第33回 週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞 結果発表

佳作+月間ベスト賞+初受賞ボーナス 「ヤンジャン漫画TV」にてボイスコミック化決定! こんなところにいたのか

22P

西にしひるめ(19)大阪府

賞金43万円

佳作30万円+月間ベスト賞10万円+初受賞ボーナス3万円

のどかな空気感、先が気になるめくり。温かな作風に読者を引き込む良作。

青崎有吾先生講評

迷子事件と価値観の変化を「見つける」という軸でつなげる丁寧な作劇に好感。田舎町の空気もよく出ています。ただ、メインの「勘違い」が許容できません。初対面の警官への説明時に猫田を「猫」と略すのは無理があると思います。もっと自然な勘違いとなるような工夫を。

松原利光先生講評

ほっこりするお話しで心が温まる作風を既に確立してるように思えました。絵もうまくて読みやすい画面作りもできていました。個人的にですが、警官が幸せの定義に気づくのは身を持って知った最後にした方が読後感的に良かったかなと感じました。

編集部講評

短く限られたページ数の中で、読者の興味を惹きつつも独特な時間の流れや雰囲気を見せようという企みを感じる、とても満足度の高い作品でした。まず、続きが気になるような作りが良くできていたと思います。2ページで大きな物音を立てつつもその原因を描かずに謎を残したり、13ページでは鳴き声だけを描いて声の主が探している猫なのかどうかあえて不明瞭にしたりと、読者が思わずページをめくりたくなるような仕掛けが要所に散りばめられたおかげで、より作品に没入することができました。またモノクロかつ静止した画面にもかからわらず、終始一貫して独特の空気感を醸し出していた点も非常に素敵でした。台詞を過度に詰め込まず、夏の青空や河原といった背景のみのカットを用いて間を取っていたことで、田舎特有の緩やかな時間の流れや暑い夏の雰囲気を良く表現できていたと思います。作品を通して、背景やコマ割りといった細やかな部分に丁寧なこだわりを感じられました。

佳作+審査員特別賞+初受賞ボーナス 僕が壊した恋のキューピット

45P

うめロウ(24)北海道

賞金43万円

佳作30万円+審査員特別賞10万円+初受賞ボーナス3万円

闇堕ちを丁寧に描く展開、躊躇のない暴力描写。後味の悪さは一級品。

青崎有吾先生講評

対価のエスカレートに顔をしかめ、まんまとイヤな気持ちになってしまいました。スーツの柄まで伏線になっていて、いい怪異譚だと思います。ラスト、悪魔のほうは簡潔に済ませて、少年の末路に筆を割いたほうが、読切としては綺麗だったかもしれません。

松原利光先生講評

引き込まれる設定で不穏な展開になっていく話の運び方が滅茶苦茶上手かったです。最後まで食い入るように読んでしまいました。見せ場やキーポイントになる絵の見せ方も抜群でした。逆に見せ場ではないページでよく見ないと情報が入ってこない画面作りだったのが勿体無いと思いました。

編集部講評

「自らの骨を折ることで占う」という独自性の強い設定に、背景や表情によって演出される暗い雰囲気、何よりも中盤から終盤にかけて描かれる、どこか耽美さすら感じられるためらいのない暴力。不穏さや後味の悪さの演出に並々ならぬこだわりを感じました。特に、暴力をふるい続けるにつれて徐々に冷酷さを増していく少年や、暴力を受ける際の恍惚とした悪魔など、キャラクターの表情が丁寧に描かれることで、キャラクターの狂気が良く伝わっていたように思えます。一方で、視点人物である少年の心情の変化はやや唐突だったように思えます。今ある持ち味を生かしつつ、リアリティラインや共感できるキャラクターなど、読者の感情を置いきぼりにしない作劇を心掛けることで、さらに心を揺さぶる作品を作ることができるのではないでしょうか。

