週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 田中一行先生特別インタビュー

レッスン3:編集者の言葉を疑え――。

自分の漫画を他人に任せてはいけない。

田中  お2人の漫画を読んで注意した方がよいと思ったことがあります。それは「真面目であることと臆病であることを間違えないようにしましょう。」という事です。

僕もそうでしたが、新人作家さんは打ち合わせで編集さんからたくさん駄目出しをいただくと思うんです。駄目出しを聞き続けると自信がなくなり、次第に「編集さんが言うことは守らなければいけない」「まだ連載デビューできていない我々は言うことを聞かなければいけない」と考えてしまう事もあると思います。

それははっきり申し上げると、真面目なのではなく、自分の漫画を他人に任せてしまっているだけです。

下元前田 (ゴクリ)

田中 あ、言葉が強くて申し訳ないです! お2人の人格を否定しているわけでは絶対にないです!
僕も同じような事を考えていた事があったので、あくまで漫画に対する考え方としてお伝えしています。

下元前田 はい! ありがとうございます。

田中 僕の話に関しても、必ずしも同意する必要は全くありません。お2人が納得できたら是非ご自身の漫画に生かしてみてください。

逆に、納得できなければ同意しなくても良いんです。ただ「俺は納得いかねー!」と思ったら、直ぐにできなくても良いので、自分なりの結論を出すようにしてください。要するに、持論を探すようにしてください。

これは、編集さんとの打合せでも似たような事が言えます。たまにですね、「あなたの漫画のこの部分、どうしてこうしたんですか?」と尋ねると、「編集さんがこう直した方が面白いと言っていたので...」と答える方がいらっしゃいます。

気持ちは分かりますが、編集さんが提案したことを「やる」と決めたのは「あなた」なんです。

僕の漫画も、お2人の漫画も、最初のページに載るのは自分の名前です。それはつまり、この漫画の責任者は「あなた」ということを意味しているんです。

言うなれば、僕たちは個人事業主で小さな会社の社長みたいなものですね。だから、仮に自信がなかったとしても、自分が描いた漫画に責任を取る癖をつけてみて下さい。その方が、失敗したときの上達が早くなると思います。

自分で意図したことが上手くいかなかったときと、誰かの意見を深く考えないまま取り入れて失敗してしまったときを比較すると、前者の方が「次はこうしてみよう」というアイデアが浮かびくなると思います。

だから、編集さんから言われたことに対して、深く考えないまま従うことはやめましょう。いただいた意見の良し悪しを判断して、皆さんの漫画に生かしてください。そして、自分が描いた漫画に責任を取ることを、恐れないでください。

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