新人賞

#065 シンマン賞結果発表

[ストーリー部門]

期待賞+月間ベスト

星の光を追う人は
44P
黒田千晴(27) 新潟県
賞金20万円
期待賞10万円+月間ベスト10万円
二宮裕次先生
ステキな話と絵でした。主人公自身が“星売りになりたい理由がわからない”と言うのはあまり良くないかもしれません。目的が何であれ、「どれだけ強い思いを抱いているか」が物語の推進力になると思います。
編集S
テーマにみどころはあっても、最低限の「舞台解説」、主人公の「背景」、主人公と他者(町の人々)を結びつける「ナビ」が不在では面白さが半減してしまうという事例です。
編集I
アイデアの独自性が素晴らしい。ただ説明で展開することが多くもったいない。星の光の真価とそれに惹かれた原風景、クライマックスの演出が弱い。星売りが数百人に一人は多すぎない?キャラの描き分けも甘い、などなど粗もあるけれど、このアイデアが思いつける感性は大事にしたい。
編集K
星の光がなぜ特別なのかを、もっと視覚化、もしくは言語化してほしかった。主人公だけでなく、いまも一定の買う人がいるわけだから、他の星取りも含めて、なぜ星の光を負い続けるのか…を腑に落ちる伝え方をしてほしかったです。そしてそれが星の声とからめられたら、一気に引き込まれたのではないかと思います。もう一歩、二歩足りない惜しい作品でした。
編集K
作者も真面目な人柄で丁寧にしっかりとした構成で過不足なくストーリーを紡いでくれていた。一方で囲みセリフで説明をし過ぎていて、肝心の気持ちの部分がほぼ一人で解決されていてストーリーの面白味が乏しかったのが残念。エピソードを使って、話を転がして欲しかったのと、直取りの星の美しさなど絵的に工夫して伝えて欲しかったです。
編集S
漫画の世界観と、キャラの精神年齢が低い、というか甘っちょろい。
編集N
実に全ページ「説明」で終わってしまっている。キャラのドラマが動くわけではなく読めども読めどもイメージの湧かない存在をひたすら説明して結局説得できずに終わってしまってる。架空の存在に説得力を出すには読者とイメージを共有しやすい要素(キャラの感情と結びつくもの)の提示が不可欠です。それが難しいということはすなわち物語を進めるにふさわしいアイデアではない、ということではないでしょうか?ただ描きこみは丁寧で好感が持てる。
編集Y
ドラマがあるようで構築しきれていない印象です。抽象的な感情ではなく具体的で共有できる感情でなければ、読切のドラマ作りはハードルが上がります。
編集S
「良い話」風の物を描こうとする姿勢は伝わりました。次回作は、ヤングジャンプという場をどうやって「利用」し「踏み台」としたいか考えてください。
編集K
丁寧な絵、まとまったテーマものすごく読みやすかったです。飛ぶヴェスパみたいなやつもこだわり感あって好きです。ただ、直取できるようになるきっかけが自己完結していたこと、「瓶で取らなくても直取扱いになるの?」とかはちょっと疑問でした。あとはこのファンタジー世界で「オワコン」や「ワンチャン」ってどうなの・・・?みたいな気はしました。