佳作+初受賞ボーナス overcome

39P

くろサキ(22)兵庫県

賞金33万円

佳作30万円+初受賞ボーナス3万円

目線から指先まで、熱量がにじみ出る画力。

青崎有吾先生講評

漫画的な絵作りが爆裂に上手い。もうプロとの違いがわかりません。ストーリー面ではセリフの比重が多く、後半にかけてテンポが落ちてしまった印象。この方の実力ならもっと説明を省き、感情をこめた絵のたたみかけでも勝負できるのではないでしょうか。

松原利光先生講評

画力が高く絵柄も既に確立しているので安定感がありました。しかしダンスの演出や表現が全て似ているので勿体無く感じました。主人公に刺激を与える重要なキャラのバックボーンや信念などの掘り下げがあればもっと熱が込められると思いました。

編集部講評

躍動感溢れるダンスシーンやコロコロと変わるキャラクターの表情、挑戦的なコマ割りなど、非常に高い作画レベルが好印象でした。特に4~6ページのダンスシーンは、動きの流れを丁寧に描きつつ、機敏さを効果線や特定の部位を強調したカメラワークを用いるすることで、メリハリの利いたダンスをまるでアニメーションのような臨場感たっぷりに表現できていたように思います。また一つの動作を丁寧に描くだけでなく、20~21ページのようにある程度の時間の流れをカットバックを用いてダイジェストのように表現したりと、さまざまなパターンの画面を作る試みも感じられました。しかし終盤、一番の見せ場であるはずのダンスステージがかなりあっさり終わってしまっており、物足りなさを感じたのも事実です。自分の作品を俯瞰で見て一番盛り上げるべき箇所を把握し、気合の入った演出がストーリーの山場に来るように心がけることで、より読んでいて気持ちの良い漫画作りを心掛けてほしいです。

佳作 君と僕のスケッチブック

52P

ダージリンmix(21)福岡県

賞金30万円

佳作30万円

読者も前向きな気持ちにする明るいキャラクター。

青崎有吾先生講評

いい話!と心から思える一作で、そこが魅力ではあるのですが、52ページの読切としては物足りない部分も。不思議ちゃんの狂気を強める、氷室君を序盤では味方風に描いてみるなど、もうひとつまみスパイスを足せば、ぐっと印象が増すと思います。

松原利光先生講評

高い画力に読ませるセリフ、全体的にとてもレベルが高かったです。キャラクターも生き生きしてて楽しく読めました。個人的に悪役が否定する主人公の絵でギャフンと言わせてほしかったなと思いました。」

編集部講評

天真爛漫なヒロインにとても好感が持てました。可愛げな見た目もさることながら、単純に明るいだけでなく、23ページでよだれを垂らしながら狂気的な表情で絵を描くさまを見せたり、他人にどう言われようと自分の好きなものを信じる芯の強さを見せたりと、キャラクターに奥行きが生まれていたことが要因として大きいと思います。また笑顔や照れ顔といった表情だけでなく、身振りを大きく活用して感情を表現していた点が、作品全体の雰囲気を明るく前向きなものにしていた点も好印象でした。一方で廃墟の絵を「気持ち悪いもの」という前提で話を進める点など、読者が感じる印象と作中の扱いの乖離が散見されました。展開のために現実の印象とは異なる設定を押し出しすぎることでリアリティラインが下がり、結果的に作品への没入感が下がってしまうことに繋がります。今後は作中のリアリティを意識して、読者を置いていかない展開や心理描写を心掛けて作品を生み出していってほしいです。

期待賞+初受賞ボーナス 四苦リーマン

20P

はらこうろう(21)岐阜県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

軽快な掛け合いに迫力ある構図。楽しさに誠実な作品作り。

青崎有吾先生講評

つかみが最高で、その勢いを落とさないまま走りきれていたと思います。おっさん妖精ズ、面白い奴らなのに、ウザい敵として倒されるだけなのはもったいない気も。「あんたにゃ負けたぜ…」と笑いながら消えていくなど、憎めないくだりもほしかったです。

