週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 奥浩哉先生インタビュー

漫画以外のエンタメを吸収する

――『GANTZ』シリーズでは、強敵を倒したと思ったらさらなる強敵が現れるという演出がすごく印象的です。こういった読者の想像を超える展開はどのように構想されているのでしょうか?

キャラクターをいくつか、小ボス、中ボスといった形で段階的に用意して、こいつはこういう能力を持っている、といった設定をあらかじめ頭の中で作っておきます。その際、どの程度の強さかも決めておいて、より強く凶悪な能力を持った敵をラスボスとして登場させる、というゲームに似た構成で考えていますね。もう今はゲームを一切やっていないんですけど、若い頃プレイしていた『バイオハザード』などの作品から、インスピレーションを受けていると思います。

だから、読者の予想を裏切る演出というのは、「読者は○○と思っているだろうから、××にしよう」といった形でその場のノリで発想している部分も多いです。自然とミスリードしているイメージでしょうか。

――確かに、敵キャラクターの形態変化などもゲームでよく見られる要素ですね。その演出のコツはあるのでしょうか?

それはね、ないんですよ。僕は様々な映画やアニメを観ていることで、面白い映画だったらこういう風に展開される、というパターンが頭の中にいくつもあって。それを自然と再構成して自分の作品に反映させている…という説明が一番的確かなと思います。

――蓄積ですね。

はい。とにかくエンタメを作る人は、すごく参考になるので映画は観たほうがいいですね。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ダイ・ハード』は特におすすめですが、流行っているやつでもいいので、とにかく本数を観るべきだと思います。僕はすごく前から、面白いと思ったら、なぜ面白いと思ったんだろうと分析しながら観る癖がついているんです。そういう癖をつけて、面白いと思った理由が言語化できるようになれば、強く意識せずとも自分の作品にも落とし込めるようになるんじゃないかと思います。

また、連載だけでなく、読み切りの組み立て方という観点でも、映画はとても勉強になると思います。連載は、追いたいと思ってもらえる魅力的なキャラクターを作ることが最も重要ですが、読み切りは起承転結が決まっている一つの映画のようなシナリオが求められます。読み切りもキャラクターは当然重要ですが、映画の構成を学ぶことは短い物語を考えるうえで大きな助けになると思います。

『GANTZ:E』2巻 p46,47,48,49
強敵との死闘を制して安堵する一行だが、それは真のボスではなく…?

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