最終選考結果発表

  • 大賞

    大賞 賞金1000万円
    最終選考進出賞 賞金100万円
    部門大賞 賞金50万円

    ジョージア1年分(※「THEラテ」&「THEブラック」計18ケース)

    金曜日の麻美

    金曜日の麻美

    黒大柳(26)

    45P

    あらすじ

    高校でバスケ部に属する陽平は、通学バスで麻美と話すのを楽しみにしている。彼女は隣の女子高に通っていて、陽平とは別日に、バレー部の良太も麻美にバスで会うのが日課になっている。ある日、偶然にも陽平・良太・麻美の三人がバスで揃い――。

    • 赤坂アカ先生

      赤坂アカ先生講評

      漫画に対しての踏み込み方が良いですね。危ういテーマを危うげなく使えて、先が読めそうな話なのに、ちゃんと意外性があるように見えます。読み終わった後には感情が残り、ヒロインの心をちゃんと見れた気がしました。漫画がすごく上手いと思います。

    • 奥浩哉先生

      奥浩哉先生講評

      面白く読めました。絵はまだ稚拙ですが、今後もっと上手くなると思いますし、練習を続けてもらえればと思います。今後はぜひ長編にも挑戦してもらいたいと思います。

    • 迫稔雄先生

      迫稔雄先生講評

      シンプルな視点の違い、頭ではわかっていても目で見ていることとは別の話。深い話をストレートにぶつけてくる。漫画って、やっぱりすごいなと考えさせられました。

    • 野田サトル先生

      野田サトル先生講評

      他の作品と比べても、特に目につく物語でよいと思いました。ただ、こういった作風でいくのであれば、丁寧にしっかり背景も書き込まないと厳しいと思います。実は絵が上手い方なのに、サボっているように感じてしまいました。本気を出して勝負に来ていることがもっと伝わるように表現すべきかと思います。

    • 原泰久先生

      原泰久先生講評

      ものすごく上手い読切ですね! ストーリーもキャラも、抜群に良いと思いました。絵柄はシンプルですが、描かれている内容は深い! 素直に面白かったです!!

    • ONE先生

      ONE先生講評

      第一印象の重要性をテーマに、分かりやすくドラマを作っていてまとめ方が上手でした。バスの車内という舞台で終始するのも面白かったです。ヒロインが少し小さくまとまっている印象だったので、実は自分が座る位置に関して抱いていた思惑があった等の心情的な奥ゆきがあれば展開を深める事ができそうだと感じました。

    編集部講評

    本作は、審査員の先生方のコメントにもありますように、キャラクター、ストーリー性ともに高く評価され大賞に選ばれました。しかしながら題材、また一部表現に検討を要する箇所がありました。部分的に修正をして掲載することも考えましたが、新人賞という性質上そのような形を取ることは編集部の本意ではなく、また作者である黒大柳さんにもその旨をご了解いただきましたので、誠に残念ではありますが本作は掲載を見送ることにいたしました。黒大柳さんにはぜひ新しい作品に挑戦していただき、ヤングジャンプ誌上にて発表していきたいと考えておりますので、楽しみにお待ちください。

  • 審査員特別賞

    審査員特別賞 賞金300万円
    最終選考進出賞 賞金100万円
    部門大賞 賞金50万円

    ポーカーフェイスが解ける瞬間

    芦垣丁

    24P

    あらすじ

    賭けで負けなしのポーカーフェイスJK・あやめ。彼女に負けてばかりの男子高校生・悠里に、あやめは初めての「負けるかもしれない勝負」を挑む。恋する女子高生が挑む、その賭けの内容は…!? 「まだ二番目でも…それ以下でもいい。だから…私に賭けて」

    • 奥浩哉先生

      奥浩哉先生講評

      絵も魅力的だし構成も含めて十分雑誌掲載で通用するレベルだと思います。面白く読めました。魅力的なキャラクターを描ける実力は既にあるので、あとはこの漫画にしかないアイデアがあれば、雑誌の戦力になると思います。

    • 迫稔雄先生

      迫稔雄先生講評

      可愛らしい主人公の魅力的な表情や行動に最後まで引きつけられる、シンプルで読みやすい漫画でした。完成度が高いので、今後はしっかりとまとまったページ数のお話も読んでみたいです。

    • 野田サトル先生

      野田サトル先生講評

      とにかく漫画の技術的なレベルが飛びぬけて高いと思いました。モブも背景も手を抜かない作者の真面目さ、キャラからにじみ出る、作者のひとの良さというか、嫌われないような繊細な配慮も見えました。あとはこのクオリティを週刊連載で保つ気合いと体力と人生を賭けて世に出すべき作品に巡り合える幸運が必要ですね。

    私が部活を辞める話

    うるしまそと(26)

    61P

    あらすじ

    バドミントン部に嫌気が差した中学2年生・東こころは体育館裏で泣いていたところを先輩に見つかってしまう。先輩はテニス部の部長として楽しんで活動していると思いきや、まさかの「一週間で辞めた」発言が飛び出し…?