松原利光先生講評

擬人化の着眼点が面白くて、またキャラのやりとりやツッコミの台詞のセンスも良くて楽しく読めました。ただ弱者男性である主人公が現状に抱くヘイトがそこまででもなかったように思えたので勿体無いなと感じました。ラストのプッツンをより爽快なものにして欲しかったです。

編集部講評

短いページ数の中で、読者を楽しい気持ちにさせようという試みが伝わってくる作品でした。悩みを擬人化させるという独特な発想やテンポの良い掛け合いもさることながら、16~17ページの迫力ある見開きなど、メリハリの効いた画面作りによって飽きのこない読み味になっていたと思います。一方で、嫌味な課長への反応や性的な妄想が45歳というよりはむしろ若者のように見えたりと、45歳サラリーマンの解像度が低く、結果的に主人公に共感も感情移入もしづらかったのが残念でした。自分の実力を設定を十分に発揮できるテーマを選びとっていただきたいです。

期待賞+初受賞ボーナス 翼を広げられる場所

22P

やまかわうた(20)東京都

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

シュール×シリアス、重すぎず軽すぎない絶妙なバランス。

青崎有吾先生講評

独特な感性の社畜主人公が楽しく、各笑いどころでしっかり笑えました。女性キャラも美人さんで一目惚れに説得力があります。面白くはあったんですが、全体的にフラットな読み味なのが残念。自転車就寝のインパクトを冒頭に持ってきたほうが、話にのめりこめたかもしれません。

松原利光先生講評

主人公はパッとしない人物だけど独特な癖やわかりやすい一目惚れをしちゃうところがとても愛くるしく感じられるキャラ作りが出来ていて好感が持てました。読者に一番印象付けたいシーンがどこなのかがわかりづらかったので、大ゴマをどこで使うべきかのチョイスを意識してください。

編集部講評

シュールギャグとシリアスなシーンの緩急が大変面白い作品でした。ひたすらに忙殺されてすり減っていく描写を「就寝用の自転車を購入する」という斜め上の発想で描くことで、辛さの中にしっかりと笑いどころが生まれ、重苦しすぎない読み味になっていました。一方で「レールから外れた人生の苦しさと小さな救い」というテーマもおざなりにしない秀逸な構成だったと思います。構成力やギャグセンスを活かした次回作に期待しています。

期待賞+初受賞ボーナス おんなじ制服

34P

ざき(28)東京都

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

思春期の複雑な感情を解きほぐす、繊細な心理描写。

青崎有吾先生講評

自然な話運び、心の機微の描き方、情報量のバランス、どれも文句のつけようがなく、まったく見事な短編。今回の候補作の中では最高評価をつけました。往年の少女漫画風の作風も(ヤンジャン的にどうかはわかりませんが)自分はいい味が出ていると感じました。級友のフォローを忘れないところも素敵ですね。

松原利光先生講評

会話とテンポ感が心地よくて安心して読めました。それぞれのキャラクターも良くて良いバランスでした。欲を言えば他クラスメイトのモブ達が主人公を実際にどう思っているのかを示すコマが1コマだけでもあれば主人公の悩みや違和感をより読みとれるかなと思いました。

編集部講評

十代特有の距離感の悩みを丁寧な描写で表現できていた点が好印象でした。新しい環境に馴染めない不安、別の学校で楽しそうにする親友を見る苦しさと自分だけおいていかれる焦り。一言では表せない繊細な心理描写を積み上げていくことで、感情移入しやすい作品にまとまっていたと思います。また過去の自分を否定するのではなく、今までの自分も新しい友人も受け入れていく温かなラストも素敵でした。一方で演出や展開が若干単調な印象も受けました。学校に潜入するシーンに緊張感を持たせるなど、メリハリのある読み味を意識すると良かったのではないでしょうか。

