YJ45周年記念スペシャルインタビュー【第1弾】安彦良和

のむら てつや●1970年10月8日 生まれ、スクウェア・エニックス所属。
『FINAL FANTASY VII』のキャラクターデザイン・シナリオ原案を担当。同作は1997年1月31日に発売され、世界累計1400万本を超えるメガヒットを記録。その後、『FINAL FANTASY VIII』キャラクターデザイン等の仕事を経て、ディズニーとの共演を果たし世界的人気を誇ることで知られる『キングダム ハーツ」シリーズのディレクターを務める。
その他『FINAL FANTASY Ⅹ』キャラクターデザイン、『すばらしきこのせかい』クリエイティブプロデューサー、など。

踏襲せず、踏襲できないものを

YJ45周年を記念して特別インタビューを連続実施! 第2弾は2024年に発売した大注目タイトル『FINAL FANTASY VII REBIRTH』のクリエイティブディレクター・野村哲也さんに突撃! 圧倒的に個性的で革新的な作品を生み出すクリエイターの魅力に迫ります!!

取材・文/ヤングジャンプ編集部 撮影/石川耕三

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』について

――『FINAL FANTASY VII』(以下:『FF7』)リメイクプロジェクト3部作の待望の2作目『FINAL FANTASY VII REBIRTH』(以下:『リバース』)が今年発売されました。本作で達成したいと考えていた目標を教えてください。

『リバース』というよりリメイク3部作の目標ですが、「認識のひずみを正し、一つにしたい」という想いがあります。本来、「ゲームシステムやシナリオはそのままに画質を綺麗に」というのが大体のリメイクの形です。ただ、今回はオリジナルから二十年以上も時間が経っていて、綺麗にするだけでは当然今の時代にはそぐわないし、プレイヤーの思い出補正が大きくかかってしまっていると思いました。二十年間、『FF7』を触り続けている人ってそんなにいないと思うので、昔の思い出がそれぞれのプレイヤーの中で少しずつ形を変えて残っているはずです。さらに『FF7』はスピンオフ作品が幾つかあって、同一場面でもオリジナルと異なるシーンになっていることがあります。だから、年月の経過とスピンオフの存在で、プレイヤーの思い出に微妙な「認識のひずみ」があると思うんですよ。今やり返してみたら、「あれ、このシーンってこうだっけ。俺の中ではこう思っていた」みたいな。僕もそうですが、特にシナリオの野島さんが、その「認識のひずみ」を気にされていたので、一つに収束させたいと思っています。

――スピンオフ作品との「認識のひずみ」は確かに感じることがありました。その「ひずみ」はゲーム内でどのように表現されていますか。

ゲーム終盤、白い空間にセフィロスがいてクラウドが飛んでいくシーンで、色々なビジョンが見えます。あれらの中にはきっと、プレイヤーの心の中にある『FF7』の世界もあって、どれも『FF7』ですが、どれも微妙に異なっています。別の世界線みたいなものが幾つも存在しているんです。「Aの世界ではこの人は生きているけど、Bの世界では生きていない」というように、分かりやすく変えていますが、人それぞれ違う捉え方をしていたり、時間が経って思い出が少し書き換えられていたり、スピンオフでずれがあったり、今作でも別レイヤーの世界をいくつか体験してもらいましたが、そういうものを表現したのがあのビジョンということです。

――『リバース』ではワールドマップが登場しましたが、野村さんの理想とするワールドマップがいよいよ実現できたのでしょうか。

そうですね。これは本当に現場の頑張りのおかげです。我々も含め、誰もが夢に描いていた『FF7』のワールドマップを提示できたと思います。

――ミニゲームや探索要素も非常に豊富ですが、これらは広大なワールドマップを隅々まで遊んでほしいという思いによるものでしょうか。

そういうことですね。目的がないと、隅々まで探索するモチベーションも湧かず、ただ広い世界をうろうろするだけになります。そうすると広大なワールドマップを実現した意味もなくなってしまうので、探索をすればその分発見や成果がある形で、色々な要素が詰め込まれています。

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