期待賞+審査員特別賞

モラトリアムとこんプレックス
38P
オトノカ(20) 宮城県
賞金20万円
期待賞10万円+審査員特別賞10万円
二宮裕次先生
僕の望みを言いますと「お袖」をもっとエロく!もっと可愛く!描いて欲しいです。ギャグ絵が多かったのでお袖が女性と気付くまでに時間がかかりました。全てはお袖の魅力にかかっている漫画だと思います。徹底的に「主人公羨ましい…」と思わせて欲しいと思いました。
編集S
キャラ同士の掛け合いは良いけど、いわゆる「試練」と「試験」が抜け落ちている話。何となく月日を重ねて頑張りましたでは、読み手には響きません。
編集I
テンプレ感の強さと、一つ一つのギャグの強度の弱さで作品に入りにくかった。狐モードは可愛いんだけど…。
編集K
ドジっ子見習いが一人前をめざすストーリーはあふれているので、どこかに新規性がほしいです。きつねとかのギミックは入れてあるもののベタな人情モノなので、読んでいてオドロキがないというか展開が読めてしまいます。黒川との関係性はよく描けていると思うので、次回は作家としての独自性が見られるとよいです。
編集K
キツネの仕種・動きがかわいく描けていたと思います。ただ男性側の悩みが説明的に描かれており、いまいちピンと来ないまま解決されてしまった感じ。男性キャラの無気力感を感じられるシーンを具体的に作り、そのコンプレックスが解消されるピースをエピソードとしてしっかり作って欲しかったです。ストーリーとしてはやや強引だった印象。
編集S
技術やキャラづけなどうまくやっているし、テンポもよい。だがまあよくある感じの域をでない、というか、そのなかでわちゃわちゃやってるだけで満足してる感じが、どうも期待感につながらない…。
編集N
このタイプの漫画の常として人外のキャラを立てるところばかりにエネルギーを使ってしまい、から回るという現象がよくある。実際は相方こそ魅力的なキャラでなくてはならない。あとは稲荷神という存在と主人公、それと神様が成そうとしてることに距離がありすぎるのも難しいところかも。
編集Y
狐のビジュアルが決定的に可愛くないのが残念です。それだけでもクリアできていれば…。「この作品はなにが重要なのか」編集者が優先順位をつけていなければ、作家の成長速度が遅くなってしまう可能性(時間の無駄)があるので気を付けて欲しいです。
編集S
可愛いキャラクターを描こうとする姿勢は伝わりました。次回作は、ヤングジャンプという場をどうやって「利用」し「踏み台」としたいか考えてください。
編集K
個人的には移入できなかったのですが、きれいにまとまっていると思います。絵もかわいらしいと思うのですが、コマが被りすぎていて読みにくさを感じました。

期待賞+初投稿賞

HELLO!!KIRUGHISIA!!
42P
いけねデムーロ(27) 兵庫県
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
二宮裕次先生
勢いがあるのが良かったです。しかしキャラ・構成・設定・絵柄等、全ての項目で2ランク以上の上達が必要だと思います。何が起こっているのか理解できる漫画にできれば、見開きのパワー溢れる画面が活きてくると思います。
編集S
(映画やドラマで好きなんだろうけど)海外ならば、強引な舞台設定でもまとめられるという描き手のやや甘い(甘えた)意図が垣間見えます。次回作は国内設定で現実と虚構のギリギリを攻める意識を持ってください。
編集I
有無を言わせぬドライブ感は非常にパワフルだが、主人公の外見と内面、理想と強さのキャラ設定にもっと筋を通したかった。殺人犯をほっぽって上司と延々殴りあったり、衣装の理由が緩すぎてただのおばあちゃん子だったり、練り足りなさが目についた。
編集K
おばあちゃんとの服のくだりは感動的ではあるがいささか感動のテンプレート的でもあり、そこから派生するキルギシアの破天荒さが平和とはほど遠く、警察官のあり方としても疑問符のつく行動が多いのは感情移入が出来ない。
編集K
いろいろなことが拙いけれども、粗削りながらも作者が確かな情熱で作品に向き合っていることをしっかり感じられました。主人公をしっかり掘り込み、独走させていました。作品の中に込めた熱いメッセージを表情とコマ割りを駆使して見事に表現できていたと思います。シンプルな話ですが、感情のぶつかり合いがよく描けていました。細かい点ですが主人公がちゃんと「女の子」だと分かる描写はあった方がよかったかも。年齢は高めですが、次回作がとても楽しみです。
編集S
ネームがきわめて上手。キャラみせから展開までの速さと、セリフのキレ、キャラの精神年齢、ぜんたいに素晴らしい。27歳、場合によってはネーム原作もアリでは…?
編集N
せめてヒロインに無敵看板娘くらいの可愛げがほしいです。過去がどうあれ、行いがどうあれかわいくないものはかわいくない、これはやはり企画コンセプト的には損だと思う。警官には似つかわしくない服装のギャップとその服が似合わない三白眼ヒロインという二重構造を魅力的に見せる計算はもう少ししてほしいですね。
編集Y
元気はありますが才気が不足しているような気がします。画力、キャラクター、コメディセンスなど特に武器になるものが現状見えません。10代なら様子を見てもよいとは思いますが、年齢的にも厳しいのかなと感じます。悪役が逮捕されるときの表情と主人公が涙するシーンは良かったです。
編集S
主人公を描こうとする姿勢は伝わりました。次回作は、ヤングジャンプという場をどうやって「利用」し「踏み台」としたいか考えてください。
編集L
こういうHIP HOPな台詞回しってきちんと乗りこなすのは非常に難しいです。一発ギャグ(ワードセンス)ではなく漫才(掛け合い)で笑わせることを心がけてほしいです。また、「紐解くべきキャラクターの心理ライン」が2種類、呼応せずに混在しているので雑然とした印象に見えます。「誰がどう成る話を書きたいのか」をきちんとアウトライン化しているともっと違ったのかな、と思いました。