期待賞+初受賞ボーナス 夢達磨

46P

こうけんろう(21)香川県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

独自性の強い世界観に飽きの来ない画面。記憶に残る意欲作。

青崎有吾先生講評

記憶に残ってしまう挑戦的なカットがいくつもあり、ストーリーのひねり方・語り方も絶妙。作家性とセンスをすごく感じます。「これ、どういうこと?」とひっかかるところも多少ありましたが、それもこの方の個性かなと思えてしまう。そう思わせたら、もう勝ちでしょう。

松原利光先生講評

終始独特な空気が漂う、とても面白い漫画だと思いました。日常でありそうな周りのセリフなども絶妙で、絵も含めて凄くリアルでした。展開も先が全く読めず色々考えさせられるテーマでもありました。ただ意図的にあえてわかりにくくしたい演出と読者に伝わって欲しいシーンのコントロールが出来てないように感じたので、読者目線でどう読まれるかの意識が必要かなと思いました。

編集部講評

独特な設定や複雑な構図で、読者に強い印象を与える力作でした。1~3ページ、達磨が突然手元に現れる導入で先の読めない期待感を良く演出できていたと思います。各所に散りばめられた俯瞰の見開きや、魚眼レンズ越しのような景色など、印象深い画面が多かった点も作品に引き込まれる重要な要素になっていました。一方でストーリーに関しては読者の理解を超えていたように思えます。時系列が複雑で今見ている出来事がいつの話かが不明瞭なこと、不思議な達磨が構成のための道具にとどまり何なのか分からなかったことなど、難解な部分が散見されました。独自の世界観を活かしながらももう少し明快な、読者を置いていかないテーマ選びを心掛けるのが良いと思います。

期待賞+初受賞ボーナス 井内ネラの証明

35P

とうなつ(23)千葉県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

力強い演出が、疾走感と強い感情を映し出す!

青崎有吾先生講評

スピード感が抜群で、関係性の描き方や見せ場の演出もかっこよかったです。ライバルがぶっ飛んでいる分、主人公の質感をもう少しリアルに寄せるか、2人とももっと戯画的な方へ振りきってしまうか、キャラのメリハリを強めることで、この疾走感がさらに活かせたように思います。

松原利光先生講評

覚醒した見せ場の表現はとても良かったと思います。アクションのポーズや構図も素敵でした。ただ全員女子である設定の必然性と主人公がデータにこだわる根本的な動機の理由があればもっと応援出来て熱く読めたかなと思いました。

編集部講評

キャラクターをアップにする大胆な構図にハッタリの効いた試合の演出で、スポーツ特有の熱量を非常に良く表現していた点が好印象でした。5ぺージのまるで魔王のようなライバルに、18ページの時が止まったような素早い動き、30ページの全てを見通そうとしているような眼差しなど、オーバーな演出を恐れずに用いることでスピード感や力強さが強調できていたように思います。また動きの激しさだけでなく、キャラクターの恐れや狂気的な喜びが良く伝わる表情を描くことで、感情的な部分でも熱量を感じられました。一方でデータキャラの主人公に根拠があまりないことなど、キャラクター性が展開の二の次になっていた点が気になりました。次回作では登場人物の設定や内面をしっかり詰めることで、より応援できるキャラクター作りを心掛けてほしいです。

期待賞+初受賞ボーナス STAY DEFIANT

38P

アルネコウ(26)愛知県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

爆発的な迫力を感じさせる、圧巻のバトルシーンが魅力。

青崎有吾先生講評

血がたぎるような力強いタッチに興奮。王道の熱さに何度もうなずく一方、大筋がベタすぎる点は否めないとも感じました。相手の格闘スタイルを主人公と対照的にする、サブキャラのクセを強めるなど、熱量を削がない範囲でオリジナリティもほしかったです。

松原利光先生講評

見せ場のど迫力なタッチが爽快で構図も見てて楽しめるように作られてるのを感じました。ただ台詞で感情を説明しすぎてるようにも感じたので絵だけで見せて気持ちを一言に込める、といった表現のバランスも意識したら更に読みやすくなると思いました。

