コミックス累計一億部突破記念!「キングダム読書感想文コンクール」結果発表!!

金賞

『命をかけて駆け上がれ!』
15歳 男性

好きなキャラ:壁

『外耳性形成手術で右耳に穴を作り、鼓膜を皮膚移植。一方で、ギョウザのような形の右耳を切除。次に胸の骨から切り出した軟骨の一部を、左耳の大きさに合わせて、右耳の形に加工し、右耳の位置に埋め込む。そして耳の軟骨がうまく皮膚になじんだ1年後に、2回目の手術で周囲の皮膚を切り、右耳として立ち上げる』。これが、僕が、小学4年生の時にお医者さんから言われた右耳の治療法です。『中学2年生までに手術をするかどうか、ただ手術をしても成功する確率は低く、見た目を気にしないのであれば、手術する必要はない』とも言われていました。僕は生まれつき小耳症と呼ばれる病気で、右耳が奇形です。穴がふさがっており、音は聞こえません。ただ左耳は聞こえるため、日常は普通に生活できています。時々、知らない子から右耳を指で指されたり、笑われたりして、家の鏡の前で泣くことがありました。また両親に向かって「なんでこんな形で僕を生んだんだ」と怒っては泣いてを繰り返していた時期もありました。そんな時、気晴らしにと父から勧められたのが”キングダム”でした。もう夢中になって読み、すぐに信の戦う世界にのめり込みました。一方で、冷静で冷めた自分もいて、『才能があって知力や武力を兼ね備えた奴らばかりが活躍する漫画の世界だ』とも思っていました。そんなすねた考えの僕の生き方に、大きな明かりを照らしてくれるシーンが”キングダム”にありました。それが、『壁将軍の鄴攻め』でした。常に信の支えとして側にいた壁は、私には飛び抜けた才能があるようには思えませんでした。そんな壁が自軍の兵糧庫を焼かれて、周りから文句を言われているのを見て、”あ~僕と同じだ、絶望ってこういうことを言うんだ。仲間なんていないんだ”と打ちひしがれる壁に同情し、共感していました。そんな壁が、仲間たちの期待に背中を押され、ロゾを打ち破った時のあの爽快さ、痛快さ、かっこよさ。名誉挽回の壁の活躍に、僕は心が震え、嬉し泣きました。と同時に、”やればできる。自分にない右耳のことにあれこれ文句を言うのではなく、聞こえる左耳に感謝して、自分の力の限りやり尽くしてみる、燃え尽きてみる”ことの大切さを壁に教えてもらった気がしました。その日を境に、僕は、小耳症の人たちはどうやって生き抜いているのか、インターネットや新聞で調べまくりました。そうしたら、義耳という本物そっくりのオーダーメイドの耳を装着するという対処法があることを知りました。透けるような色で毛細血管にまでこだわった作りの耳で、現在は、技術がものすごく進歩しているそうです。義耳を作っている会社は国内にいくつもあり、義指や義手、人工乳房まで本物そっくりに作り上げていて、それを利用している人たちは、自信を取り戻して、日常を明るくして生きることが分かってきました。僕は”コレだ”と思いました。現代の医療技術で回復できない人たちに生きる希望を与えられる義肢装具士として働きたいと思うようになったのです。さらに深く調べてみると、発展途上国の障害者の人たちは、こうした装具自体を手に入れることができずに、苦しみ、困っているそうです。だから僕は、英語だけでなく中国語やボルトガル語なども学んで、世界で困っている大人や子供たちのために、義手や義足などを作ってあげて、『生きたい』と思ってもらえるように手助けしたいです。その思いを胸に、僕は右耳の手術をしないことに決めました。今のこの自分の見た目のままで、自分ができる学校での勉強をしっかりして、一歩一歩、夢の職業に向かって歩みを進めていこうと思ったからです。世界で活躍できる義肢装具士になるために、僕は壁に負けないよう、自分のいる場所から着実に駆け上がっていきたいです。僕に勇気をくれたキングダムに”ありがとう”という感謝の言葉を。そして”キングダムの中で駆け上っている信と壁。僕も一緒に駆け上がるからな、待ってろよ!

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