週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 二宮裕次先生特別インタビュー

『BUNGO -ブンゴ-』を連載されている二宮裕次先生に突撃インタビュー!
連載を勝ち取るために必要な技術・心構えを伺いました!

【1st inning】 魅力的な第1話の作り方

僕の意思を消して、キャラクターの意志を尊重する――。

――第1話の作り方についてお話を伺いたいです。物語の冒頭を面白く、読者を惹きつけるために工夫した点を教えてください。

二宮先生 まず、何が面白いかは個々人によるので僕には分かりません。ただ、主人公の魅力を際立たせることは意識しました。

――『BUNGO -ブンゴ-』では主人公のどのような魅力を引き出そうと試みたのでしょうか。

二宮先生 「揺るぎない意志」ですね。生死すら飛び越えて目的を追求する姿勢を描きたかったので、どうすればその決意の強さを表現できるかと考えていました。すると、狂気じみたほどの強い意志を持った人間が野球をしていたら、たとえ明日地球が滅びるとわかっていても楽しそうにボールを投げ続ける姿が浮かんできたんです。だから、ブンゴの「揺るぎない意志」を引き出すために、冒頭では台風の最中でもブンゴが壁当てを続ける光景を描くことにしました。

――壁当てのシーンでは、「ブンゴの笑顔」が意志の強さを際立たせていると感じます。この表情はどのように決めましたか。

二宮先生 実は、ブンゴの笑顔は僕が意図的に描いたものではなく、「あの人だったらそうする」という自然な表現です。キャラクターを作為的に動かさないことは常に心掛けています。

――なぜ作為的に動かさないように心掛けているのでしょうか。

二宮先生 キャラクターの意志を無視して作者の意向で物語を進めてしまうと、キャラクターが生き生きとしなくなり物語のノイズになってしまうからです。僕自身も過去にキャラクターを活かせず申し訳ないことをした経験があります。「キャラクターが大事」と言葉では理解していましたが、体感はできませんでした。

僕がハッキリと体感を得れたのは、前作のバスケ漫画が連載終了したときです。当時、「何を・どこで・誰が」という順番で漫画を描いていましたが、キャラクターを最後に考える方法はうまくいきませんでした。同時期に連載していた人気漫画とは違う切り口を意識した結果、環境や設定に当てはめた広がりのない主人公を作ってしまったんです。そのときにようやく、「僕の意思を消して、キャラクターの意志を尊重する作りにすべきだ」と悟りました。

次回のテーマは…「生き生きとしたキャラクターの作り方」について!

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