週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 青崎有吾先生&松原利光先生特別インタビュー

『ガス灯野良犬探偵団』の青崎有吾先生・松原利光先生に豪華インタビュー!!

分業漫画製作の謎を追う!

――『ガス灯野良犬探偵団』(1話18P)の制作過程をお伺いしたいです。

青崎先生 初めにセリフやキャラクターの表情、背景など最低限の情報をコマ単位で記したシナリオを作成し、松原先生にお渡しをします。そこから松原先生に1日半程でネームとして描き起こして頂き、もしキャラクターの表情など細かな部分に違和感があればが微修正をお願いしますね。加えて、各話によって私の書いたシナリオの量が長過ぎたり短過ぎたりしてうまく18ページに収まらないことがあるので、その際は内容を足し引きしてページ数の調整を加えるというのが大まかな流れです。

松原先生 そこから作画は5日間ぐらいですかね。1人のときは4日間程度しか作画に時間を当てられなかったので、今は贅沢に時間を使えています。

――それぞれの制作過程において、特にこだわっている作業をお伺いしたいです。

青崎先生 セリフを出来るだけ切り詰めて、分かりやすいものにすることを心掛けています。小説を書く際と同様のボリューム感でセリフを書くと、コマの中がセリフだらけになってしまい驚きました…。あとは、背景の絵に謎を解くヒントを散りばめるなど、ビジュアル重視でミステリーを楽しめるように心がけています。

松原先生 大きく2つあります。1つ目は、青崎先生の書かれているシナリオのニュアンスを外さず、最大化できるようにネームに描き起こすことです。2つ目は、『ガス灯野良犬探偵団』ではキャラクターたちが話をしている絵が多いので、会話をしているだけでもかっこいい画面を作れるように奮闘しています。また今作では、自分では思いつかない画面づくりを迫られる場面が多く、絵作りの引き出しが強制的に増やされていきます(笑)。

――お互いの「ここがすごい!」と思ったところを教えてください!

青崎先生 週刊連載だとは思えないぐらい絵の密度が濃いことです。雑誌で印刷されたものをぱらぱらめくっていると、松原先生の絵で止まってしまいます!特に印象的なのは、第1話でシャーロック・ホームズとリューイが自身の名前を名乗り合うシーンです。やっぱり見せ場で締まる絵をきっちりと描いて頂けるので信頼できます!

『ガス灯野良犬探偵団』 1巻 p82,p83

松原先生 私が青崎先生にいつも驚かされるのは、計算とライブ感を両立させたシナリオを作られていることです。読者が楽しめる掛け合いを発生させるには、どのようなキャラクターを配置が適切かなど緻密に計算されていると思います。あとはやっぱりミステリーパートのライブ感ですよ。

青崎先生 出来事を先に決めて、トリックや真相は後から考えるという作り方をしています。「こういう密室がある。どうやって密室を作ったかはそれから考える。」というイメージです。トリックありきで事件をつくると、どうしても作為的になってしまうと思うので…。例えば2話では、ホームズがお茶を飲んでいるところに、老人が落ちてくるというシーンを作りたいということしか決まっていませんでした(笑)。

松原先生 時々、「(あとのことは知らん)」とシナリオに書いているので笑ってしまいます。ただ結果として、「あっ」と驚く真相をいつも用意して頂けるので自分も自信を持って作画をすることができます。

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