新人漫画大賞で準大賞以上を受賞し、ヤングジャンプの研究生になった3名の受賞作を5週にわたって紹介! 受賞作制作時の狙いについてインタビュー! 「受賞者はどこにこだわり、何を意識して描いていたのか」「過去の受賞作はどんな部分が評価されたのか」など、今から応募するあなたにとってヒントになること間違いなし!
受賞のためのキーポイント③
感情表現を高めるべく表情の細部にこだわる
- 担当Check!
- この作品では、感情をモノローグやセリフで詳細に説明しすぎず、キャラクターの目や表情、行動、手の動きだけでも表現しています。例えば21ページ目は匠のイラつきを「握りしめた拳」で、36~37ページ目では未央の衝撃と高揚感を「荷物を落とし、無言でドアを閉める・笑い声と表情・手の動き」で表現されていました。
漫画は1ページあたりに伝えられる情報量に限りがあり、絵でより多くの情報を語らなければなりません。感情を表現する際は、キャラクターの表情はもちろんのこと手の描写も効果的です。


受賞と講評を通じて
私は一人っ子にも関わらず、読んでくれた方のほぼ全員に「中山カンナって姉弟いたっけ?」と言われたのが嬉しかったです。今までもキャラの人格の解像度(この人ならならこう動く…など)を詰めるのは好きだったので、今回の受賞でこれを武器に漫画家をやっていこうと思えました。「こういう人間いるいる」を極めていきたいです。
また、セリフを考えて会話を作るのも好きなので、言葉にキレがあるという講評を貰えたのは自分でも驚いたのですが、ありがたかったです。掛け合いそのものが私の好きな「こういう人間いるいる」の集大成になり得ると再確認できました。自分の武器庫の鍵を見つけてもらえた感覚なので、これからは自由に開け閉めしたいです。
あとは赤坂先生からいただいた「もっと読者を高い所に連れて行ける人だと思う」というコメントがとても力になりました。読者の皆さんに鳥肌を立たせられるような作品を作っていきます!
次回は染井ヨシノさんの『陰キャ、部屋に花、飾ってみた。』を取り上げます!
私は作品を描く際に感情表現に力を入れています。初めから意識していたわけではなく、17歳ではじめて持ち込んだときから、毎回褒められるのが表情主体の感情表現だったので得意なものだと自覚して最近特に意識しはじめました。
1番力を入れたのは46ページの匠の表情です。直前の45ページ目での「俄然最っ高の気分♪」というセリフは未央がはじめて“匠が言われて嬉しいこと”を言ってきたシーンになっています。このシーンが物語としても匠としても1番スッキリする場面だと思ったので、未央にヘイトを貯めてきた匠と読者の感情がリンクする瞬間になるように、この表情に力を入れました。
表情を描く際に特に気を付けているのはミリ単位の眉毛の角度です。眉毛は1番表情が出やすく表現もしやすいので、キャラデザの時点で眉毛が見えない髪型は意識的に避けています。眉毛の形は多すぎて難しいので、自分で試すのが1番手っ取り早いです。鏡をみながら怒ったり笑ったりして、タブレットに描いています!(笑)