ベスト8?難しいけどチャンスある
日本代表の目標達成に八村塁が戻ってきた!
男子バスケットボール日本代表ヘッドコーチ、トム・ホーバスの言葉には不思議な力がある。
「できますよ」「信じてます」去年のFIBAワールドカップで、選手たちは、ホーバスのそんな魔法の言葉に引っ張られ、自分たちの力を信じ、オリンピック出場権獲得という目標を達成した。あれから1年たち、今年のパリ五輪に向けてホーバスが設定した目標は大会ベスト8。世界のエリートチームだけが集まる大会だけに、決して簡単な目標ではない。「ワールドカップはいい結果をだして、僕もあのチームが大好きだった。でもあれは去年のチームですよ。本当にステップアップしないとオリンピックは結果出せないと思います」とホーバスは言う。
「日本の男子はまだオリンピックで1回も試合に勝っていないんですよ。だからこの目標は難しい。難しいけど、チームワークのいいチームを作ったら、絶対チャンスあると思います」
その目標達成のために心強い選手が3年ぶりに代表に戻ってきた。NBAロサンゼルス・レイカーズの八村塁だ。東京五輪後に男子代表ヘッドコーチに就任して以来、ホーバスは外からのシュートを決められるパワーフォワード選手を探していたのだが、八村は、まさに思い描いた通りの選手だ。
「ルイが入って、もうちょっと強くなりたかったポジションが、一番強いポジションになると思います」
八村塁の復帰以上の戦力アップとは何か!?
4月には自らロサンゼルスを訪れ、八村とミーティングし、彼の五輪にかける思いを確かめた。
「日本のためにやりたい、強い気持ちがあると言うのを聞いて、すごい嬉しかった。彼のレイカーズでの役割と、このチームでの役割は似てる。ぴったりです」
相手チームが八村を警戒することで、まわりの選手もさらに力を発揮しやすくなる。「ルイがコートに出ると、相手が絶対ルイを見るじゃないですか。だから他の選手たちがもっと仕事簡単になるかなと思いますよ」戦力アップは八村だけではない。去年ワールドカップを経験した選手たちも、一回り大きくなって代表に戻ってきた。
「去年のワールドカップの経験、すっごい大きいと思います。あの経験がなかったら、多分、このオリンピックの目標は作れなかったと思う」ホーバスはワールドカップのときと同じように、今回も選手全員に「ベスト8の目標、自信ある?できる?」と聞き、選手全員が「自信あります」と答えた。
「みんなの口から聞きたい。簡単なことですけれど、大事です。(去年より)今回の方が自信あるかもしれない。ワールドカップで3勝して、自信がすごい上がってると思います」
世界に勝つための武器はスピードと3ポイントシュート、そしてアグレッシブなディフェンス。
「世界で一番速いペースのチームを作りたい。3ポイントとインサイドのペイントアタックもできて、アグレッシブなディフェンスのチーム。4分間、100%出すチームです」
トム・ホーバス PROFILE
1967年1月31日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。
ペンシルベニア州立大卒業後、ポルトガルリーグを経て1990年に日本リーグのトヨタ自動車(現・アルバルク東京)入団。4年連続の得点王、2年連続の3ポイント王獲得。引退後、2017年から女子日本代表HCに就任し、2021年東京オリンピックで銀メダル獲得。同2021年9月から男子日本代表のHCに就任。