週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 野田サトル先生特別インタビュー

3週目:“打ち合わせ”の極意

――編集者との打ち合わせするにあたり、普段意識されていることはありますか?(もしあれば、新人時代はこれを特に意識していたなども教えてください)

自分の感覚を常に疑うことですね。意固地にならない。他人の意見を柔軟に受け入れる。僕はグロ描写に耐性が強いんですけど、担当編集の大熊さんは苦手で、読者には意外と苦手な人も多いから気をつけてと何度も言われました。もちろん言いなりになるのではなく、丁度いい塩梅を模索するということです。

――新作の打ち合わせ・準備をする際に、まずはどこから話し合っていきますか?

いま進めている作品は前作のリメイクで、打ち切られるまでの六巻分のイメージが出来ているので楽といえば楽で、改善点とか新たに入れたいネタなどを箇条書きにして伝えて、共有させて頂いています。
全くのゼロからの作品なら、プロットを軸に、自分が面白いと思うネタや、キャラクターデザインなど、すべてさらけ出してプレゼンするのが最低限の準備だと思います。編集さんがこの作品に労力をさいていいのか判断出来ると思いますし。
あとは出来るだけ一緒に取材をして、イメージをすり合わせていく作業が大切ですね。

――今までで印象に残っている打ち合わせはありますか?

大熊さんは原稿が上がったとき、本当に面白かったときだけ「面白かった」と言うんです。お世辞を言わない。
もちろん打ち合わせでセリフや内容は共有してるんですけど、絵だったりギャグは原稿を描いてるときのノリが多いので。
クライマックスの尾形の顛末の回は褒めてくれた記憶があるんですよね。あとは宇佐美が札幌でばったり犯人と出くわしてシコシコで来週への引きになった回はとても褒められた記憶があります。まあ他にもたくさん褒めてくれてたんですけど。

――担当編集に求めるもの、あるいはこういう時に助けられたなどあれば教えてください。

僕は大ヒットしてるからという理由で何か読んだり観たりしなくなってしまったんです。別に格好つけているわけじゃなく、好き嫌いが激しくなったのです。でも担当編集の大熊さんはなんでそれが大ヒットしてるのか必ず確認して、分析するんです。そしてヒット作に限らず膨大な作品を読んでいると思います。編集さんが好き嫌いでインプットするのはあまり良い結果にならないと考えています。特に僕のような漫画家相手では。自分の不得意な分野の漫画でも担当しなければいけない職業なんだから当然なんですけど、それをしている編集さんは意外と少ないかもしれないという印象です。大熊さんは僕がなにか案を出すと、それの次の展開を、うまく行ったパターンと失敗したパターンを提示してくれたりするわけです。編集さんのカガミですよね。

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