『キングダムと家族と私』
24歳 女性
好きなキャラ:蒙恬
キングダムの面白さは一つではなく、だからこそ家族みんなで楽しめる面白さがあります。キングダムという作品が、私(と家族)に与えた影響は計り知れません。
私がキングダムに出会った2022年は、妹が大学進学で家を出た年でした。物理的な距離や共通の話題の減少から家族での会話が減って、寂しさを感じていた頃に、私はキングダムと出会います。初めは実写映画をみて、熱い友情と成長物語の面白さに感動し、この面白さを共有したいと、両親と妹にも映画をみるよう勧めました。結果、家族も皆キングダムを好きになって、映画に続いてアニメ、漫画とどんどんはまっていったのですが、その楽しみ方は各人各様でした。当初私は、信と政が成長し夢をかなえていく物語に心を躍らせていたのに対し、歴史好きな母は歴史ものとして、経済小説が好きな父は国を一つの企業のようにとらえて政治の動きを、バトル物が好きな妹は派手で熱い戦闘シーンを楽しんでいたようです。方向性は違えども、皆キングダムファンになった私たちは、共通の趣味を得て、格段に会話が増えました。各々が自分の感想を述べるだけでも、見ている角度の違いから新たな発見があって楽しかったので、しょっちゅうテレビ電話をかけては語り合い、また、キングダムをきっかけに中国史や中国の文化に興味を持ったので、信たちも飲んでいたかもしれない古い種類の中国酒を探してみたり、古代中国についての博物館の展示を見に行って史実を学んでみたりと、今まで知らなかった世界を知るきっかけにもなりました。キングダムという共通言語があったからこそ、趣味嗜好の異なる家族みんなで、同じものを一緒に楽しめるようになったのだと思います。さらに、毎夏の映画の公開や、先日のマンガダイブ1億の光を家族で一緒にみようと、妹が帰省する動機付けとなってくれているので、娘たちが大人になり、家族全員でお出かけする機会はなかなか無くなってきた中でも、キングダムが家族で共通の思い出を作る手助けになってくれています。
最近では祖母もすっかりキングダムファンです。祖父が亡くなってから祖母はしばらくふさぎ込み、以前はよく読んでいた小説も読む頻度が落ちて、本人は老いなどあれこれ理由をつけてはいましたが、やはりまだ元気になり切れてはいないのかなと感じていました。そこで私たちは祖母に新たな趣味としてキングダムを薦めました。祖母も昔から歴史好きだったし、漫画は小説よりも文字数は少なく絵が多いので目が悪くなってきた祖母にも読みやすいはずだし、何よりこんなにも面白いキングダムを一度読んで、はまらずにいられるわけがないと考えたからです。初めは「漫画は子供が読むもの」との姿勢をなかなか崩さなかった祖母でしたが、もうすぐNHKで放送予定だと伝えると、NHKに対する絶大な信頼感からか突然興味を示してくれたので、放送前にそれまでのお話を予習できるように漫画を再度薦めると、翌日には3巻まで買ってきてその日のうちに読み終えたようで、興奮冷めやらぬ様子で電話をかけてきてくれました。その後も祖母は着々と読み進め楽しんでいるようで、朝5時に起きて漫画の続きを読んだり、結婚以来初めて昼寝をして深夜のアニメ放送に備えたりと、いきいきと過ごしてくれています。私たちが紹介してキングダムが祖母の元気になるきっかけになったことは嬉しいし、世代差を超え初めて祖母と同じものを同じ熱量で好きになったので、一緒に楽しめるのは新鮮な気持ちです。私たち家族は、キングダムに感謝してもしきれません。
キングダムの作中には、血を受け継ぐ親子・思いを受け継ぐ師弟が多数出てきますが、私が一番好きなのは蒙恬とその家族です。蒙恬は祖父、父、弟、教育係とたくさんの家族がいて、蒙恬が力を発揮する裏には、家族みんなへの、そしてその家族みんなからの愛があると伝わるからです。自分もずっと家族に囲まれてきたし、二人姉妹の姉なので、親近感を抱いている所もあります。蒙家はそれぞれが個性的な力をもち、お互いの力を尊敬し合い信頼しているところが素敵です。蒙恬が身を挺して父や祖父を守ろうとするところや、胡漸が蒙恬を思いから龐煖に一太刀浴びせたうえで倒れたところは、読むたび毎回涙をこらえることができません。蒙恬を信頼し期待しているからこその「この蒙武の倅だ、その程度で死にはせぬ」「蒙恬と信と王賁、三人で一緒に高みへ登れ」などの言葉も、胸が熱くなります。蒙家のように命がかかっているような場面はないけれど、蒙家にとっての蒙恬のように自分も家族にとって誇れる人でありたいし、蒙恬がしているように家族を大切にしていきたいと改めて思いました。また、蒙恬にはぜひ、これからも信らと共に切磋琢磨し、大将軍になった姿を蒙豪や胡漸たちに見せてあげてほしいと思います!!私もその姿を見るのが楽しみです!!!