コミックス累計一億部突破記念!「キングダム読書感想文コンクール」結果発表!!

銅賞

『キングダムの奥深さ』
54歳 男性

好きなキャラ:オギコ

『蕞の戦いの結末については、「史記趙世家」の一文に一言で記されている。
始皇四年、龐煖将趙・楚・魏・燕之鋭師、攻秦蕞、不抜。』
キングダムにハマってからこの一文がずっと、気になっていました。それ以外の記述は本当にないのだろうか?その疑問を解く鍵は、大阪でのキングダム展で、原先生が明治書院の『新釈漢文大系』を愛読していることを知ったことでした。近所の図書館で『新釈漢文大系』探しました。しかし、探している史記はなく、どうしても原先生の思考に近づきたくて、近隣市の図書館を探し回り、やっとシリーズの1冊を見つけました。その後、大阪府立図書館に蔵書されていることが分かり、それを近所の図書館から借りることができることを知りました。それからというもの、毎週図書館に史記を2冊ずつ取り寄せてもらい、15冊読破しました。史記を読み進めるうちに、キングダムで出てくる名前が出てくるたび、一人で熱狂していました。そして本文、書き下し文、解説を読んでいくと漫画の情景が目に浮かび、感動しました。これが2300年前に書かれた書物なのか、面白いと思いました。中学校、高校と漢文の授業は、レ点をどこに打つのか、どういう順番で読むのかを聞いても理解できず嫌いな科目になっていました。高校生の時に、キングダムと出会いたかった。本当にそう思います。
最新話の番吾の戦いについても史記に「四年、秦攻番吾。李牧與之戦、却之。」と2文のみで記されていることを見つけました。この短文だけでキングダムが構成されていることは、非常に驚きです。この短文をベースに史実に忠実に大きな隙間をダイナミックに埋めているところがキングダムの素晴らしさだと思います。原先生がキングダムで描く戦略、戦術、マネジメント、人心掌握術は、現代に通じるところがあるから読者の共感を得られることもあるのでしょうが、それらを2300年前のできごととしても違和感なく描いているところがキングダムの一番の魅力だと思います。それは、現代のビジネスの現場でも通じる孫子の兵法や韓非子の思想をベースに政や将軍が動いているからに他なりません。だから大人にも人気があるのでしょう。
史記を読み終わってから、孫子の兵法と韓非子に興味が湧き、読み始めました。
現代において、上司が管理できる人数は、5~8名と言われています。それを考えると、伍は理にかなっていると思います。伍長は、会社でいうと係長、100人将は課長、1000人将は部長に例えられると思います。大将軍は取締役です。伍長、100人将、1000人将、将軍の戦い方は、現代の社員の動かし方に似ていると思います。それゆえ、共感が得られているのだと思います。
キングダムと出会って、学ぶことの面白さを知ったように思います。そして、この学びが娘との会話のきっかけとなり、コミュニケーションを円滑にしていることに他なりません。このことは、娘だけでなく、上司や部下、知人友人とのコミュニケーションに非常に役立っています。上司や部下に、史記とキングダムの関係を話したりすることで、距離が縮まりました。例えば、日本で使われている「成蹊」が「桃李不信下自成蹊」から抜き出されたものであり、その中の「李」が信の子孫である李広将軍であることを伝えると、皆びっくりします。
キングダムという漫画を仲介役として、会話の幅が広がりました。知人の考古学者の先生のエピソードとしては、車内での移動中に会話のきっかけとしてキングダムの面白さを伝えたところ、話が盛り上がり、あっという間に到着地点に到着しました。その後、その先生はすぐにコミックスを購入して読んだところすぐに虜になり、コミックスを買い進めているとの報告がありました。とても嬉しい報告でした。その先生と会った時には、いつもキングダムの話から始まります。ある時、その先生が宣教師のごとく周りの考古学者の先生方に布教していることを知りました。布教された先生の中には、実際に中国で遺跡の発掘作業をされたこともある先生もいるらしく、中国考古学を専門とする先生でも虜になるぐらいキングダムが描いている世界観は精緻で素晴らしいものだと実感しました。
そもそも、キングダムを読み始めたきっかけは、中国に留学していた娘が1年の留学期間を待たずして、コロナ禍で帰国を余儀なくされたことでした。当時、旅行で西安まで行っていて始皇帝陵を見学する予定が急遽、上海に帰らざるを得なくなってしまいました。その後、上海からやっとの思いで日本に帰国し、日本でもコロナが流行しだした時に「キングダムを読みたい。」と言ったことがきっかけでした。それをきっかけとして、娘と一緒に読んでいるうちに、親の方がハマってしまいました。
娘と一緒に西安に行き、キングダムの話をしながら、始皇帝陵と兵馬俑を見に行くことが夢です。

このページのTOPに戻る