期待賞+初投稿賞

シーリーコート
52P
荒垣あゆみ(23) 大阪府
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
二宮裕次先生
絵が上手で、女の子が可愛かったのが好感度高いです。「主人公と妖精」「主人公と一守」の関係性がもっと密接で愛おしいものだと表現できたら良かった思います。ホラー要素もあって、全体的にふわっとしまった印象なので、次回はもう少し焦点を絞ってみてはいかがでしょうか。
編集S
画力は高い。①舞台装置に釣り合う主人公の因縁が浅い?物語の必然がない。②物語内質量保存(エネルギー等価性)法則が曖昧。?一守は人間と妖精の配分どうなっている?
編集I
大前提となる「シーリーコートとは」の説明が不十分。読切は設定が初見であることを自覚しよう。主人公が単に物語の一員ではなく、行動し何かに影響を与えるものであってほしかった。主人公としての外見的な“華”も今後研究してもらいたい。
編集K
シーリーコート/アンシーリーコートって用語なんですね。妖精が人間に危害を加えられたり、妖精が人間に化けられたりする部分がわからなかったですが、もう少し妖精とはなんなのかを掘り下げてもらえると分かりやすかったかと思います。そこがあると、人間と妖精の恋がどうなるのか…に興味が行くので、もっと面白くなるはずです。
編集K
キャラやアイデアのオリジナリティは少し弱いけれども、高い画力と構成力で世界観をしっかりと描き上げることができていたと思います。ただ、このくらいの話、見せ場の話であれば30P後半くらいまでには収めたいところ。ページを意識することで、セリフやアイデア、シーンの質にもっとこだわらなければならないことに気付いて欲しいです。
編集S
なんとなく雰囲気はあるが、テンポが鈍く、キャラ絵も古く。コマ割りも、絵のつたなさをカバーするために、単調なコマ割りになっている。
編集N
妖精といいながら実際は和装だったりするチャンポン感を貫くようなもう少しパワフルなアイデアがほしいところ。「もののがたり」ではないけど、何の化身なのかもう少し限定するとか。読者と作者の間でそういうお約束ごとというか協定が見えないと作品に没入させるのは難しい。画力はぜひぜひ伸ばしてほしい。
編集Y
何が描きたかったのかがあまり伝わってきませんでした。アクションがやりたそうだけど、アクションシーンはほぼ皆無。まずは「自分は何を描くのか」整理して、半分くらいのページ数を目標に次作にのぞんで欲しいです。
編集S
前フリを大切にされている姿勢は伝わりました。次回作は、ヤングジャンプという場をどうやって「利用」し「踏み台」としたいか考えてください。
編集K
ページ自体は読みやすく作られているのですが、まったくキャラクターを好きになれなかったです。きれいなだけの人に愛着は湧かなかったです。

[ショート部門]

期待賞+初投稿賞

物ノ怪奇譚
16P
山口和海(20) 神奈川県
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
二宮裕次先生
いいお話でした。もっと見たいです。「魂喚び」の人たちの暮らし、主人公が人一倍家族を大切に思う理由…。次回は30Pくらいのストーリーを描いてみませんか?楽しみにしています。
編集S
ストーリー作品であろう序章エピソードを切り取って、ショートです、という取り組み方はあまりお勧めしません。起承転結のついた物語をこのキャラクターたちで挑戦して下さい。
編集I
なぜにショート?既視感が強い設定だけどショートではなおさら話が広がらない。核となる衝動がなければ読者の心は揺さぶれない。
編集K
こういった話ならストーリーにしそうなところをコンパクトにまとめたのでしょうか。短いながらも彼らの日常の一端が垣間見れた気がします。すべてのものに魂があるということで、その辺の広がりも面白そうです。(本当は刀とかにも全部いるんでしょうが、今回はややこしくなるんで省かれたんですかね)
編集K
キャラ、画力ともにレベル高く、よく描けていたと思います。ゆるキャラたちも可愛く、また、敵側も雄々しく描けていて、その画力の幅の広さに力を感じました。背景などをもっとレベルアップして空間=作品世界観そのものをプロデュースできるともっと雰囲気のある漫画が描けるようになるのではないかと思いました。話は少し雑で説明不足感もありますが、16Pに落とし込んでいるのは評価できますし、今度は少しページを増やして、物語の緻密な構成にも気を使った作品を読ませて欲しいです。
編集S
漫画がはじまるまえに終わってしまった…。
編集N
デザイン的にぎりぎりなところもちょっとあるが、その分アクションだったりキャラの可愛さだったり描きたいことが明確で良いと思います。ただ特に話がないのはもったいないタイプの出来ではあるので次はもう少し長いサイズの読み切りに挑戦してほしい。
編集Y
こ、これは一体どういう意味だったんでしょうか??ラストになにかとてつもないメッセージが込められているのでしょうか??画はまだまだうまくなりそうだと個人的には思いました。
編集S
妖怪が好きな事は伝わりました。次回作は、ヤングジャンプという場をどうやって「利用」し「踏み台」としたいか考えてください。
編集L
展開のテンポの良さは才能だと思います。P.5→P.6とかすごく間が良いです。が、おそらく漫画学校の課題として「16P」を与えられ、その制約の中でファンタジーバトルを書きたかったが故のテンポ感、とも取れるので、ページフリーで描くときに「ほどけ」ないよう気をつけてください。内容としては「魂」と「家族」という謎かけがうまく解けていなかったかな。。。と。

