新人賞

#064 シンマン賞結果発表

[ストーリー部門]

佳作+月間ベスト+初投稿賞

水神奇譚
42P
紫彗冷泉(23) 広島県
賞金43万円
佳作30万円+月間ベスト10万円+初投稿賞3万円
福島鉄平先生
画面がキレイで凝った構図も見やすく、描き慣れている感じがしました。お話はもう少しキャラ主導になるよう心がけると良いと思います。
編集S
設定・ドラマ・キャラの背景…と、このページ数に詰め込んだ結果は平坦なあらすじに感じてしまいます。抜く勇気を持てばもっと伸びるでしょう。
編集I
作者が描きたい美しく、スタイリッシュな世界観は理解できるが、作者の趣向を青年誌ライクにアジャストできるかが今後の課題か。清麗の決めのシーンはもっとギミックとアクションがあると一層引き立った。
編集K
画力もさることながら、42Pでピアニストの葛藤や清麗と瑞の宿命、穢れについてなどを詰め込みつつも描き切っている構成力も素晴らしいのではないでしょうか。惜しむらくは、今回の話で言えばピアニストの抱えた心の闇が割と凡庸で、そこにつけ込んだりする類いのものでもなかったのが残念か。穢れをテーマにするなら、闇には深く切り込まないと共感が得られないのでは。
編集K
「穢れ」をテーマとして、耽美な世界観を美しく描いている。水という描画が難しいものに挑み、流体の動き、画面での絵映え、そしてセリフに至るまでしっかりとした美意識で貫徹されていたと思います。一方でその独自性においてはやや「よくある作品」に収まってしまっていたように思います。世界観やキャラだけでなく、「心がないピアノ」という落としどころなど「既視感」の範囲でした。
編集S
この作者が、かっこいいとおもうこと、気持ちいいと思うことが、ヤンジャン読者に刺さるか、というと難しい。
編集N
すべからく物語はイメージを共有しやすいところから入り、しにくいところに導くもの。そういう点でのっけから遠いところで展開しており、キャラクターも読者に寄り添ってくれない感覚は残念。ただデザイン的には見るべきところがあり、作りようによっては化ける可能性はある作家さんだと思う。
編集Y
最短距離で連載を目指せる作家さんだと思います。いう必要ないかもしれないけど、コマ割りと構図はまだまだ上達の余地があるかと。そこに拘らないのであれば、自分の武器である止め画をさらにのばすべきかと。
編集M
地力の高さを感じる作品ですが、物語が途中から始まっている印象を受けます。瑞というキャラが担うべき一般人視点が、途中から欠落してしまっているのが悔やまれます。

佳作+初投稿賞

人人
46P
山口貴(26) 東京都
賞金33万円
佳作30万円+初投稿賞3万円
福島鉄平先生
絵が丁寧で話も分かりやすかったです。次は一発ネタに頼らないストーリー作りをしてみると一つ上に行かれるかもしれません。
編集S
渾身の筆致(?)だけど、ホラーとして物語は凡庸に感じます。
編集I
呪いと虫の関連性や、殺した側に憑りつく、本音を吐き出す設定など、後出しやご都合の傾向があり、練り足りなかった印象。見た目の怖さ、気持ち悪さだけではなく、心理的に追い詰められた怖さをもっと出したかった。好き嫌いは分かれる絵柄だが、あるレベルでの安定感は評価できる。今後は好感度が高い主人公を作れるか見てみたい。
編集K
えぇ?予想外のエンド…自死を選んだところまでは良かったのに、最後取り憑かれちゃうんだ…報われない!が、この絵柄&画力にホラーはピッタリだし、WEB漫画的にもほしいと思う才能なので、期待しております。
編集K
絵や演出を使って、人を驚かせる=楽しませることに関しては、かなり意識していたと思います。絵も全編を通じて緻密に描き切れていて、設定上の世界観をしっかりと共有させてくれました。一方で、呪われることと本音を言うことのつながりが弱く、構成に強引さがありました。
編集S
最後、無理にバッドエンドにしなくてもいい気が…。絵が古いし、話もなんてことない超普通のホラーだけど、なんか飽きずに読めてしまった…!
編集N
絵そのものの技術は高いが、コマ割はシンプルな話の割りによみづらく、また読み手の気を引き付ける導入も弱い。ホラーで何かやるのは良いと思うが、もう少しキャッチ―なアイデアをコアに据えてほしいところ。企画次第では形にはできそう。
編集Y
漫画を描く基礎的な力は十分あるが、これをバッドエンドに持っていくセンスは個人的に理解できませんでした。途中まで気持ちよく読めただけに残念でした。
編集M
読ませる迫力は十分ですが、パニックホラーとしてのオチが弱いのが気になりました。