編集部講評

血飛沫が飛び、歯を食いしばって敵を殴りつける終盤のバトルシーンは思わず見入ってしまうほどの迫力を感じました。全体的に暗い画面も、スラムで起こる違法な殺し合いというアウトローな世界観にマッチしていたように思えました。主人公の復讐の理由にも共感できたことで、決着シーンのカタルシスが大きかった点も好印象です。ただ、謎の異形が上位存在として存在し、マフィアが跋扈する世界観に入りづらかった点は気になりました。作中の組織に最後まで言及がなかった点も残念です。今後は理解しやすい設定や丁寧な演出で読者の出鼻をくじかない作劇を意識してほしいです。

期待賞+初受賞ボーナス FANTASTICAL

56P

つかはらゆう(22)千葉県

賞金13万円

期待賞10万円+初受賞ボーナス3万円

ぶっ飛んだ設定を描き切る熱量に感服!

青崎有吾先生講評

絵とストーリーが噛み合っていて、主人公の鬱屈とリビドーがよく伝わります。フェティッシュな描写も良く、結末もキュートかつ爽快。ただ、ゾンビ+映画は近年様々な媒体で見かけるので、アイデア面では評価が難しい。手堅いネタを選んだ以上は、既存作を超えるくらいのインパクトを目指してほしいです。

松原利光先生講評

とてもエネルギッシュで愛が溢れる作品でした。掴みも上手く、印象に残る絵作りに拘りを感じ、とても面白かったです。細かいですが、見せ場ではない繋ぎのコマの絵が状況がわかりにくかったのでシンプルでも伝わるページ作りが課題かと思いました。

編集部講評

ゾンビパンデミックが起きた世界で振られた女性に固執する主人公の荒唐無稽さが非常に魅力的でした。B級映画鑑賞という趣味がしっかりと終盤の展開に絡んでいく展開も秀逸だったように思います。何よりゾンビに失恋・B級映画といったてんこ盛りな設定を56ページという長編で全て落とし込んだ熱量が素晴らしかったです。しかしゾンビの世界にもかかわらず巨大なクリーチャーが普通に存在していたり、主人公が自身に嘘をつき続けていた理由など、設定や展開に粗が目立っていたのが気になりました。また画面の情報量が常に多く、読んでいて疲れてしまう点も勿体なかったです。ストーリーの整理や画面のメリハリを意識して、読者にストレスを与えないことを意識すると良いと思います。

審査員総評

[ガス灯野良犬探偵団]の青崎有吾先生

原稿をいただく前、「今月はいい作品が多く、絞り込めない」という噂を聞いていました。たしかにどの作品も完成度が高く、驚かされる一方でした。皆さんすごい。
ただ、ストーリー面では無難なものが多かった印象。頭一つ抜けるための近道は、話に裏切りや予想外を盛り込むことかもしれません。限られた枚数だと難しいとは思いますが、挑んでみてください。

[ガス灯野良犬探偵団]の松原利光先生

全体的に画力や魅せ方のレベルが高く、ほぼ作風が完成されてる作品が多かったと感じられました。しかし派手な演出や奇抜な表現が先行しすぎてよく読み込まないと伝わらないシーンも沢山見受けられました。
読者は熟読してくれない、だからこの面白さをよりダイレクトに伝えるにはどうすればいいのか、という厳しい意識を持ってこれからも描き続けて欲しいです。

YJ編集部

今回は迫力のある作画や軽快な掛け合い、独自性の強い世界観など、若いながらもそれぞれの強みが活かされた作品が多く、非常に好印象でした。一方で「自分がこうしたい」という欲求の先にある「読者にこう感じてほしい」という認識の有無が際立った回だったようにも思えます。商業作品は読まれることが大きな目標の一つです。自分の価値観やテーマ性ももちろん大切なのですが、価値観が明確なキャラクターに見て状況を理解しやすい画面作りなど、読者にどう伝わるのかを意識した作劇を心掛けていただきたいです。

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