週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 稲葉みのり先生特別インタビュー

稲葉みのり先生特別インタビュー!!!
全4週にわたってお送りする今回の企画。第4週目は先生が実践している連載テクニックについて伺いました!

4週目
週刊連載サバイブ術

――タイトな連載スケジュールの中での、魅力的な新キャラの作り方・育て方があれば教えてください。

稲葉先生 自分の人生で出会った誰かをイメージするようにしています。新しいキャラクタ―をゼロからたくさん創造することは非常に困難です。しかし出会ったことのある方のイメージを当てはめると、そのキャラクターの好きなこと、嫌いなこと、恋愛傾向、会話の癖、会話中の態度、趣味への熱意の度合いetc…スラスラと出来上がっていきます。さらにいいことに、そうしてイメージをして作ったキャラクターはリアリティがあり、勝手に生き生きと動き出してくれます。

――週刊での作品作りの中で、大事にしていることやこだわっていることがあれば教えてください。

稲葉先生 徹夜はしない、ということです。学生の頃や、社会人の頃、読み切り原稿を仕上げる際、徹夜をすることにカッコよさすら感じていました。しかし、100枚、1000枚と原稿を仕上げていくにつれ、寝たほうがパフォーマンスが上がることに気づいたんです。ありがたいことに今はデジタルを導入しましたので、徹夜せねばならぬ状況になることがなくなりました。かつて40分かかったベタフラ作画が3秒で完成。パースも3D素材をくるくる回すだけ。徹夜明けで朝日を浴びる高揚感、大好きでしたがもうしません。

――短いページ数の中でエロ(見せ場)と話の展開を両立させる工夫などがあれば教えてください。

稲葉先生 エロを描くときに「エロを描いている」と意識しないようにしています。なぜかといいますと、エロ表現は強い吸引力、インパクトがありすぎて、エロを描くと「いいネームが描けた!」と私が満足してしまってストーリ―性への興味を完全に失ってしまうんです。毎週、冷静さを保つために様々な工夫をしています。ストーリーを進ませる技法は他のジャンルの作品と変わりありません。セリフの中にそっと展開を忍び込ませ、ストーリーも同時に進ませています。それでも表現が難しい際はナレーションを使っています。

――実際に週刊連載をされてみて、ここが最も大変だと思うところと、それに対する稲葉先生なりの乗り越え方があれば教えてください。

稲葉先生 自分の心の管理がなにより難しいです。作品に対してのポジティブ、ネガティブな反応を受けることでの心の上下はもちろんですが、私は家族に問題が発生すると驚くほど冷静さを失う傾向があります。過去、連載中に2度、自分の大切な身内の不幸がありました。その際、感情のコントロールができず、冷静さを取り戻すのに大変苦労しました。原稿作画は何とかなるのですが、ネームが全くできなくなって困りました。大量のカフェイン摂取でなんとか乗り切りました。カフェインは最高のパートナーです。

――連載を始める前と後で予想外だったことや意外に感じたことはありましたか?

稲葉先生 意外と筋力が必要だった、ということです。連載中はひたすら机に向かって作業をすることになるのですが、半年くらいするとなぜか作画中に手が震えてきてしまって、描くスピードがどんどん遅くなっていきました。何かの病気を疑いましたが、筋力を強化することであっさり解決しました。散歩中はウェイトを持って、隙間時間があれば登山に行って、インターバルトレーニングをして、歌ってのどを鍛えて、食事に気を使って、プロテインを飲んで筋力を育てています。

9月期は『ウマ娘 シンデレラグレイ』の久住太陽先生にバトンタッチ!

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