『リアル』Vol.14 特設サイト

障害者スポーツの真実

ようこそ、女子バスの世界へ―――。

男子がシンペーJAPANなら、女子はバナJAPAN。リオパラリンピック出場を目指す女子代表のYJ3人娘が、女子バスケをモーレツアピール!!

車イスバスケYJ3人娘が行く!!
構成/市川光治(光スタジオ)
撮影・文/名古桂士(X-1)
撮影/浅原満明(X-1)

 車イスバスケは男子だけじゃない!
実は日本の女子バスケは、1984年イギリスと2000年シドニーのパラリンピックで銅メダルを2度も獲得している強豪国のひとつなのだ。
 ロンドンではわずかな得失点差で惜しくも出場を逃したが、それから3年、橘香織HCを迎えた“バナJAPAN”は、チームに若い力を加えてリオ出場を目指している。
 急成長中のチームにあって、欠くことのできないキープレーヤーが今回登場する「ヤンジャン3人娘」たちだ。

 まずはチーム一番の変わり者・古野祥子。どこがヘンなのか聞いてみると・・・
「太ってる人が好きなだけですよ。いたって普通です! もう右足が動かないと言われて落ち込んでいた高校生のとき、入院中に武双山関の相撲を見たんです。ケガをして痛いのにそれを感じさせない土俵の鬼のような相撲に勇気づけられました。それ以来、相撲好き女子・力女(りきじょ)なんです。相撲は何時間見てても飽きないですよ。やっぱり男性は150kgくらいある大きな人がカッコイイと思うんですけど・・・友達もチームの仲間も誰も同意してくれません」
 個人的な好みは変化球だが、志すバスケは本格派の直球勝負。
「平日は男子の清水M・S・Tで練習していて、週末は所属する東海ブロックのブリリアント・キャッツで練習しています。師匠は清水の是友京介さん、キャッツの大島朋彦さん。男子代表の中心選手だった2人に教えてもらうって贅沢ですよね。ディフェンスをベースにしたハーフコートバスケというコンセプトは2人とも同じなので、すごく勉強になります。代表でも大島さんのようなしっかりしたディフェンスと、周囲を活かすプレーをしたいと思います」

 続いてローポインターから萩野真世。北京パラリンピックをテレビで観たのがバスケを始めたきっかけ。東北の女子チーム・スクラッチ所属だが、普段は宮城MAXで腕を磨いている。
「MAXのローポインターは、藤井新悟さん、佐藤聡さんをはじめ日本代表がいっぱいいますから、みんなスピードがあってパスが正確で、とにかくすごいんです。こんな選手になりたいなと思いながらいつも練習しています。私が理想とするアウトサイドのシュートが打てるローポインターになれたら、日本代表はメダルを獲れるチームだと思います。私、Jキャンプで『10年後が楽しみで賞』をもらっちゃったんで、東京パラリンピックの頃には結果を出さないといけないんですよ(笑)。最近では代表でも自分で発信してプレーできるようになってきたかな・・・。自分の間で打てるところは積極的にシュートをねらっていきたいし、もっとボール回しにも絡んでいきたいですね」
 バスケばかりで女子大生っぽい話がまったく出てこない。
「合コン?・・・人見知りなんで無理です・・・。楽しいこと?・・・う~ん・・・」
ここで取材に同席してくれた友達の瀬戸ちゃんが助け舟を出してくれた。
「真世、プーさんがあるよ!」
「あっ、それがあった。趣味はプーさん集めですっ! プーさんが大好きで、家では200個くらいのプーさんのぬいぐるみに囲まれて生活してます。私が試合で活躍したら、ヤンジャンからプーさんのプレゼントをお願いします!」

 3人娘のトリはやっぱりチームのエース網本麻里に飾ってもらおう。オリンピック出場を夢見るバスケ少女、その右足の先天的な障害は、負荷がかかりすぎるといつかは手術が必要になる時限爆弾だった。
「いずれ立ってバスケができなくなると、母が車イスバスケを見つけてきてくれたんです。こんなバスケもあるんだなと思いながら、遊びで練習に参加したりしました。チームでキャプテンを務めて地区選抜に選ばれた中学2年のときに手術が必要になって、車イスバスケが私の新しいバスケになったんです」
 そこからの網本の活躍は凄まじい。高校1年でジュニアの代表に選ばれ、その後のジュニア世界選手権では銀メダルを獲得。19歳で北京パラリンピックに出場し大会得点王、2011年のU25女子世界選手権のメキシコ戦では1試合51点の世界記録を打ち立てた。
「当たっているときは、ボールを構えた瞬間にシュートが入るのがわかるんですよ。メキシコ戦ではそれがずっと続いてました。でも1試合通して当たったのはあの試合だけ」
それってトップアスリートの“ゾーン”ってこと?
「そうかもしれんけど、違うかもしれんし・・・。あまりに自然な感じで、自分ではなんにも覚えてないんです。私のバイブルは『スラムダンク』なんですけど、三井寿が当たってるときも同じじゃないかと、勝手に“ミッチーと同じや”って思ってました。私、小6のときにミッチーが好きすぎて、『スラムダンク』持って美容院に行って、ベリーショートにしたんですよ(笑)」

 元気いっぱいの3人娘をもっと見たいという方には、やっぱり試合の生観戦がオススメだ。2015年に国内で開催されるビッグマッチは、2月の大阪カップと10月の最終予選・千葉の2大会。大声援には最高のプレーと最高の笑顔で応えてくれるはず。3人娘がみなさんのご来場をお待ちしてま~す!

最終予選は来年10月 超満員の大声援を!

笑顔は横綱級 筋金入りの力女!
古野祥子
1985年7月19日生まれ。兵庫県宍粟市出身。クラス4.5/ブリリアント・キャッツ所属/シューティングガード。16歳のとき負傷、手術するも右足首下に麻痺が残る。日本ハム食品株式会社に勤務。シャウエッセンの食べ方にはこだわりがある。
人見知りだけどコートでは別人格!
萩野真世
1993年3月9日生まれ。宮城県仙台市出身。クラス1.0/スクラッチ所属/シューティングガード。脊髄腫瘍で15歳から車イスバスケを始める。2010年の初選出以降は代表に定着。現在は東北福祉大学4年、卒業後はTOTOに勤務してバスケと仕事の両立を目指す。
エースの憧れは炎の男・三井寿!
網本麻里
1988年11月15日生まれ。大阪府大阪市出身。クラス4.5/カクテル所属/パワーフォワード。先天的な右足首内反足の障害で高校から車イスバスケに転向。高い得点力で一気に世界のトッププレイヤーの仲間入り。障害者アスリートを支援するPwC KKに所属。

女子日本選手権はカクテルが優勝!

毎年秋にグリーンアリーナ神戸で開催されているのが、国内女王を決める「全日本女子車椅子バスケットボール大会」。25回目の開催となった今回は11月15日、16日に開催された。
決勝では連覇をねらうエルフィン(関東)と王座奪還を目指すカクテル(近畿)が対戦。カクテルはオールコートのプレスでディフェンスから試合の主導権を握り、ポイントゲッターの網本麻里と北田千尋の得点で引き離す。エルフィンも後半に入って添田智恵と土田真由美のシュートで追い上げるが、59-44でカクテルが逃げ切って勝利。大会MVPには17得点を挙げた北田が選ばれた。

  • 北間優衣と柳本あまね、急成長のカクテルの若手は代表定着をねらう

  • 3人娘大活躍!

    古野、萩野、網本のYJ3人娘もそれぞれのチームで活躍。3人ともベスト5に選出!

PAGE TOP