週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ フォビドゥン澁川先生特別インタビュー

あら、いらっしゃい♡
ヤングジャンプ新人漫画大賞 第13回審査員のフォビドゥン澁川先生に特別インタビュー!!
連載6年、ファン待望のアニメ放送を控え、さらなる注目度の高まりを見せる『スナックバス江』はこうして生まれる!!

――ヤングジャンプの新人賞出身のフォビドゥン先生ですが、プロの漫画家になるまでの経歴を教えてください。

澁川先生 漫画家を目指そうと思ったきっかけは、就職活動に失敗してそのまま大学を卒業してしまったからでした。
ほとんどニートの言い訳みたいな動機だったと思います。ニートになって半年後、地元札幌で開催された出張編集部的な持ち込みイベントにサークル時代の後輩と一緒に参加したのですが、後輩達が名刺を受け取っている中、一枚も貰えず悔しい思いをした私が終了ギリギリで滑り込んだのがヤングジャンプ編集部でした。
何故ヤングジャンプを後回しにしていたかと言えば、まん〇タ〇ムき〇らから一番遠かったから…。
その時見て頂いた原稿でギャグの一番下の賞を貰えたり、代原として載ったり、その次は準グランプリを貰えたりで比較的スムーズに行った気がするのですが、連載用のネタを作るのにグダグダしてしまい大変ご迷惑をおかけしました。その間にまた代原のお仕事を結構な頻度で頂いて、代原なのに連載みたいな事になり、気が付いたら週刊連載になっていました。気が付けば引き返すのが惜しいところまで来れただけで、未だに根底にあるのはニートの言い訳なのかもしれません。

――連載開始以降一度も休載をされていませんが、1話の制作に費やす時間・日数、また、連載中の1日、1週間のスケジュールを教えてください。

澁川先生 1週間のスケジュールですが、5日でネーム、2日で作画という雑な感じです。 休載しないのはスケジュール管理能力が優れているワケでは無く、単純に休載の取り方が分からないからです。どういうシステムになっているのでしょうか? 実際に休載を申し込んでから何週間後に頂けるんでしょうか? でも休みたいのは今すぐにであって、数週間先に休んでもなぁという気持ちもあります。バス江休載の穴を埋める為に代原を描かされる可能性もありますし…。

――週刊連載で6年、300話を目前に控えた『スナックバス江』ですが、ネタが枯れない秘訣はなんなのでしょうか?

澁川先生 スナックという舞台設定がよかったと思います。割と何でもネタにできるというか、思い付きを喋らせるだけでもページを埋めれるのは助かります。

――『バス江』というと世の中に対する解像度の高いツッコミも魅力の一つですが、これらある種のルサンチマン、フラストレーションは先生ご自身のものなのか、それとも客観的なものなのでしょうか。この意味で先生ご自身に一番近いキャラクターは誰ですか?

澁川先生 全てはギャグの副産物なので客観的、というよりは他人事的な気がしますが、ツッコむ側もツッコまれる側も『キャラは本気でそう思って言っている事』であるように意識しています。自分に一番近いキャラは、森田ではありたくないので逆に森田です。

――パワーワードというか名場面の宝庫である本作ですが、どのような意図、設計思想で作られているのでしょうか?(例えば、卑近な言い方ですが「バズるようなコマにしたい」のような)

澁川先生 特に新しい事も考えず、教科書通りな作りだと思います。1P目の導入から始まって、2P目に掴みがあって、ページを捲った最初のコマに何かが来るようにの繰り返しです。強いて言うなら数撃ちゃ当たるの精神でネタを詰め込もうとは思っています。

――『バス江』のヒロイン論争の回(128話:Just Say I Love Him)に着想を得たという『三番手ヒロインのその後』(原作:望公太/作画:大友卓二)なども話題になりました。長期連載になり先生や作品に影響をうける若手も多くいらっしゃいます。そんな中で今注目している作品、漫画家を教えてください。

澁川先生 『ハイパーインフレーション』の住吉九先生です。

――作中のキャラクター達は常連同士で顔見知りだったりするわけですが、彼らのようによく会う友人や同業者はいらっしゃいますか?

澁川先生 よく会うのは小学校からの幼馴染なのですが、連絡の頻度で言うと大学の後輩が多いです。でも後輩とはネットを介してのやりとりだけで、もう何年も直接会ってないので、そろそろ本当に実在するのか怪しい気がします。

――検索サイトで“フォビドゥン澁川”と入力するとサジェストのトップヒットが「天才」になっていました。ご自身でそう感じる瞬間はありますか?