期待賞+審査員特別賞+初投稿賞

鬼鬼手
45P
稲熊七瀬(21) 愛知県
賞金23万円
期待賞10万円+審査員特別賞10万円+初投稿賞3万円
福島鉄平先生
王道タイプのストーリーで楽しく読めました。独自の世界観は持っていると思うので、キャラの掘り下げと画力向上に力を注いでください。
編集S
描き手にも、鬼鬼手を持て余している印象。ありがちなものにしたくないという理由で存在を描き切れないならば、作り手側の甘えに思えてしまいます。
編集I
特に強さの根拠がないように、いろいろ湧く疑問は最後まで回収されないところが、作りとしては不親切。手の化け物のアイデア・造形はなかなか見たことないので、もう少しブラッシュアップしてから描いてほしかった。
編集K
この主人公の手は(家族の?)鬼鬼手を飼いならしてるとかそういう話でしょうか。だから超絶パワーが出るんでしょうか、その辺がちょっとわかりませんでした…あと、描きたい超絶バトルに画力が追いついてないのももったいないので、一にも二にも画力の向上が急務かと。
編集K
手にアイデアを絞って、しっかりとインパクトを作り出せていた。一方でそのアイデアだけで突っ走り過ぎていて、物語や展開が単調になってしまっていると思う。今作では指それぞれで全くキャラ性が違うなど分かり易い工夫のしどころがあったはず。
編集S
鬼鬼手のしゃべりかたや、気持ち悪さはもっとつきつめられるはず。後半になると、わりと真面目なサラリーマンみたいなしゃべりかたになるので、怖さが半減してしまう。
編集N
服装であるとか文化レベルとかまずもう少しこの世界を整理したうえで入らないと異形を出しても没入させるのは難しい。経緯を説明するばかりで期待感が湧かない主人公も課題が多い。手の異形化は悪くはないけれど、少し大味なのが残念。
編集Y
自身の現在地点に見合った題材なのではないでしょうか。突然、旭日旗が出てきたりなど、世界観がボンヤリしているので、もう少しこのアイデアに沿った作りこみにして欲しかったです。
編集M
「鬼鬼手」というアイデアがピークになってしまっているのがもったいない。この異形ならではのお話が読みたかったです。

