれもの

43P

じま歩亡あゆむ(24)東京都

賞金30万円

佳作30万円

森本大輔先生講評

2人の関係の変化が丁寧に描かれていて素直に感情移入できました。初めて同じ異人に会ったことですぐ友達になれると勘違いする主人公の様子は、生々しくてとても良かったです。胸がきゅっとなりました。また異人の能力も絶妙で面白かったです。一方でストーリーとしては、借金取りとの戦いに終始してしまったのは残念に感じました。そもそも「異人であるがためにぶつかる理不尽」の象徴として借金取りは適切でしょうか?よりキャラクターの孤独や生きづらさに根差した戦いを描ければ、さらに心を動かす話になると思います。 

編集部講評

★痛々しい感情描写の上手さ
P13で、主人公が小さな共通点があるという理由だけで偶然出会った男を友人と勘違いしてしまう場面が、痛々しさを感じつつ心にきました。主人公の言動に、彼が今までの人生でずっと分かり合える人を求めていたことが伝わってきて、主人公のバックグラウンドと言動に一貫性を感じ説得力がありました。2コマ目に代表されるような主人公の見せる弱さを含んだ表情の描写があると主人公が一気に身近な存在に感じます。最後のページにおける二人の険しさから一転した穏やかさの漂う表情は、読んでいるこちら側も救われるような気持ちになりました。喜怒哀楽に収まらない良い表情だと思いました。
★描き文字など場面を盛り上げようとする創意工夫
P3の相手の腹を殴る「ぐっ」という描き文字や、クラブのシーンでの「ズン」という描き文字、そして特殊能力でグニャグニャ曲がるところなど、場面に合った細かい工夫で楽しませようとする感じが伝わってきて、読んでいて楽しかったです。P34のようなページ一面にわたって描き文字が躍動感もって描かれているのもダイナミックでした。
★印象的なクライマックス
火事の中で友人を助ける場面は、それまで通じ合うことのなかった二人が初めて助け合う点(特に、主人公に興味のなかった友人の方が決意して助けに向かう点)がとても良かったです。しっかり最初と最後で二人の関係性の変化を感じ取れました。「俺だよ!さっきの!ほら 友達!」という台詞も、前フリがあったからこそ深い意味を感じました。上からの救出劇ということもあり、描くのが難しかったと思いますが、寄り引きをうまく使い分けて、ドラマチックな演出になっていたのも良かったです。

期待賞+初投稿 ももゆず

いくしゅう(21)

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

森本大輔先生講評

全体的に抽象的すぎると感じました。「創作部」では何をするサークルなのかイメージ出来ませんし、終始「創作をする」という表現しかなく具体的な言葉が出てこないのが気になりました。もっと言うと、実際の活動の様子などちゃんと絵で表現して欲しかったです。また、基本的に言葉の上だけで話が進んでしまっていたので、会話や独白だけでなく行動でキャラの変化を表現してほしかったです。展開としても主人公の決意で終わる話ではないと思うので、次は決意の後の変化まで描いた作品を期待しています。

編集部講評

★正反対な二人の“出会い”を描く
「自分の好きなものを再確認する」というシンプルな内容を、別タイプの二人のキャラクターの“出会い”を通じて描写している点が優れていたと思います。モノローグではなく二人の会話にすることで、説得力が増していました。
★感情描写の繊細さ
P11で主人公が脅そうとした意図はないのに、思いがけず相手の暗い過去を目の前で口にしてしまうという細かな描写が、罪悪感や痛々しさに満ちていてリアルでした。それに対する強気な返答も、相手キャラクターの性格が伝わってきて良かったです。

期待賞 BOY MEETS DOG

すがわらゆう

賞金10万円

期待賞10万円

森本大輔先生講評

作者の保護犬に関する知見の深さや思いがとても伝わってくる作品でした。また、少年の目線や座り方といった細部まで人間を描けるのは素晴らしいと思います。ただ、主人公の女の子、少年、犬のすべてに焦点を当てようとして中途半端になっていると感じました。保護犬に関心のない多くの読者の心を動かすためには、出来事をただ描くのではなく、伝えたいものを絞ってほしいです。その上で、そもそも主人公はこの女の子でいいのか、出てくる少年はこの2人でいいのか、そういったところから練り直すとより良いと思います。

編集部講評

★意志を感じる目力
キャラクターの感情や意志は目に宿ると言われます。本作では全体的にキャラに目力があり、感情が伝わってきた点が良かったです(普通より一回り大きく描いているのがシンプルですが印象的です)。特に、P38の3コマ目のような意志を感じる目が良いですね。P16のネグレクトされて育った男の子が、同じように人間に捨てられた犬を、「自分と同じ境遇で育った存在」として認識するという場面も、交錯する目で表現されており印象的でした。
★人生の転換点を描く
主人公の決断する瞬間、変わろうとする瞬間が多く描けていました。読切という短いページ数で変化を描くのは難しいことですが、本作はそのような変化を真正面から描こうという意識が垣間見れて良かったです。また、その転換点の描写が、P32の2コマ目のように表情が一番伝わりやすい顔の寄りで描かれていたのも説得力ある見せ方だと思いました。

審査員総評

[カテナチオ]の森本大輔先生

それぞれに強みの違う作品ばかりで楽しく読ませてもらいました。ただ、作者のやりたいことを雑多に詰め込んでしまって話の軸が見えない作品も散見されました。自分の「やりたい」だけでなく読者を意識してテーマを絞る勇気を持ってほしいです。またほとんどの作品に共通していたのが読みにくさです。絵と台詞が合っていない、キャラの見た目がわかりにくい、1コマに会話を詰め込んでいるなど理由は様々ですが、読者を意識するよう心がければ改善できると思います。今後は、伝えるための工夫を凝らした作品を期待しています。

YJ編集部

“見せ場”に留まらず、何気ないシーンでも、ドラマでの前フリや構図(寄り引きやアオリ・俯瞰)、絵の質感を使って創意工夫していた作品が多くて良かったです。また、少ないページ数・エピソードの中で、微細な感情の交流を描こうとしている作品もあり、光るものを感じ、読んでいてグッとくる瞬間もありました。月間ベスト+準入選の『人畜生道-禍言-』は創意工夫の量・独自性共に突出していました。準入選の『占召シ屋ギサコ』は何気ない1コマにまで、作品をストレスなく読ませて同時に共感を得るという凄い技量が詰め込まれており、漫画力の高さを感じました。

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