新人漫画大賞2周年記念 研究生制度大解剖!!

第3週 研究生ピックアップインタビュー②

新人漫画大賞2周年記念 研究生制度大解剖!!
研究生・元研究生の方に実際にお話を伺いました! 投稿を迷っている方の参考になることも…!!

今回ピックアップしたのは…
『そして、化けの皮は剥がされた』を初めヤングジャンプ、となりのヤングジャンプに多数の読切を掲載している
起田ねぐせ先生!
本誌では掲載しきれなかったお話も大公開!!

あらすじ
朝起きたら裸で、昨晩はお酒の勢いで…大人になったらたまにはある。 だけど、一夜明けたら“あるはずのモノ”がどこにもないなんて…!
『そして、化けの皮は剥がされた』はとなりのヤングジャンプに掲載中!

――漫画家を目指されたきっかけを教えてください。

もともと仕事のストレスを発散するために漫画を描いていただけで、商業作家を目指すつもりは毛頭ありませんでした。ですが、とあるイベントでヤングジャンプさんが出張編集部に参加されていており、度胸試しに持ち込んでみたことが事の始まりです。プロの編集者さんにただただ褒めてほしかったので「評価は甘口で」とお願いしていたのですが、その時にあたった編集さんが「商業に興味はありませんか」しか言ってくれず…。自分の漫画を評価してくれていたからだとは思うのですが当時はただただ恐ろしかったです。どう断ろうか悩んでいたのですが、人生一度きりだし頑張ってみたらと両親に背中を押され、やるだけやってみようと思い、今ヤングジャンプさんでお世話になっています。

――趣味と商業誌での活動で心情の変化はございますか?

趣味で描いている時は読者さんと自分はフェアと言いますか…。「自分はこう思っています。皆さんはどう思いますか?」というスタンスで基本制作していました。とにかく自分が信じたものを描くことを美徳と考えていたので、読者さんが何を思うかみたいなことは一切考えないようにしていました。とはいえお金を出して手に取ってくださることには変わりがないのでせめて印刷方法を工夫して本豪華にする事であくまでも皆さんは印刷費にお金を出してもらいましたよ、で読者さんに許してもらおうと思ってました。その為、趣味で本を出す時は常に大赤字でしたね…。
今までは自分がお金を出して漫画を描くことが当たり前だったのですが、商業作品を描くことになってから集英社さんからお金をいただいて漫画を描くようになり、さらには読者の皆さんの時間をいただいて読んでいただくことを凄まじく意識するようになりました。
商業誌で作品を掲載するようになってからは、自分の作品を読んで、何か少しでもプラスになるものができるだけ発生するようにしたいと考えるようになりました。作画を丁寧にすることがまさにそれで…。趣味で描くときの3、4倍ぐらい時間をかけてペン入れをしています。少しでも丁寧に感じてもらえていただけてれば良いのですが…。

――仕事と漫画制作の両立はどのようにされていますか?

商業作品に取り組む前から年間150~200ページくらい漫画を描くことが当たり前だったので、正直漫画制作そのものが仕事の負担になっているとは感じていませんでした。そもそも社会に耐えられなくて自分を保つために漫画を始めたので、社会人として生活しながら締切に向かって漫画を描くというのが習慣として出来上がっていました。仕事中にネタを思いついたら取りあえずメモする、昼休みにちょっと遠くの喫茶店まで行ってネームや原稿に取り掛かるということを日常的にしていました。日々の辛い仕事のご褒美として漫画制作しているイメージです。早く漫画を描くために仕事を効率よく終わらせようと思えますし、原稿をご褒美にしておくと帰宅後の作業も苦ではないので、楽しく制作に取り組めています。逆に仕事や締切に追われていない状態で漫画を描いたことがなく…今後はそこが課題にはなりそうです…。

――研究生制度は専属契約になりますが、ヤングジャンプに絞っていただいた理由を教えてください。

元々自分がヤンジャン読者であったのが一番大きいです。頑張ってみようと思ったものの本当に自分がデビューできるとは思っていなかったので、好きな雑誌で一回だけ頑張ってみよう、くらいの温度感でした。
そもそもヤングジャンプの編集さんからお声かけ頂かなければ自分の人生に漫画を描くという選択肢は絶対になかったので…。そこ点も専属契約させていただいた大きな理由です。今は研究生として契約金をいただくことで、責任感をもって制作に取り組めています。

――研究生前後で心情、環境などに変化はございましたか?