期待賞+初投稿賞

あなたの声で目覚めたい
32P
池七未(18) 高知県
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
福島鉄平先生
SFチックな独特の世界観の作品でした。お話がやや分かりづらいので、ネームの段階でどんどん人に読んでもらいましょう。
編集S
世界観と登場人物の説明に不足を感じます。この作品で描かれているのは断片に過ぎませんので、子供に聞かせて分かるような物語に落とし込んでください。
編集I
時を超えてまで守りたい想いを、ちょっとファンタジックだけど、オリジナリティある世界観の中で真摯に描こうとしている。話し言葉とモノローグの混在が分かりにくいのが課題。
編集K
ノアの病気のくだり、過去の日記、未来の博士…と、理解が追い付かない部分が読みづらさに繋がっているのは残念です。博士のノアに対する思いも、なんらかのエピソードで大事な人であるということを示してほしかった。
編集K
絵、キャラ、展開・構成など、拙いながらも、セリフ力の片りんはしっかりと見せ、作品をまとめ上げている。作品性が内的であり、自己完結してしまっているきらいがあるので、次回はより多くの人を楽しませるギミックやアイデア、絵作りを目指してもらえたらと思います。
編集S
雰囲気メインではあるが、会話のテンポは退屈せずに楽しめる。絵も丁寧で好感が持てる。もう少し物語に厚みが出ると良いと思う。
編集N
夢の中で生きる永遠の世界といっても事実上の冬眠装置であり、設定上死と意味するところはあまり変わらない。タイムマシン的なものの開発に成功しているところからそっちのほうが技術としてすごいし、別の方法はなかったのか、など気になってしまう点は多いが、グラフィック面では可能性を感じる素地があるように思う。いい表情を描いている。
編集Y
シンプルなようでいて、はっきりとしない設定にスッキリしませんが、描きたいものはあからさまなほど良くわかりました。この手の作品は手が届きやすい題材だと思うので、初作品であれば描き切ったという点で成功のような気がします。
編集M
“時間”という難テーマを扱っている姿勢は買いたいですが、テンプレ感のある物語になってしまっているかなと。次作は、もう少し作者の顔が見えるものを期待したいです。

期待賞+初投稿賞

終わりまでは、
35P
江野兎季(16) 兵庫県
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
福島鉄平先生
構成がシンプルで読みやすかったです。次は会話に頼らない、動きや絵で伝える描き方にチャレンジしてみましょう。
編集S
自己完結ストーリーをこの年齢で描いてしまう落ち着きに不安を感じますが、長い目でじっくり成長していってください。
編集I
ずいぶん若いのに心理描写がとても素直で慈愛に満ちていて好感が持てます。誰もが持つ普遍的で他人には言えない思いをうまく表現できている。単純に絵の技術不足などたくさん学ぶべきことはあるが、ここまで気持ちをえぐることができるのは才能かと。
編集K
16歳…直球すぎますが、描きたい世界はちゃんと描けているのではないでしょうか。もしかしてこれ妹なのでは…ってもっと溜めてから驚かせてほしかった。そこだけがもったいないですが、妹ちゃんの思いの丈とか、前向きなエンドとか、読後感のさわやかさが心地よい作品でした。
編集K
しっかりと自分の言葉を使って語り、テーマを表現していたと思います。キャラのイメージ・掘り込みはやや感傷的で借り物感も否めませんでしたが、若さの勢いでちゃんと熱があり、伝わってくるものがありました。
編集S
演出が少女マンガだが…。死臭の表現は、新しくて好き。
編集N
物語自体はテンプレ通り。逆にいえばよくまとめられていると思う。漫画としてはアイデアも展開も弱いが、良い表情は描けている。読み手の期待や想像に向こう側にいくような構成に次作は力をいれてほしい。
編集Y
よく頑張って描いているとおもいます。作品的に特出した部分はありませんが、素材感も無きにしも非ず…ではないかと。
編集M
最後まで描き上げた胆力を買いたいです。次回は、お話のためのキャラではなく、キャラを見せるための話作りを意識してください。

