ずっとチームの年少組だった「あま&いず」コンビも
今や日本の主力に成長。パリへの想いをぶっちゃけ!
構成・文/市川光治(光スタジオ)
――2人の出会いはいずが中学3年、あまねが中学1年の時だったそうですね。
あま:最初はジュニアの合宿? 大会かな…2歳上だから『いずみさん』って敬語で遠慮がちに話しかけました(笑)。
いず:お互いに気軽に話せる相手もいなかったから、タメ口でフラットに話してってお願いしたんだよね。あまねは人見知りなんです。知らない人に囲まれて緊張してるのが分かりやすくて、それがかわいかった。今もそうだけど(笑)。
あま:変わらないね(笑)。いずは気さくで、誰とでもすぐに友達になれるタイプ。私と性格的には真反対。だから意見を求めると、自分の考えが及ばない答えが返ってきて、すごく参考になるんです。
いず:でもイラッとするポイントは似てる。『さっきのアレさぁ~』って…。
あま:『そう同じこと思ってた!』って、2人のグチ大会が始まるパターン(笑)。
――2人とも2014年にA代表入り。そこから一緒にキャリアを重ねました。
いず:私は2014年6月のカナダ・トロント世界選手権が初代表。
あま:私は同じ年の10月の仁川アジアパラから。いゃん、もう10年前やん!
いず:長いよね。ずっと一緒だから、以心伝心みたいな試合中もよく目が合うし。
あま:お互い困ったら、まず探し合う。
いず:性格は真反対でも、コートの上では考えてることが分かるから。
あま:アイコンタクトだけでグチまで言い合える感じ(笑)。東京パラまでは私らがずっと下っ端だったけど、いまは年下も増えたからうれしいよね。
いず:葵(西村)と瑠莉(小島)なんて、高校生だよ!
あま:かわいくて、『がんばれ!』って思っちゃう。この間なんか、瑠莉に数学をどうやって勉強してたか聞かれたよ。
いず:なんて答えたん?
あま:数学なんてできんでも、困らんよ。計算機使えばええねんって。
いず:いらんこと教えてるなあ(笑)。
――パリ出場権を獲得した時、2人は真っ先に抱き合って喜んでましたね。パリに向けて、今思うことは?
いず:あまねは、新チームになってからリードガードにコンバートされて、ずっとチームを引っ張ってくれたんですよ。だからパリが決まって一番にありがとうって伝えたかったんです。
あま:嫌や~そんなん言われたら泣く…。私はいずがおらんかったら、どこかで挫折してバスケ辞めてたと思う。
いず:それは私も同じだよ。あまねがいるからがんばれる。パリを一緒に闘えることが何よりもうれしい!
あま:いずが信頼してくれてる、苦しい時も助けてくれるから、リードガードというポジションをがんばれると思う。
いず:パリでも私たちを引っ張ってな! 私はディフェンスで誰よりも強気にファイトする。オフェンスでは相手をかき回して、あまねたちに心地よくシュートを打ってもらえる局面を作るから。
あま:リードガードとしてはまだまだやけど、このポジションは迷ったらダメなことはよ~く分かってきた。迷わず自信を持ってやります。それと3Pですね。絶対に結果を出して、ウチらの笑顔を日本へ届けます。
いず:パリは女子が日本を沸かせよう!
あま:勝って一緒にディズニー行こう!
いず:いいね! 焼肉とセットで!
柳本あまねAmane Yanagimoto
生年月日/1998.8.4
出身地/京都府京都市
クラス/2.5
所属/株式会社コロプラ
どこからでもゴールを射抜く高い得点力に司令塔としての展開力が加わり、日本の主軸として大きく成長!
財満いずみIzumi Zaima
生年月日/1996.12.4
出身地/山口県防府市
クラス/1.0
所属/モルガン・スタンレー・グループ株式会社
広い視野で的確なポジショニングでゴールをアシスト。明るい笑顔でチームを盛り立て続ける縁の下の力持ち!
女子日本代表は世界とどう戦う?
北田千尋キャプテン
高さに屈しない
バスケを見せる!
私たちには高さがありません。必死に手を伸ばしても届かないから簡単に打たれて負ける、高さで勝負を決められるのはもう嫌だった。それを打ち破るために、オールコートで守って、走り回ってチャンスを作るバスケを磨いてきました。岩野HCになってから3年間、どんだけ高さでボコられても、ブレることなく高さに屈しないバスケを追求してきたんです。みんなで決めたこのチームのスローガンは「Fearless~地獄の40分間のその先に~」。どんな強敵にも、恐れることなく勇敢に立ち向かう。高さがなかったら地べたを這え、這ってでも相手を地獄の40分間に引きずりこむぞっていう覚悟です。応援、よろしくお願いします!
岩野博ヘッドコーチ
さあ、世界を
驚かせに行こう!
いま、世界の女子バスケは得点力が飛躍的にアップしてきていますが、日本はどんな大きな相手でも60点台に抑えられる高いレベルのディフェンスを作ってきました。60点に抑えて80点取って勝つのが理想です。パリに向けては、それぞれの役割を明確にして、リードガードが攻撃をデザインしてシュートで完結するオフェンスに取り組んできました。僕は就任の時に「世界を驚かせに行こう」とみんなに話をしました。健常女子のAKATSUKIのような3Pを軸にしたチームを車いすで作れたら、世界に衝撃を与えられると考えたからです。その土台はできています。積極的に3Pを狙って、新しい日本のバスケで勝負します!