週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 山田胡瓜先生&藤村緋二先生特別インタビュー

全4週に渡ってお送りする豪華Wインタビュー!
【新人時代の壁と乗り越え方】についてお聞きしました!

――お二人が漫画家を目指すと決めてからの道のりを教えてください。

山田:僕は物心ついたときから「将来の夢=漫画家」という人間でした。面白い話を作りたくて、そのためには皆がごく普通に経験する「社会」や「学校」を知った方が良いと思い、敢えて四年制の大学に行きました。その後、「就職するのも漫画の種になるぞ」と考えて、ネットニュースの記者として働く傍ら、漫画を描いていました。そのときに描いたものが講談社の「四季賞」を受賞、それを機に会社を辞めてライター兼漫画家になったという流れです。

藤村:僕は元々絵が好きだったので美術系の高校に進学しました。ただ、親からは経済的な理由で「大学に進学させることはできない」と言われていたんです。「今のうちに進路を決めないとフリーターになってしまうけど、何が良いんだろう」と考えていたとき、連載が始まったのが『バクマン。』でした。『バクマン。』を読んで、「そうか、漫画家になる道があるのか」と気づいて目指すようになりました。その後、高校生の間に何度も新人賞に出していると、当時の「別冊少年マガジン」の編集長さんが「絵は描けるんだから、原作付きでデビューすれば良い」と声をかけてくれたことがきっかけで漫画家デビューしました。

――新人時代に漫画家を目指すにあたって苦労したことはありましたか。壁を乗り越えるためのコツがあれば教えてください。

山田:先程の話と重なりますが、新人時代は人生経験が浅かったので、フィクションの世界から仕入れた視点やお話の種をそのまま流用していました。僕はSFやヒューマンドラマを描くことが多かったので、人間の機微が重要なはずなのに自分のフィルターを通していないものを出してしまうなど、その時期は苦労しました。
僕の場合は「記者」という仕事で「わかりやすく伝えるためにはどうすれば良いのか」を考えた経験が、お話を作ることに繋がっていると思います。漫画家という仕事は、人に面白いと思ってもらいお金をいただく商売です。考えていることがどんなに面白くても、魅力的に伝える技術が不十分だと伝わらないことが結構あります。
だから、僕が新人漫画家さんにおすすめしたいのは、好きな読切作品と連載作品を分析することです。面白かった読切は、作品内に感動したポイントがあるはずなので、なぜ感動したのかを分析してみる。一方で、連載作品には続きが読みたくなる瞬間があるはずです。その瞬間を分析する。漫画の面白さを自分なりに因数分解して、研究すると良いのではないでしょうか。

藤村:絵が上手くなるための情報収集が難しかったです。漫画の絵の作り方はある程度公式に当てはめなければいけませんが、2008年当時は今よりも情報収集が難しい時代でした。だから、自分としては実力が至らない絵でも、何とか出来ているように見せかけようと試行錯誤していましたね…。僕は井上雄彦先生が好きだったので、井上先生の漫画家としての歴史を調べて「こういう風に絵を学んだのか」と知る時間は楽しかったです。ただ、遅々として進まない現状に対してストレスはありました。
そんな中、僕が実際にやって良かったことは「模写」です。井上先生のドキュメンタリーで、若手時代に大好きだった『ドカベン』の1話を丸々模写したと観たので、僕は井上先生の『バカボンド』1話を模写しました。トレースを一切せずに模写したので、非常に時間がかかりました…恐らく1年くらいかかったと思います。ここまでやる必要はありませんが、自分が目指したい作家像を3人ほど挙げて、模写してみると発見が多いですよ。「鼻の位置って、自分が普段置かないところに置くんだ」「背骨ってこのくらい曲げるんだ」とか、他人のフィルターを通して自分の絵を見ることは、自分の勘違いを修正することができるという気づきがありました。

次週のテーマは・・・漫画脚本/作画でもっともこだわっている部分について!

今すぐ応募する
このページのTOPに戻る