YJ45周年記念スペシャルインタビュー【第3弾】佐久間宣行

さくま のぶゆき●1975年11月23日生まれ、福島県出身。テレビプロデューサー、作家、ラジオパーソナリティ。
1999年4月、テレビ東京に入社し、『ゴッドタン』や『あちこちオードリー』などを立ち上げる。2021年3月同社を退社、4月からフリーランスに。ニッポン放送のラジオ『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティを担当。
Netflixでは『トークサバイバー! 〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』や『「LIGHTHOUSE」~悩める2人、6カ月の対話~』を手掛け、YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』も登録者数200万人超の大人気コンテンツとなっている。

面白いと思ったらその直感を信じる

2024年でヤングジャンプは創刊45周年を迎えます! そんな記念すべき年をさらに盛り上げるべく、フリーのテレビプロデューサーとして地上波、ネットなど幅広く映像作品を生み出している佐久間宣行さんにインタビュー!
エンタメ界の最前線を走り続けている佐久間さんのテレビ業界に飛び込んだきっかけから、未来の展望までお伺いしました。

取材・文/ヤングジャンプ編集部 撮影/松田嵩範

佐久間宣行さんの原点

――まずテレビ番組制作という世界に飛び込んだきっかけをお伺いしたいです。

佐久間:僕らの時代の就活はフジテレビを一番早く受けることができました。なので練習と記念受験的に受けたんです。制作をやる自信がなかったので事業部門で受けました。その時に、フジテレビの面接官の方から「最近面白かったものは何?」と聞かれて、あるドラマと映画の何が面白かったのか説明した内容が的確だったそうです。「何が面白いのか分かる、それを人に伝えられるということは作れるんじゃないか」と言われました。その言葉がきっかけで、やっぱり制作を受けてみようと思い、間に合ったのがテレビ東京でした。

――運命的ですね。いざ飛び込んだ番組制作という世界の中でバラエティーを選ばれたのはなぜでしょうか。

佐久間:バラエティーを選んだのは、僕が十代、二十代のときにずっと見てきた番組が自分を支えてくれたという思いからです。今度は誰かのそういう存在になるようなものを作りたいという気持ちがありました。最初はドラマを作りたいと思っていたのですが、当時テレビ東京はドラマを作っておらず、知見もなかったため、自分で新しい道を切り開かないとやりたいことはできないと感じていました。

――佐久間さんが十代、二十代のときに見てきたものの中で一番覚えている作品を教えてください。

佐久間:『夢で逢えたら』(フジテレビ/'88年)です。中学生の頃に深夜のフジテレビでやっていたのですが、ダウンタウンやウッチャンナンチャンがまだ若手で、これから歴史を変えるかもしれない人たちを見るのにワクワクしました。僕も誰かをあの時のようにワクワクさせたいです。

――著書を拝見した際に、自己分析を深くされていると感じました。現時点でご自身に関してどのような分析をされているのかお伺いしたいです。

佐久間:まだ足りないものがたくさんあります。でも、四十代後半になったので足りないものを追いかけていく時間はなくなってきました。五十代でやったことがない面白い仕事を楽しくしたいと思ったときに、やってきたことを精査し直して、まだ使っていない武器を見直したり、その武器で新しい分野に行ったりすることも考える時期だと思います。
フリーになって三年間がむしゃらに働いたので、今後は少し仕事のペースを落として一人で考える時間をつくりたいです。その時間で見逃しているものを大量に見て、その後に自分の中で発酵させる時間が必要になります。今までの経験上、今までやったこともないことが、その時に不意に思いつきます。今までがむしゃらにやってきた仕事や見てきたものが不意に結実することがあるので、その結実する瞬間のために準備をしたいです。

――ご自身をそこまで客観的に見ることができるようになったきっかけを教えてください。

佐久間:昔からSFが好きだったことが関係していると思います。SFって登場人物のキャラクターが魅力的でなければいけないけれど、一番大切なものは世界観ですよね。架空の世界の独自の仕組みなどを論理的に書いている作品が好きだったのが、客観的に自分を見直すことをし始めたきっかけだったと思います。

――なるほど。一人の時間ができた際に大量のインプットをしたい、されているとのことなのですが、どの媒体のどこを重点的にみていますか。

佐久間:インプットをする媒体は「何でも」です。漫画やら映画やら、ゲームまで。インプットをするときは分析というよりもただ楽しんでいます。そこで「自分の中で新鮮な感動があったとき」と「みんながいいと思ってるものだけど自分が全くいいと思わなかったとき」は疑問を感じて、仕組みをしっかりと分析・因数分解します。その結果、自分の制作に役立つときがあります。

――とにかくたくさんのものに触れることで結果的に武器を増やしているんですね。せっかくですので佐久間さんの思う漫画の魅力もお伺いしたいです。

佐久間:漫画は一人の力で最終アウトプットまで持っていける総合芸術だと思います。映像作品、例えばバラエティー番組は出演者がいる、誰かの手を介在するチームプレーなんです。
一方で漫画は漫画家の脳みそ一つで作るので、圧倒的に新しく変わったものが生まれてきます。チームプレーで作るものより、効率は悪いかもしれないけれど、奇跡みたいなものが生まれるんだと考えています。

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