新人賞

#061 シンマン賞結果発表

[ストーリー部門]

佳作+月間ベスト+初投稿賞

根源の果実
32P
山田クミカ(23) 上海
賞金43万円
佳作30万円+月間ベスト10万円+初投稿賞3万円
藤崎竜先生
作者の人柄や思いが漫画ににじみ出ていて、それがとても好感が持てるものでした。過不足なく完成しているかと。
編集S
ジャンルにかかわらず、主人公が舞台の「決まり事」を破っていくことから物語は始まります。現状の設定では主人公もヒロインも、まだ決まり事の内で存在しているようですね。
編集I
ずいぶんと絵が達者なのでそこは武器になりうるが、お話は風呂敷を広げたにしては盛り上がりとオチが弱くこじんまりとしてしまった。というか入口と出口がズレてしまった。雰囲気は持っているので次回作に期待です。
編集K
扉の壮大な感じからすると、魔女にまつわるひとつのエピソードを切り取った形だが、絵のキャッチーさから構成力まで相当なものを感じます。読者の反応も見たいし、他の読切も読んでみたいです。
編集K
とてもピュアな心情を美しい舞台と人物像で見せてくれていると思います。ただ、大好きな人の死というベタなイベントに少し頼りすぎていて、人物像の更なる掘り込みとストーリー展開の練り込みにおいて物足りなさを感じました。この美しい世界を描けるのは特性だと思いますので、それを生かしつつ、次回作ではもう一歩、踏み込んだ作品創作に挑んで欲しいと思いました。
編集S
情報を断片的に、でも過不足なくつなげていくテクニックは見事。コマ割りも上手、この世界で独自に進化した医者のギミックも面白い。ハンターハンター系にながれない中国の新人、いいんじゃないでしょうか。ローゼンぽいのをつくるのか、九井涼子方向にいくのか、狙いを定めた2作目をみたいです。
編集N
演出や画力など個別の要素では確かな力を感じますが、起きてることの大きさに対してやはりハイテンポなのは否めず、感情移入できる余白がないのは課題です。最愛の人との別れは不変的であるようでいて、きわめて個人的なものでもあり、特に導入において本編最大のコアにいかに誘うか、それに成功すればよい読み切りとなるでしょう。ものすごくシンプルにいえば、キャラクター不在が課題かと思われます。
編集Y
作品としての完成度はさほど高くないものの、表現としての画力など目を見張るものが多くあると思います。表情、とくに眼が印象的です。次作、きちんと打ち合わせをして、雑誌に掲載できるエンターテイメント作品を目指してほしいです。
編集L
絵柄の方向性をどう考えるかという問題はありますが、達者に描けていると思います。ファンタジーにおいてもキャラクターの「地声」を大事にしている点も評価に値するかと。

佳作+審査員特別賞+初投稿賞

エヴァトピア
36P
シバハルマ(30) 東京都
賞金43万円
佳作30万円+審査員特別賞10万円+初投稿賞3万円
藤崎竜先生
ストーリーがとても面白くて、引き込まれます。絵的には少々粗い(すみません)と思うのですが、それを補って余りあるエネルギーと、作者の哲学のようなものが全体に溢れていて、怖い話であるにも関わらず清々しい。
編集S
瞰視点で描いている分、現象として淀みないテンポで描写されているが、その分、キャラ視点に立つと描写が物足りない。本来40P台の作品か。
編集I
特に読切として起承転結を作る意識が希薄なので、“読切”というパッケージを改めて認識してください。また、10年で1/3の人口が入れ替わる(それだけ産まれている)という設定だけで、あまりにもリアリティが感じられないので、青年誌のSFとしてどこか現実世界とのリアルな接点を作ってもらいたいです。
編集K
ヒュウガが女性か男性かという引っ張りがあまりうまく機能していないように思える。進化した女性の存在も説明が中途半端で、敵なのか味方なのかみたいな部分に目が行ってしまい、悲しい生き物?かどうかもわからず…
編集K
進化した女性キャラの描写がとても秀逸で、そこから感じる独特の相容れなさ、理解できないものとしての存在であることをとてもよく伝えてくれていると思います。また、テストステロンの注射でストーリーを上手に展開するアイデアと構成力も感じました。画力は拙いながらもコマ割りで迫力を出そうと工夫しており、セリフに関しても人物の掘り込みがなされた上でのセリフ回しになっていると思います。「性」ということをテーマに作者の中に非常に伝えたい、訴えたいものがあるように感じ、気になる作家性です。年齢は高めですが、次回作が楽しみです。
編集S
アイディアがまだ思い付きレベルで、もうちょい、「だから、社会はこうなって~」というところにひろげていくところの面白さがない。「女」である必要がほぼない化け物にしてバトル、という展開はちょっと残念。あとこういうときの主人公って実は敵側の資質をもつやつ…(「実は巨人」「実はグール」「実は女」「実は吸血鬼」)というのが、ちょっと飽和状態な気もします。
編集N
昨今話題の性差をめぐる問題のパロディとするには、ただのクリーチャーになってしまった「女」も含めてパンチが弱いなと思いました。設定のわりに性差対立はほとんど意味をなしておらず、クリーチャーサバイバルものになってしまってるのは残念です。突き詰めて組みあげれば、訴求力はまだ高められます。
編集Y
突っ込みどころは鬼のようにありますが、単純に楽しく読めました。設定にもうひとひねりあると、エッジの効いた読み物になりそうだなと思いました。
編集L
非常にハードなテーマをファンタジーに転化して物語化することには成功していると思います。ページ数は計算なのか体力的なものなのか、やや駆け足の感は否めませんが、ストーリーを構成する能力は高いと思いました。

