4週にわたって『久保さんは僕を許さない』『おさななななじみ』の雪森寧々先生と作品担当へのインタビューをお届けする本企画。ラストを飾る4週目は、作品担当とアシスタントさんから見た雪森先生像を伺い、客観的に雪森先生の「らしさ」を深堀します!
自分だけでは見つからない「らしさ」を求めて!
担当目線の雪森先生「らしさ」
――担当目線で、改めて雪森先生の強みを挙げるとしたらどこでしょうか。
アシスタントさん目線の雪森先生「らしさ」
雪森先生の長年のアシスタントであり、ご自身も『AIスピーカーと独身サラリーマン』を「となりのヤングジャンプ」で連載されていた江久井先生にお話を伺いました!
――雪森先生らしいと感じるのは、作品のどんな部分でしょうか。
江久井先生 「プレゼント精神」かなと思います!雪森先生は、読者さんに対する「こういうの喜んでくれたらいいな」をとても大切にしてくださる作家さんだと思っています。これ好きだな、こういうのが読みたいな〜と思う気持ちを考え、作品を通してプレゼントしてくださる素敵なエンターテイナーです!
――先生から受けたアドバイスや一言で、印象に残っているものはありますか?
江久井先生 「読者さんにジェットコースターに乗ってもらいます」という一言です。「え!? こ、こんな事しちゃうんですか~!?」などと、私が作品の展開についてリアクションをした際に返してくれた言葉です。
読者さんの気持ちを考えられる作家さんだからこそ、感情を大きく動かす展開や舞台を整えられるのだな…と思いました。私もそうなりたいと強く思いました。憧れています!
- 新人編集者のまとめ!
- 面白い漫画を作るためには、“短所を埋め合わせる”よりも“長所を伸ばす”ことに全力を注ぐことが重要!
まずは量を描いて客観視と自己分析を重ね、自分の強みを最大限に活かせる企画を選ぶ。
次に、自分の「好き」をしっかり理解し、キャラクターや絵柄の到達したい方向を明確に意識する。最後に、キャラクターに無理に作った台詞を言わせるのではなく、等身大の会話を心がける。
雪森先生の漫画術の神髄は、ひたすら強み=「らしさ」の純度を高めていくことなのです!
1月期の審査員は…『バツハレ』の稲葉みのり先生


担当 表の個性で言えば、女の子の表情作画と画面演出力、そして“決めゴマ”へ至るまでの演出の積み上げ方が本当に上手だと思います。読者の感情を刺激するシーン作りが得意なので、一話の中に必ず“読者を夢中にさせる一瞬”を作れるところが強みですね。
そして見えづらい裏の個性としては、そうした表の魅力を最大化するために、ノイズになり得る要素を極力排していく姿勢があると思います。ネームの情報量の調整が上手くて、純度が高い。雪森先生は“自分の武器”がはっきりしている方なので、色々な要素を足していくというよりも一番魅力的な部分を描くのに不必要な要素=”ノイズ”を取り除いていく方向で作品を磨かれていくタイプです。
私は担当として「雪森先生の良さを100%伝えるため、読みづらさや掛け合いの不自然さといった“アク”をすくう仕事をしている」という感覚があります。純度の高い状態で読者に届けば必ず勝負できると確信しているので。
雪森先生 “らしさ”を伝えるためには、前提として物語が正確に読者の方へ伝わることが何より大事です。新人作家さんは、コマ割りやめくりの楽しみの作り方、ストレスをかけたページの後に発散させるページを用意できるかなど、物語の土台となる部分でも、自分でできることを積み重ねていくことはやって損はないかと思います。物語が正確に伝わると、担当さんが言うところの“らしさ”も伝わりやすくなると思います。