25th.anniversary&最新刊VOL.16発売記念 100年に一人の逸材 棚橋弘至インタビュー

「リアル祭」の一発目は新日本プロレス社長兼プロレスラーの棚橋弘至が登場
「リアル」と時を同じく今年、デビュー25周年を迎えた。
そんなエースが井上愛、リアル愛を熱く語ってくれた!

撮影/細野晋司 構成・文/市川光治(光スタジオ) 取材・文/名古桂士(X-1)
©I.T.Planning,Inc.
『リアル』が描く“リアル”に社長も感銘!

デビューから25年、社長とプロレスラーの二刀流

ボクのプロレスデビューが、1999年10月10日後楽園ホール。『リアル』連載開始が同じ年の秋なので、同期みたいなものですね。真壁伸也(現・真壁刀義)さんとのデビュー戦は、5分足らずで息が上がって動けなくなって、「練習と試合はこんなに違うんだ…」って焦りました。負けて見上げた後楽園ホールの天井、その照明がやけにまぶしかったことを覚えています。そこから25年―――長いようですけど、自分としては、プロレスラーとして一日一日を一生懸命生きることを積み重ねてきただけなんです。小さい身体でよくがんばってきたな、とは思いますけどね。

昨年の11月に、新日本プロレスの木谷高明オーナーから食事に誘われて、そこで社長就任のオファーをいただきました。「藤波辰爾さん以来のレスラー社長だよ」とかボクの喜ぶポイントを突きながら口説かれたわけです。
しかし、「もうチャンピオンは目指さなくてもいい」というメッセージでもあるのかって邪推をして即答できませんでした。まだまだ選手として闘い続けたいという野心もありますからね。そこで自分の中でイメージしてみたんですよ。社長も100%、プロレスラーも100%、できるかなって...。すぐに答えは出ました、「できる!」。なぜなら、疲れたことがないから。考える時間が欲しいと言った5分後に「やります!」って返事をしました(笑)。

遠征のない日は朝から定時出社していますよ。試合のない日は社長業務に取り組み、夜にジムに行きます。社長もプロレスラーも全力です!

プロレスとは―――
ヒールとベビーが紡ぐ物語

『リアル』の13巻が出たとき、スコーピオン白鳥VS棚橋のポスターを作ってもらいました。井上雄彦先生とのコラボですごくうれしかったですね。どっちが勝った?ツイスト&シャウトからスリングブレイドでセットアップして、ハイフライフローでボクが勝ちましたよ(笑)。
ベビーフェイスは、自然と応援が集まる選手。かっこいいだけ、強いだけ、うまいだけでは響かない。天賦の才だと思います。一方で、ヒールはベビーとはまた別の才能と技術が必要なもの。ボクと抗争していたときの矢野通選手は、リング外でもヒールに振切っていて、誰も寄せ付けない空気をまとっていました。プロだなと思いました。白鳥と松坂マンバ、矢野と棚橋…闇が深いと明るさが際立つし、光が強いと影が濃くなる。そんなライバルの物語がファンの共感を呼ぶんだと思います。でも、松坂―棚橋戦も観たくないですか?ベビー対決ですからやっぱり闘いの舞台はG1になりそうですね。

プロレス界も絶賛の『リアル』逸材を育てた道場も登場!?

このインタビューのために、あらためて『リアル』を読み直しました。やはり13巻はプロレスラーから見ても“リアル”ですね。みんなどこかにケガをしているし、覚悟を決めてリングに上がっています。試合が終わって家に着くと、今日も無事に帰れたなって安堵するんですよ。
リングでぶつかり合う感情や痛みは、プロレスに接点のない人にまではなかなか届かない。でも井上先生が、闘う気持ちやリング上での駆け引きまで、プロレスラーを“人間”として深く描いてくれました。これまでプロレスから遠くにいた人たちにも、ボクらが見せたいプロレスの本当の姿が届いたんじゃないかと思います。全レスラーを代表して、井上先生に「ありがとうございます!」と言いたいですね。
あと、読み直して気づいたんですけど、13巻に出てくる道場は、2012年に改築される前の古い新日本プロレスの道場がモデルですよね。道場の中も、建物の外観も、まんまボクが育った道場じゃないですか。同じように風呂掃除しましたよ、なつかしいです。これ、新日本プロレス的には歴史的な資料だな。それが井上先生の作品の中に永遠に残るなんて、すごい。会社を代表して、社長から井上先生にお礼を言わないとダメですね(笑)。

新たな伝説のはじまりG1 CLIMAX34

今年もG1 CLIMAXの季節がやってきました。新日本プロレスには2つの高い山があって、ひとつはIWGP世界ヘビー級のチャンピオン、もうひとつがG1優勝。それぞれが新日本トップ戦線の通行手形なんですよ。
過酷なシングルマッチ連戦による体力消耗、ダメージの蓄積は想像を絶するものがありますが、見返りはとてつもなく大きい。賞賛やリスペクトを得るだけでなく、その闘いの記憶が永遠にファンの記憶に刻まれるんです。ボクでいうと2018年第28回大会の飯伏幸太選手との決勝は、みなさんが覚えてくれています。2015年第25回大会の優勝は中邑真輔選手との感動的な握手、直後にボクが優勝旗を折ってしまったところまでがセットです(笑)。
3回目のG1…社長としては、海野翔太、成田蓮、辻陽太、上村優也という新日本の未来を背負う選手たちが新しい伝説を作ってくれることを期待しています。最強を決める熱い闘いに大注目してください!

25周年なんて、ただの通過点だ!!

棚橋弘至 PROFILE

1976年11月13日生まれ。岐阜県出身。181cm101kg。デビューは1999年10月10日。主なタイトルはIWGPヘビー級王座、IWGPインターコンチネンタル王座、G1 CLIMAX17、25、28優勝ほか。得意技はハイフライフロー、スリングブレイド。2023年12月に新日本プロレスリング株式会社の代表取締役社長に就任。

2023年優勝は内藤哲也!!!
こちらも注目!真夏の最強決定戦!!
大阪府立体育館2連戦で開幕する今年のG1。
AB両ブロックから10選手、計20名がエントリー。試合は30分1本勝負で行われ、各ブロック3位までの計6選手が優勝決定トーナメントに進む。
トーナメントは8月15日幕張メッセ、そして8月17日、18日の両国2連戦でフィナーレを迎える。今年の“夏男”は果たして誰だ!?
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