    • 赤坂アカ先生

      赤坂アカ先生講評

      上手いですね。共感の上に小話を乗せて、小話の上にテーマを乗せて、それを気持ちよく解放出来ています。あとは上手いだけじゃない何かを作品から読み取れれば、さらに上を目指せると思います。

    • 迫稔雄先生

      迫稔雄先生講評

      漫画を読んで、心を動かされる、感情を揺さぶられる、そういうことを久しぶりに経験することが出来ました。とても面白かったです。

    • ONE先生

      ONE先生講評

      どんな形であれ目標というものの大切さをユーモアを主軸にして読み手に伝えられるよう表現できていました。主人公が先輩から感銘を受ける決定的な瞬間を、読者にも影響を与える強い意識で描ければもっとクライマックスで惹き付ける事が出来そうに感じました。

    夢現

    高野クジラ(20)

    66P

    あらすじ

    ある日タケルが持って帰って来たテレビ。それは「映画を観て寝ると再生した映画の世界に人を誘う」不思議な代物だった。南の島に高級料理と、タケルと兄は夢中になって映画の世界を楽しむが…?

    • 奥浩哉先生

      奥浩哉先生講評

      作品の根幹となるアイデアが良かったので面白く読めました。絵は独特の持ち味がありますし、まだまだこれから上手くなると思います。

    • 原泰久先生

      原泰久先生講評

      兄弟の絵が魅力的でした。カメラワークにも個性があり、ストーリーも読ませる力を感じました。ホラージャンルでこのクオリティは凄い! 面白かったです!!

    あいの淵できみを待つ

    挊山芋

    17P

    あらすじ

    大人気コスプレイヤーの胡夏汰と、服飾学生の巻ちゃんは幼稚園からの幼馴染。昔みたいに一緒に遊びたい胡夏汰だったが、巻ちゃんに彼氏がいて忙しいことを知り複雑な感情が湧き上がる。だが、そこにはと巻ちゃんのとある思惑が存在し…!?

    • 奥浩哉先生

      奥浩哉先生講評

      絵が魅力的で、コマ割りも読ませ方も上手いです。キャラクターも生き生きと描かれていて印象に残りました。次はぜひ長編に挑戦してみてほしいと思います。

    • ONE先生

      ONE先生講評

      少し歪んだ駆け引きを可愛らしい空気でまとめており読みやすかったです。後半で二人とも主人公だった事がわかる点も上手。オープンな人気者キャラと独占欲のある裏方キャラの対比構造もわかりやすかったです。

    ティラノ・ティミディティー

    伊藤弄月(26)

    43P

    あらすじ

    我が家の暴君にして双子の姉でもある鱗に怯えながら生きてきた小虎。やっとの思いで手に入れた幻の大福を食べられてしまったことで、鱗への恐怖は殺意へと変貌する! 夢か現か!? アンストッパブル姉弟喧嘩ここに勃発!!!!

    • 赤坂アカ先生

      赤坂アカ先生講評

      描きたいんだろうね! 迫力全振りのバトルが! それはかっこよく振り切れているので、このまま行って欲しいです。それをちゃんと生活に落とし込む勘所の良さも高評価。この迫力のまま最後にヒロインの気持ちと展開切替のキレも描けてたらもっと良かったです。

    • 原泰久先生

      原泰久先生講評

      こんな剛腕な作品は初めて読みました。漫画の概念を壊す程のパワーとキャラの魅力があり、ものすごい才能を感じました! 面白かったです!!

    神の博徒

    浅石久楽

    32P

    あらすじ

    悪魔が営む地下賭博場。そこで借金を背負った女性が、けん玉を使った命懸けのギャンブルに挑むも、総支配人の馬門に翻弄されてすぐさま追い詰められる。そんな中、悪魔祓いを目論む神父が割り込んで反撃の勝負を挑む――。

    • 迫稔雄先生

      迫稔雄先生講評

      楽しいギャンブル漫画でした。さすがにけん玉のギャンブルは初めて見ました笑。紐を捻るイカサマを相手に見られないロジックがあれば完璧だったと思います。

    • 赤坂アカ先生

      赤坂アカ先生講評

      短編でギャンブルをやろうという気概や良し。絵も上手く小気味良い演出も好きで良く作られています。しかし、トリックやキャラ立て、必要ページ数など、シンプルに足りない部分のある作品だったので、違うジャンルも見てみたいと思いました。

  • 最終選考進出賞

    最終選考進出賞 賞金100万円
    部門大賞 賞金50万円

    アダマスムーン

    藤川歩(26)

    39P

    あらすじ

    他人の借金三千万円を肩代わりさせられた不運過ぎる男・駒田。借金返済のために彼が向かったのは宝石研磨師の仕事場だった。美しい宝石と優しい雇い主。清掃するだけの簡単なバイトだと思っていた駒田は、仕事場で驚くべき出来事を目の当たりにするーー。

    • 赤坂アカ先生

      赤坂アカ先生講評

      キャラを描こうという意識は出来ているし、恐ろしい漫画に出来ていました。もっとファントムクォーツの特性、変化に重きを置いた作品だったらドラマが強化されたかもしれません。