期待賞+初投稿賞

マスキャバ!
36P
木村駿太(22) 東京都
賞金13万円
期待賞10万円+初投稿賞3万円
福島鉄平先生
バカバカしさと勢いのある作品でした。夜の世界が舞台ならば、女の子をとにかくかわいく描けると作品の魅力も増すと思います。
編集S
描く気がはやりすぎていて、散漫な印象。①主人公の「武器」と「弱点」②物語で描かれる「ハードル」を明確にして作りましょう。
編集I
黒服になりたいって割には、なぜいい加減な仕事しかしてないの(笑)?結局抜くか抜かないかに主題がすり替わっちゃっている。いい意味で童貞感丸出しのギャグ満載だが、ベースとなる、玉介の「人柄がいい」「人気者」「エロ童貞」を序盤でもっと印象付けたかった。
編集K
おバカでいいんだけど、ちょっとキモいかな。賢者タイム以外にももう一ひねり工夫がほしかった。あとこの手の話ではいつもいいますが、こういった作品は画力が命だと思うので、超絶絵師で読みたい…と思われたら負けです。
編集K
独特なキャラクターを複数配し、キャラの掛け合い主眼でストーリーを作れていたと思います。セリフにも癖があって独自性の片りんが垣間見えました。
編集S
読み切りとしての精度は低いが、週刊誌向けの高いテンション、あたってもはずれても出し続けるパンチの手数、かわいくなくても、それなりにセクシーぽく描こうとする女の子…これらに可能性を感じます。
編集N
職業ものとしてはそんなに夢があるとか、あこがれるようなポジションのものではないので、せめて主人公の魅力に最大投資しなくてはならない。なんらかの異能異才、それにより得られるリワードはどのくらい大きいのか。賢者タイムだけで根拠もなく化けさせては漫画にならない。
編集Y
22歳でこの題材を描こうと思ったのと、描けているのがただひたすらに凄い。単純なキャバクラ漫画はもうおなかいっぱいなので、夜の世界の新しい職業(新宿スワンがスカウトであったように)など探して、取材して次作挑んで欲しいです。もちろん夜の世界じゃなくても。あと画力アップは必須。
編集M
描きたいことは明確に伝わってきますが、現状だとシンプルに下半身のゆるい主人公で、フックは弱いかなと。賢者タイムのチート感はマンガっぽくて好感が持てますが、ぜひ井上三太ばりの哲学を見せてほしいところです。

[ショート部門]

期待賞

騒蝉家のペットは大きめ
16P
吉成ゆうひ(21) 福島県
賞金10万円
期待賞10万円
福島鉄平先生
絵が丁寧で読みやすかったです。作中の“日常”と“非日常”をハッキリさせた方がより楽しみやすいかと思いました。
編集S
ペットが大きくてしゃべると面白い?『ドラえもん』は猫型ロボットだから面白いの?そこからキャラ付けして初めて物語は動きます。
編集I
動物が話せるという設定を上手に活かせていない。展開上の動きがなく、会話劇に終始しているので、セリフ回しの面白さ、ギャグの精度が勝負なのに、水準に達していない。家族のメンバーの造形には妙にリアリティがあってよかった。
編集K
オチがそっち!!?って方だったのには驚きましたが…ハムこまちに大きさとか人語をしゃべるとか女性性とかいろいろくっつけすぎてしかもそれが普通のことになりすぎてしまっているのでもったいないことになっている気がします。
編集K
キャラのアクの強さもそれぞれあり、表情もとてもユニークでした。複数の掛け合いもできており、力強さを感じました。特異な設定も力でねじ伏せて読ませてしまっていたし、「子供が親に感謝していること」を誤解するクダリなど含め、構成面でもとても秀逸な運びができていたと思います。
編集S
すごくテンポがいいな、というところと、急にテンポ悪いなぁ…と感じるところ、その落差が異様に激しい…。ですが、一定のレベル以上であることは確か。
編集N
巨大ハムスターっていうのは面白い。あまりしゃべったりする必要はないし家族も多すぎる。この巨大ハムスターネタで新作作ってほしい。
編集Y
ハムこまちちゃん、いいと思います。もうちょっと造形がかわいくならないですかね??そこから生まれるギャップが面白さのアシストにもなるかと。
編集M
でかくてしゃべるハムスターがまったく可愛くない…。顔芸は悪くないと思う。

#064 審査員ボクらは魔法少年福島鉄平先生

断言しますが、人間にとって一番興味のあるものは人間そのものです。作品内の絵、ストーリー、世界観、ギャグ他を楽しんでもらうには、まず興味をひく人間=キャラクターを作りましょう。それが出来ればしめたものです。頑張ってください!!

編集部総評

今月は数も内容も秀作揃いだったのでは。初投稿の若い方達の健闘が目立っていたのも良かったが、それ故か、アイデアの段階で止まってしまっている作品が多かった印象。マンガは主人公を描くべきものなので、そこに注力した作品が生まれてくることを期待。

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