いやらしい話になるかもしれませんが、本業の給料と契約金が同時に振り込まれたときに、契約金の方が本業の給料より高かった時期がありまして。がむしゃらに働いて得た給料より契約金や原稿料の方が高いことで、自分の漫画に金銭が発生することを改めて理解し、より本気で漫画に取り組もうと思うようになりました。契約金は何もせずとももらえるお金ではないので、「起田ねぐせと契約してよかった」と担当さんや編集部、集英社さんに思っていただけるように考えて活動しています。読切制作後は少し休憩したくなる気持ちをグッと堪えて次回作に取り組んだり、SNSでの宣伝材料を制作したり、私にとっても媒体にとってもプラスになるような行動を心掛けています。

――どの作品もテンポ感が素晴らしいですが、話の構成で気をつけていることなどあれば教えてください。

掛け合いのテンポ感を褒めていただくことが多くとても嬉しいのですが、そこまで自信があるわけではなく…。ただ、実際会話として成立しているかどうか、その会話にもし共感できなくても横から聞いていて面白いかということは常に意識しています。また私の漫画は文字数が多いことが欠点だと思っているのですが、たくさん書いている部分を読み飛とばしても、何となくここで笑えばいいんだなというポイントを作るようにしています。芸人さんのコントやトークって作業しながらぼんやり聞いていても面白いと思うんですが、そんなイメージで楽しんでもらえるように心がけています。

――10Pショートから30P越えの作品まで様々なページ数の作品を掲載されていますが、長い話と短い話で意識して変える部分などはございますか?

長めの話を作る時は、中盤に大きなオチを作るようにしています。序盤はそこに向かいながら話の世界観を説明しつつ、ヒロインの可愛さを表現するように努めています。私自身、漫画を読むのを途中でやめてしまいがちなので、読者さんに「もしかしてこの話面白いんじゃないか?」と思ってもらえるように、離脱を防ぐポイントを作るように心がけています。逆に中盤のオチ以降はかなり好きに話を動かすことが多いです。終盤にかけてめちゃくちゃに話を畳みかけて最後オチで締めることで、中盤、ラストと話全体で大きなボケを2回作るイメージです。
反対に短い読切のときは1つのフリオチをしっかりやり切るイメージです。ラストに大きなボケを持ってくればきっとみなさん許してくれるだろうと信じているので、最初から好き放題描くようにしています。

――魅力的なヒロインを描くうえで意識していることはございますでしょうか?

とにかく良いところも悪いところも含め、全てひっくるめて愛す事を心がけています。
自分は物心ついた頃からクラスの女子全員を大好きになってしまうタイプの子供でして…。
誰でも分け隔てなく、少し浮いている子がいたら自分から積極的に話しかけるような子供…と言えば聞こえがいいですが、度を超える八方美人でした。
とにかく女の子に願いされると全てに応えたくなってしまって、小中高大どの記憶を切り取っても積極的に彼女たちのパシリになっていました。でもそのぞんざいに扱ってくる感じが堪らなく大好きで…。
色んなマイナスの面があってこそ、愛おしさは増すものだと信じているので今後も自分の好きな女の子像を突き詰めていきたいです。
また、「自立した性欲を持つ女の子」を描くことを心がけています。パートナーからの性的なアプローチに対しての応えは愛情から来るものが大半を占めると思ってて…もちろんそれは素晴らしいと思うのですが、自分の理想とする女の子たちにはもっとわがままでいて欲しいと思っていて…。
相手の存在に関わらずに性に貪欲な女の子がいてくれたらものすごく嬉しいなと思い、願いを込めてそういう描写を描いています。これは一種の祈りですね。
これ記事でどうにかマイルドにしてもらえないでしょうか?

――差し支えなければ今取り組んでいることと今後の目標を教えてください。

新作のネームに取り組んでいます。次のステップに進むために新しいやり方を模索中です。今まで描いたものはコメディだけですが、自分はしっとりとした切ないシリアスめのお話を描くほうが絶対に向いているとずっと信じてまして…。新作はその両方の要素を上手く混ぜ込んだものにできるように試作を繰り返しています。
後は今後も漫画を楽しく描いていけるように、健康な体になることを目標にしています。人様に見ていただき、なおかつお金が発生する原稿を作ることは自分が想像していた以上に心身に負担が大きく…。商業作家を目指し始めて1年で立て続けに体調を崩してしまいました。お恥ずかしい話ではありますが、今まで健康について何も考えてなかったため、今後はウォーキングなどから体調管理を心がけ、編集さんにご心配おかけしない体作りに努めたいです。

次回は…研究生から連載作家になられた『ハヴィラ戦記』のみのすけ先生!

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