週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 中村力斗先生&野澤ゆき子先生特別インタビュー

ヤングジャンプ新人漫画大賞、第9回審査員『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』の中村力斗先生と野澤ゆき子先生のお二人に豪華突撃インタビュー!
お二人の新人時代のお話や漫画制作に対する姿勢や心がけ、漫画の制作についてお話をうかがいました。

●新人時代について

――漫画家を目指すと決めた時にまず、どんなことをされましたか?
漫画を描く練習法やご自身のキャリアの戦略を教えてください。

中:とにかくひたすら漫画を描きました。勉強のつもりで映画をたくさん見た時期もありましたが、やっぱり「実際に描くこと」以上に大切なことはなかったように思います。

野:私もいっぱい描くことが大事だと思います。
具体的な練習法でいえば、自分はキャラクターの人体をうまく描きたいとずっと思っていたので、手を上手に描くように意識したり、いろんな角度で描いたり、人体のクロッキーとか人の写真を見て模写したりしています。あと、人体解剖学といった本があるので、それを見ながら練習しています。
夜中に描きたくなる時があって、そういう時は、クロッキー帳に気が済むまで描いています。(連載中の今でも)量でいうと5枚とか6枚とか。時間がない時には2枚とか。最近は全然やれてないので、時間にすると30分~1時間くらいにはなりますが。

――デビューしてから連載するにいたるまでに感じた壁や苦心したことがあれば教えてください。

中:ただ自由に好き勝手に描いていただけのデビュー前とは違って、明確に「読者にウケること」に辿りつかなければならなくなったので、大変でした。
結局やっていた事はデビュー前と大きくは変わらずただひたすらに連載ネームを描いては出し、描いては出しを繰り返していただけなのですが、延々やっているうちに自信はどんどん削れ、「前に進んでいるのか?」という疑問と不安ばかりで本当に辛かったです。ですが、自分には漫画しかないと思っていたので、やっぱりただただ描いていました。

野:自分は新人賞を受賞してその作品がそのまま連載することになったのですが、その時の自分は全く漫画を描く力がなかったと思います。漫画の仕上げも全く知らない状態でしたし、ネームの描き方も分からずでそもそもの下地自体がなかったと思います。
とにかく自分のないものを見つけることが一番大事だと思って、どうやったら商業誌に掲載されている漫画家の人たちに近づけるのかなと考えながら、がむしゃらにやっていました。
具体的には、当時の担当編集の方に、これから連載する作品にはこういう絵柄が合うんじゃないかということで教えていただいた、モリタイシ先生の『今日のあすかショー』の絵を模写しつつ、自分の好みの女の子が描けるように練習しました。

――苦心された中、乗り越えるためのコツがあれば教えてください。

中:ただひたすらに描くことです。それ以上に身になるもの・前進するための糧になるものは基本的に存在しません。
不安や疑問で右往左往しそうになりますが、その答えはいくら考えても出ません。少なくとも僕はプロになった現在でもその答えは出ておりませんし、今も描き続けている中での発見や気づきは尽きません。
細かい迷いは悩んでも悩んでも結局堂々巡りになるだけなので、何かにぶつかって手を動かせなくなった時にはもっと大枠の問題である「漫画で生きていくか・その他の方法で生きていくか」の2択のみを判断し、「漫画で生きていく」と決められるのであればあとはもう他のことは気にする必要がないので、やっぱりただひたすらに描きましょう。

野:人によると思うのですが、私はライバルとかがいると結構挫けてしまうタイプなんです。自分より頑張っている人がいるのを知っちゃうとしんどくて。お互いに高め合っている人たちもいると思うのですが、自分には合っていないみたいです。自分のペースでやる環境をつくるといいかもしれません。
あとは、好きなものを描いてモチベーションを保つことですかね。自分がデビューする前に描き続けられたのは、好きなキャラクターがいてそれを描きたいという気持ちが強すぎたからだと思います。義務感じゃなくて使命感で描き続けていました。ちなみに『進撃の巨人』のミカサなんですけど(笑)。
女の子をかわいく描こうと思い始めたのは、本当にミカサを描き始めたのがきっかけだったので、デビュー作にはすごくその影響が出たと思います。

――編集者との打ち合わせで印象に残っていることがあれば教えてください。

中:編集さんからいただける言葉はすべて金言だと思っていますので、あえて「特に」を選ぼうとしても挙げられません。
ただ、褒めていただけるとやっぱり嬉しいですよね(笑)。

野:「100カノ」の連載を始める時に、「いろいろな女の子をたくさん描ける自信がない」と、前作の『江口君は見逃さない』でお世話になった編集さんに言ったら、「大丈夫だよ。もういっぱい描けているから」と言われたことですね。
前作は1話完結なので、毎回毎回、登場する女の子が違ったんですよ。そうやって4ページ分のやつを単行本5冊分出しているので、確かに100人いるかもしれない、と自信がついた気がします。やれるかもしれない、と。

――「これに気がついてから(できるようになってから)」漫画が上手になった、新人賞を受賞することができた、読み切りが掲載された、連載が決まった、など、ご自身の中でのターニングポイントがあれば教えてください。

中:ツッコミを描くようになったこと、キャラをかわいく描こうと意識するようになったこと、セリフを少なくする意識を持つようになったこと、の3つが大きいです。
それぞれ気づけたタイミングは全くバラバラでしたが。

野:自分の苦手なことに気がつくのが1番大事なのかなと思います。私だったらセリフ作りが苦手、絵はよく細かく描いちゃって見づらくなるから、もうちょっと見やすくしようとか、自分の欠点が自分でわかるといいかなと。
苦手なことを認識したうえで、これは克服できるけど、難しいことはやらないぞ、といったように何を頑張るのか考えるのも大事だと思います。例えば自分の場合、絵に関しては、ほかの漫画を読んでどういうふうにやっているのか勉強することができるんですけど、本当にセリフ回しが苦手で。そういう「苦手」を通常のレベルにするのはめちゃめちゃ時間がかかると思うので。

今すぐ応募する
このページのTOPに戻る