期待賞+初投稿賞

桜のランパート
50P
宮田ダム(24) 神奈川県
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
藤崎竜先生
読切のはずなのに連載の途中を読んでいるような不思議な読み味でした。人間関係の奥行きが感じられて良かったです。
編集S
作家の描きたい設定と展開が先行して、キャラクターの気持ちと行動原理が犠牲になってしまった作品です。ヒロインはバスケットボールが形見なのにバスケットボールに関心を持たなかったのはなぜ?を一番追求すべきでした。
編集I
完全に1話目の作り。ゆえに展開が遅いのと主人公にフォーカスを絞り切れていない。コマ割り、構図、寄り引きのメリハリが足りないので、次はもっと意識してほしいです。
編集K
着物、バスケ、金髪、確執…といろいろ要素がこんがらがっていて、よくわからないお話になっています。あの見開きが描きたくてのキモのバスケだとは思うんですが、そのための強引さに置いてきぼりにされてしまっています
編集K
キャラ初出の印象付けが少し弱いのと、伝えて欲しい絵が伝わらないまま進んでいくのが少しに気になったものの、全体としてはメインキャラの掘り込み、掛け合いも出来ていると思います。後半見開きはそこまで貯めてきたキャラの設定と成長をしっかりと美しい絵でシーンとして見せてくれていて、とても印象的でした。ただ、構成上、前半にもっと読み手の気持ちにドライブをかけるエピソードやシーンを作って欲しかったです。後半のシーンのために前半を説明的にし過ぎている気がしました。
編集S
女の子の顔が古臭くなったり、突然良かったり、安定しない。もうちょい研究してほしい。お話は無理にこねくり回さないで、これで女子バスケの部活ものの連載つくったらいいのでは。
編集N
大和撫子みたいな女性が和服姿でバスケをする画の面白みがコアだと思うのですが、それを成り立たせるために複雑で説明的な設定や段取りにページを割きすぎていて一番面白いところが隠し味みたいになってるのが難点です。和服の乙女がバスケ無双してしまう漫画と割り切ったほうがおそらく読み味は気持ちいいです。
編集Y
一言でいうと、とりつくしまがない…という印象です。真面目な漫画なのかギャグなのか。百合なのかストリートバスケなのか親子の話なのか…最後まで輪郭が見えてきませんでした。原因は過積載なだけではなく、結構根深いものではないかと。。。
編集L
女の子のかわいさはよく描けていると思います。絵が整っていけば非常に魅力的な作柄になりそうです。「西洋文化と日本文化の板挟み」というテーマは、わかりやすいようで共感しづらいものであるため、そのモチーフとなるものを絞って深堀する必要があったのかな、、、と。今回でいえば「バスケ」と「髪」はどちらか一つに絞るのが正着であったように思いました。

[ショート部門]

受賞作なし。審査員をアッと唸らせる短編漫画をお待ちしています!!

#061 審査員銀河英雄伝説藤崎竜先生

プロを目指す上で重要な課題の一つである個性とは、すなわち作者の脳内世界の3D的な広がりや深さかと思います。4D・5Dであればなお良いです。今回のお三方はその点において優れているなとかんじます。読ませていただいて、私も勉強になりました。

編集部総評

今回は受賞作こそ少なかったものの、個性派ぞろいの回でした。どの作品も「描きたいもののコア」をしっかりと持っていて、地力を感じます。それをまっすぐに見据え、最短距離で最大効率の面白さを伝えるにはどうすればいいか。引き算を尽くすと精度があがっていくはずです。

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