週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ ソウマトウ先生インタビュー

取材の裏側を“お披露目”

――『シャドーハウス』は西洋風の世界観で、調査・取材も膨大な量が必要だったかと見受けられます。例えば、舞台の館を描くためにどのような調査・取材をしたのか教えてください。

元々イギリスの作品が好きなことを担当編集さんに伝えたところ、参考にということでイギリス取材に連れて行って貰いました。それが一番資料として大きかったです。ファンタジーなので舞台はイギリスではありませんし、実際のどこかの場所を描くことはしませんが実物の規模感を目の当たりにして世界観の広がりをイメージできました。

――取材を綿密に行ってマンガを描くということのメリットを教えてください。(また、もしデメリットもあればそちらも教えていただきたいです)

私たちは普通資料本などでは写されないところ(裏側や可動部など)をよく見ます。取材でしか得られない情報だからです。写真があればアシスタントさんとの共有にも使えます。デメリットは知ってしまったが故にまだわからない部分が許せなくて調べる時間がかかることでしょうか。

――過去に行った取材の中で、取材をしてみて最初の印象が覆った等の経験がありましたら、教えてください。

覆ったという経験はありません。もともと出不精なので半強制的に取材を決めてもらうことで、尻に火がついて調べだすと一番必要な情報はここにあるはずだ!という場所に必ず辿り着きます。その辺のカンは意外と優れていると誇りに思っていますし、実際に見て確認できると自信を持って描くことができるようになります。

あとはちょっと質問の意図と違うかもしれませんが「最初の印象を覆したい」を目的にするなら特に自分が興味も知識もない有名な場所や美術館に行くと目的を果たせます。これはかなり脳が動くので案外全く違うところから新たなアイデアが出てくることがあります。

――新人作家さんには、原作を志望している人も多いです。ソウマトウ先生は原作と作画に分かれていますが、お二人で作品を作りあげることのメリットを教えてください。

それぞれ長所を生かせるところと、客観性が高くなることです。デメリットは話し合う時間が多く、分業化で楽になるイメージに反して制作時間が驚くほどかかることです。

――長きにわたって活躍してきたソウマトウ先生が思う、ご自身の漫画家としての強みは何でしょうか。また、その強みはいつ頃自覚されましたか?

読者や編集部に対する責任感です。締切直前まで推敲することと締切を守ることをギリギリ両立させるのが強みだと思います。連載を持つ前はがむしゃらに描いていてひと月に4~5本提出するときもあり、スケジュール管理能力が鍛えられた気がします。

――最後に、ソウマトウ先生が「新人時代にこれは知っておきたかった」と思うことを教えてください。

漫画家も体力勝負ということです。漫画の技術の向上に反比例して段々と体力の低下を感じるようになりました。特に週刊連載は若いうちに始めたほうが体力的に有利だと感じます。

次回は…『GANTZ:E』の奥浩哉先生が登場!

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