週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞スペシャルコンテンツ 中村力斗先生特別インタビュー

ヤングジャンプ新人漫画大賞 第25回審査員の中村力斗先生先生に特別インタビュー!!
大反響のアニメも第二期を控え、ますます話題沸騰中の『100カノ』が生まれるまでを深掘り。

第4回:“スタイル”との出会い方。

Q: 原作・作画にわかれている本作ですが、制作進行を教えてください。

中村先生:

  1. どんな回にするのかの概要を決める(基本的には前の週までに決めておきます)
  2. 概要から必要な情報やエピソードを組み立て、プロットを書く
  3. プロットの内容を20pに分配して割る(それを「ページ割り」と呼んでいます)
  4. ページ割りをもとに各ページ・各コマごとに分けてセリフを全て書き出す(頭の中ではこの段階で画面の構図やアングル・演出まで一緒に考える)
  5. 書き出したセリフや構図のメモをもとにネームを描く
  6. ネームを担当編集さんに提出し、ご意見をもとに修正
  7. 完成したネームをもとに野澤先生がネームの制作
  8. 野澤先生のネームを確認し、演出やキャラの表情などについての意見を伝える
  9. 意見をもとに野澤先生がネームを修正し、それをもとに原稿の制作
  10. 描きあがった原稿を確認し、演出やキャラの表情などについての意見を伝える
  11. 意見をもとに野澤先生が原稿を修正
  12. 完成した原稿に写植の入った校正紙を確認し、文字の大きさや位置・フォントなどについて意見を伝える
  13. 意見をもとに写植が修正され、校了

という流れになります。
その上で、毎週の制作ルーティーンの中で最も作品のクオリティを高められるよう「物語やセリフを考える」作業はできるだけ脳が疲れていない状態の午前中に、その他の作業は午後にやるようにしていますので1~4は1週間の午前中、5~13(の中の僕の作業)は次の1週間の午後、という形で各話2週間をかけて前話と次話で2話ずつ並行して制作しています。

Q: 中村先生の制作作業のみで、1話に費やす時間・日数はどのくらいでしょうか?また、連載中の1日、1週間のスケジュールを教えてください。

中村先生: 上記の通り1話に費やす「期間」は2週間ですが、費やしている時間自体は1話1週間です。
基本的には各週平日5日で作業を終えて土日はアイデアのインプットに使いたいと考えているのですが基本終わらないので、土日も終わらなかった分の作業をしていることが多いです。
なので、やはり日常の中でテレビで見たアイデアや家族との会話から生まれたアイデアのメモによるストックが生命線ですね…(笑)。
1日のスケジュールは

  • 7:00 起床
  • 8:30~ 午前の作業
  • 12:30~ 昼食
  • 13:00~ 午後の作業
  • 19:00 作業終了
  • 22:30 就寝

と定めています。が、やはり作業がスケジュール通りには基本終わらないので作業終了時間は20:00や、遅い時は21:00まで遅れ込むこともあります。
ただ睡眠だけは作品のクオリティを下げないため・また資本である健康を崩さないためにもしっかりとるよう、必ず22:30には就寝するようにしています。
でもごめんなさい、『100カノ』のアニメ放送日は放送時間に見て、その分翌朝長く寝るようにしています(笑)。

Q: 執筆スタイルとして、ネームの段階でセリフが生まれますか? それとも事前にプロットなどで作り込まれるでしょうか?

中村先生: 上記の通り、ネームにする(絵を起こす)前の段階で各ページ・各コマのセリフは全て書き出しています。
が、もちろんネームにしてから流れを読み直して調節し直すこともありますし、野澤先生からいただいた原稿の描写や表情に沿わせる形でセリフの方を修正することなどもあります。

Q: 執筆の過程で一番好きな作業、また一番苦手な作業を教えてください。

中村先生: 一番好きなのはセリフを考える作業です。かっこいい・かわいいセリフやボケ・ツッコミを1人で笑いながら考えている時などが1番手応えも感じられ、楽しい時です。
一番苦手なのはネームの絵を入れる作業です。絵が上手くないので頭の中のイメージ通りにキャラの魅力や面白さを伝えられないこともありますが、ネームを原稿にするのが僕ではないので、「野澤先生に描写していただきたいイメージがちゃんと伝わるように」締切という時間の制約がある中で可能な限り丁寧に描かなければならないこと、またこれはモチベーションの問題ではありますが、いくら丁寧に魅力的に(かわいく・かっこよく・面白く)描こうと努めてもそのネームは世には出ないものであること、などが苦手な理由として挙げられます。
もちろん、僕のネームの絵の出来も最終的な原稿には必ず多少なりとも影響していると信じ、毎週ギリギリまで凝らせていただいてはいますが…(笑)。

Q: 原作者として、制作するにおいて気にかけていることなどありましたらお教えください。(自身の制作方法におけるモットー、作画の先生へのご対応など)

中村先生: 作品を面白くすることはもちろんですが、その面白さができるだけ多くの人に伝わるように描くことやできるだけ読みやすく描くことは常に意識しています。
また作画を担当してくださっている野澤先生へは、作品のイメージが過不足なく伝わるように伝えられるよう努めることはもちろんですが、ありがたいことに作品のキャラクター達を本当に大切に思い愛してくださっているので、負けないくらいキャラクター達を愛せるよう心を引き締めさせていただいております。

Q: 来年1月にはアニメ2期が放送されますが、ご自身のネームがアニメとして動く様子をご覧になっていかがでしたか? アニメで観てみたいシーンなどはありますか?

中村先生: 感動しかありませんでした。
キャラデザも動きも曲も声優さんの演技も素晴らしくて、制作に携わってくださった方々の作品への愛を感じられ、『100カノ』という作品は本当に恵まれているなと感じました。
アニメで観てみたいシーンにつきましては、全てですね(笑)。

Q: 最後に、漫画家を目指す方達に向けて一言お願いします。

中村先生: 僕は漫画を描くこと・それを人に読んでもらうことが大好きなので、漫画を描きたいと思える人間だったこと、それに気づけた人生だったことは非常にラッキーだったと思っています。
今漫画家を目指しているあなた方も、その時点できっとラッキーです。
夢がない人生よりもある人生の方が生き甲斐もやりがいもあり楽しいので、絶対にお得です。
お互い、せっかくのラッキーをふいにしないよう真摯に頑張りましょう!

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