    • 迫稔雄先生

      迫稔雄先生講評

      発想や演出はとても良いと思いました。後はこのページ数の中でどの部分を省いてどの部分をもっと強調してページ数を使って見せるか、自分が一番見せたい部分にどれだけのページ数を割いて見せるかそういう部分を意識して作れば、完成度はさらに高まると思います。

    西遊放浪記

    ガラシャ

    20P

    あらすじ

    人間にとって安寧と喜びに満ちた、極楽な世界とされる西方浄土。人間と妖怪の激しい争いが続く戦乱の世で、西方浄土を目指そうとする人間と妖怪がいた。彼らの旅の始まりは、賞金稼ぎが集まる酒場からだったーー。

    • 野田サトル先生

      野田サトル先生講評

      絵にこだわりがある方だなと思いました。なので、それぞれの顔を早めにしっかり見せること、絵の見やすさ、丁寧さを追求することでより良くなっていくと思います。ラフに見えてしまう絵は、読み手にストレスを与えてしまうので勿体ないと思いました。

    • 原泰久先生

      原泰久先生講評

      各キャラクターの絵がどれもすごく良かったです! やはり何より主役が魅力的なのが強いですね! こだわりのあるアクションシーンも独特で良かったと思います。

総評

  • 赤坂アカ先生

    今回はとてもレベルの高い作品が多く、正直トップ層は読む人の好みによって順位も変わってくる内容で、甲乙つけづらいものでした。なので今回は読後感を一つの基準にして評価させて頂きました。漫画を通して何かを届ける、その強度というのは一つの指針になるかと考えます。難しい話なのですが、そんな難しい所を指針にしなくちゃいけない程レベルが高かったと思います。皆さま大変お疲れ様でした。

  • 奥浩哉先生

    全体的にレベルが高く、すぐにでも雑誌の戦力になりそうな人が多い印象でした。ただ、残念ながらラストの締めくくり方が奇麗じゃない人も多かったと思います。とはいえ、この中から誰が将来の人気作家になってもおかしくないと思いますので、現状に満足せずこれからも頑張っていただきたいと思います。

  • 迫稔雄先生

    後もう一つ二つの要素が足りない、そんな印象の作品が多かったです。その要素とは「読者を楽しませる」という味付けなのだと思います。要は後はそれを加えるだけで完成するレベルの作品だという事です。色んな味付けをして読者を楽しませて下さい!

  • 野田サトル先生

    最近、話題になるような人気作にわりとラフに見える線の作品が多いせいか「ラフに見えてもいいのだ」的な傾向が新人作家さんにあるのかもしれません。ですが、そういった傾向は、単に流行りである可能性もあるので安易に真似をしてはいけません。地道に遠回りしてください。といいつつも漫画って結局、愛されるかどうかだとも思ってます。絵が綺麗で整っていて上手いのに売れていない作品はたくさんありますので。ただ、新人さんなら仮に現在はまだ下手だとしても下手なりに全力でお描きなさいというのは今回の選考で思いました。現代の読者さんの時間は、SNSとかスマホゲームとか膨大なサブスク作品で奪い合われています。さらに漫画の選択肢も膨大にあってその中から選ばれるレースに勝ち続けなければなりません。読みにくかったり、手抜きに見えてしまう絵だったり、キャラが嫌われそうなセリフなど、自分のマイナス部分を客観的に見つけて削り落とし、面倒くさい作業に立ち向かい、歯を食いしばって眠くても腕が痛くても、持てる力をすべて出して描いていかないと選ばれなくなるだけなのです。健闘を祈ります。

  • 原泰久先生

    最終選考で読ませていただいた10作品は、各部門のトップを獲っただけあり、読み応えのある作品ばかりでした。部門が分かれていることもあり、それぞれの良いところが際立っていて、非常に楽しく選考をさせていただきました。中でも、ホラー・オカルト部門の『夢現』は、20歳の方が、この画力とストーリーの完成度の高さで66ページも描かれたそのエネルギーに感動しました。最終選考に残った皆さんは、大いなるチャンスを摑んだと思うので、ぜひ次に繋げてさらなる面白い漫画を生み出していってもらえたらと思います。

  • ONE先生

    どの作品も読ませるための十分な技術力の高さを感じました。読んだ後にキャラの表情や台詞を読者の記憶に残すことや、その作品世界の続きが読みたいと感じさせる事はなかなか難しいので、自分の頭の中の計画の面白いと感じる部分でも疑える点はもっと疑いきって、その上で最後にはそこを信じきって作っていければ強いと思います。

  • ヤングジャンプ編集長

    大賞、準大賞はもちろんですが、各部門の大賞を選ぶのに大変悩みました。それくらいレベルが拮抗した(逆にいうとずば抜けた作品がなかったとも言えますが)作品が集まりました。この漫画賞の企画が現場から挙がってきたときは、正直45部門も必要なのかと思いましたが、止めなくてよかったです笑。たくさんの作品、才能に出会うことができ大満足です。ありがとうございました。