澁川先生 天才だったらもっと人生が楽だったんじゃないかなと思います。以前後輩からも「サジェストで天才って出てきますよ!」と教えられたことがあるのですが、具体的に何と書かれているのか読み上げてもらったところ「フォビドゥン澁川を天才…扱いする編集部はセンスが無い。」みたいな内容のブログ記事で、気まずい思いをしたことがありました。でも私よりも、編集部の方が悪く言われていたのでよかったと思います。

――ご自身の作品で一番のお気に入りのキャラクターは誰ですか? 私個人としては森田が大好きですが、背景の“あのお方”(コマの端っこのイメージ図的なのによく出てくる人)もとても好きです。

澁川先生 小雨が出る回は比較的優しい話が出来上がるので気に入っています。あとは多分、あまり表立って挙げない方がいいキャラもお気に入りです。

――作中のキャラクターやネタ元の着想源を教えてください。

澁川先生 ステレオタイプな偏見と、バランスをとる為の善良な要素で土台が出来上がっている気がします。そこからボケさせたりツッコませたりを重ねていくと、それ自体がキャラクターのデティールになるのではないのでしょうか。どうなのでしょうか。

――レギュラーキャラ以外にもゲストキャラが多く存在する本作ですが、どのように作られるのでしょうか?

澁川先生 レギュラーキャラにやらせると設定がおかしくなりそうなネタの時にゲストキャラを用意しています。ネタに合わせた思い付きオンリーの儚い存在です。

――ストーリー漫画に比べるといわゆるギャグ作品は数が少ない訳ですが、どうやって絵や作劇などについて勉強しましたか? 特定の師匠などに師事などされましたか?

澁川先生 美少女4コマ漫画の模倣から入り、今のスタイルに落ち着きました。ギャグのやり方に関しては漫画そのものよりも、漫才やコント、コメディ映画の影響が大きかったのかなと思います。

――アニメで新しくバス江を知る方も多いと思います。新規読者にイチオシの回や、先生のお気に入りの回を教えてください。

澁川先生 4巻70話はかわいい猫の話なので読みやすくてオススメです。

――過去作『パープル式部』も非常に挑戦的な作品でしたが、『バス江』も唯一無二の地位を築いたと思います。新たに作品を描くなら、どんな作品、テーマ、キャラクターを描いてみたいですか?

澁川先生 次に描くならギャグから一転して、人間の闇を暴くような、心理戦の応酬があり、単なる娯楽作の枠で終わらないような、美少女4コマ漫画に挑戦したいです。

――作中のキャラクターたちもそれぞれ結構多趣味ですが、ご自身の体験によるものが大きいのでしょうか?

澁川先生 自分自身やった事がある趣味だったり、後は何か流行ってる気がするから取り入れたりまちまちです。

――東がダグラス浜田氏を崇拝するように、影響を受けた、または尊敬するクリエイターはいらっしゃいますか?

澁川先生 漫☆画太郎先生には衝撃を受けました。手塚治虫先生よりも漫画家みたいな名前をしてらっしゃいますし、実際私が初めて覚えた漫画家の名前でした。

――子どもの頃になりたい職業は何でしたか?

澁川先生 夢の無い子供時代でした。しかし、まさかこのような大人になるとは…。

――学生時代に好きだった作品を教えてください。

澁川先生 北海道民なので、『水曜どうでしょう』からチームナックス関連の番組が好きでよく見ていました。特に印象深いのは『ドラバラ鈴井の巣』内での『マッスルボディは傷つかない』というドラマです。今を時めく、なかやまきんに君も出演されていました。

――スナックよろしく、近況報告をお願いします。

澁川先生 シャワーで済ますことが多かったのですが、最近はオマケ入り入浴剤にハマり、お風呂を沸かす機会が増えました。入浴剤がお湯に溶け、その中から姿を現したオマケがダブりだった時は最悪の気分になります。湯船の色も何だか薄汚く見えます。

――最後に、漫画家を目指す人へ一言お願いします。

澁川先生 何事も健康第一です! 身体とメンタルを壊してしまっては元も子もないので、壊れないようにギリギリのラインを攻めていきましょう。

次回は制作解説と作画動画を公開!!

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