週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 田中一行先生特別インタビュー

Q:ゲームに登場するマシン・ガジェットや内装も印象的ですが、こちらは先生ご自身によるデザインなのでしょうか?

田中先生 機能面とテーマ、ガジェットやマスコット的なものは僕のデザインですが、内装はテーマに合わせてスタッフさんに描いてもらいます。

Q:[ジャンプ+]でのTシャツ売上ランキングの上位席巻や、12月の原画展開催などグッズ的人気も非常に高い本作ですが、先生ご自身の思う「田中一行先生の一枚絵の魅力」とはなんでしょうか?

田中先生 「漫画に合っている」ことだと思います。僕より絵が上手な方は本当に星の数ほどいらっしゃいますが、僕より僕の漫画に合っている絵を描ける人はいないと信じています。
ですがグッズ的な人気に関しては、単純にファンの方々のネジが外れているだけなのでは?と思っています。いつもありがとうございます。

Q:本編、単行本描き下ろし漫画、休載イラストなど、存外キャラの別衣装が豊富な本作ですが、どのように決められるのでしょうか?(真経津の各話の自宅コスプレ(?)など)

田中先生 単純にそのキャラが選びそうなものを着てもらいます。真経津のコスプレに関しては、真経津自身が「形から入りたがる」人物なので、そもそも衣装などが特徴的な趣味を真経津が始めたがるのでそれを着ます。

Q:完成原稿で拝見すると文章化が困難なシーンが多いように思えますが、ネームや作画の段階でアドリブが生まれるタイプですか?それとも事前に文章プロットなどで作り込むタイプでしょうか?

田中先生 プロットは毎話あらすじを箇条書きで5行ほど書きます。ネームはキャラの言動を知るために描くのでアドリブで喋ってもらい、絵はちゃんと入っていません。
絵に関してはほぼ作画時のアドリブです。ストーリー展開やゲームのルール、スコア推移などは事前に文章でまとめますが、キャラクターのほぼ全員が変人なので予定通りに進むことが少ないため、キャラの思想が絡む部分は臨機応変に変えます。

Q:制作体制を教えてください。(アシスタントの有無・人数・その他監修協力など)

田中先生 アシスタントさんは4人で、僕を含め全員同じ部屋で作業しています。
内容に関する監修などはいませんが、カラー関係に関しては身内がイラストレーターなので監修して頂いています。

Q:ゲストキャラも含め、登場人物のほとんどが若い男性の本作ですが、キャラメイク(デザイン・内面含め)のポイントはありますか?

田中先生 性別年齢を問わず、強いこだわりを一つ持ってもらうことが重要だと思います。こだわりがあれば内面が見え、内面が見えれば外見に現れると思います。
ほぼすべてのキャラクター共通で、ネームの時点ではデザインが決まっておらず初登場時の作画の際に決まります。これは外見から言動を決めるのではなく、言動から外見を決めたほうが個性がブレないと思っているからです。
人が服や装飾品を選ぶためには本人の意思が必要だと思っているので、デザインのためにも好みを含めたキャラの人格を知ろうとすることが大切だと思います。

Q:ご自身の作品で一番のお気に入りのキャラクターは誰ですか?

田中先生 黒光です。酷いことを言ったりやったりしても嫌味がないので好きです。次いで蔵木、寿が好きです。

Q:「キメ顔」的なシーン以外においても、言外の表情の描写がとても秀逸で、非常に雄弁に感じます。この描写の地力は何に依拠しているとお考えでしょうか?(卑近な例ですが人間観察や、「学生時代に生身の人間のランダムデッサンを大量に行った」などなど)

田中先生 実際に人の表情を正確に描くというよりは、例えば全然やりたくないことを社交辞令で「いいですねー」と言ってる人の雰囲気などを覚えておくようにしています。
その雰囲気をあとから思い出しつつ、こんな顔してたよなと描いてみると、実際とは違っても印象は想像で描いたほうが強くなることが多いです。

次回は…
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