期待賞+初投稿賞

奇跡乳児アンビリーバブー
16P
山口海人(20) 神奈川県
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
二宮裕次先生
独得の世界観でした。この赤子たちに感情移入させることができれば、トイ・ストーリーのような空気が作れるのでは…。個人的な好みですが、赤ちゃんたちは普通に可愛い絵柄の方がいいと思いました。可愛い顔してマフィアみたいなやりとりしてた方が面白みが増す気がするからです。
編集S
赤ん坊とマリオカート的なものの融合…アイデアの一つとして誰もやっていないから?20歳の作者が本当に面白いと思って描いているのか確認して下さい。
編集I
名前がタケシと「一人でバブってろ」で持ってかれました。それからはモヒカンとあの目つきがカッコよく見えて仕方なかったです(笑)。絵柄の上達も求めつつ、次作に期待してます。
編集K
これは…濃いめの狂気ですね……よくわからない世界のよくわからない競技に、ご都合主義の連続のような超展開、謎の石油王…と情報過多で16ページとは思えない濃度でした。こいつはスゴイ!と思いつつもちょっと次回作を見て判断したいので今回は様子見です。でも読ませるなにかは持っている…
編集K
絵と発想のクセが凄い。この個性はなかなかだと思います。一方でカッコいいのか、笑えるのか、よくできた話なのか、よくできてないのか…個性の押し出しの陰で、読み味が少し中途半端な印象が拭えなかった。「振り切る」ことを軸にして次回作で力を発揮して欲しいです。
編集S
これは…赤ちゃん版「デスレース2000」!!親が親として成熟しない時代を痛烈に皮肉るという、時代に応じたリメイクの必然性…!これを20歳で描く作者を手放してはなりません。ださかっこいいきめ台詞も秀逸。
編集N
このアイデアで迷いなく漫画一本描き切るエネルギーに惹かれてしまう気持ちは否めない。
編集Y
借金2兆円は普通の人間にはできないですね。前澤社長も無理でしょう。ベゾスくらいですかね。それ以外の感想はございません。
編集S
セリフにこだわりがある事は伝わりました。次回作は、ヤングジャンプという場をどうやって「利用」し「踏み台」としたいか考えてください。
編集L
良いですね。タイトルから好きです。「バブってらんねえ」を「オギャりたい」へのカウンターワードとして流行らせたいですね。絵柄についてはちょっと危険な方向へ固定化しそうなので早急にランドマークとなる作家/作品を示してあげて欲しいと思います。

#066 審査員BUNGO-ブンゴ-二宮裕次先生

全体的に設定や世界観に凝り過ぎていて、キャラクターが置き去りになっていると感じました。漫画を描くときは「誰が、何を、どこで」の順番です。キャラクターが魅力のあるやつならありきたりな設定でも特別な物語になると思います。“エレベーターに閉じ込められた二人”とかオススメです。その空間で面白いことが起こらないようなら、そのキャラたちは主人公級のパワーは持っていないのかもしれません。…自戒を込めて言いますが、漫画は“強い思いを抱く、魅力あるキャラ”と出会うところから始めましょう。

編集部総評

力量の高い作品が多かったと思います。豊作と言える一方で、それぞれが一歩足りない印象も。結局のところ、根っこのアイデアだったりキャラだったりを自信を持って設置していないと説明だらけになったり後出しの設定がたくさん出てきて読み手の没入を妨げてしまいます。究極的な壁と言えますが、一点突破で突き抜けてくる読み切りに期待したいです。

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